毎日ダルい…疲れるのは「正しく疲れていない」のが原因かも
コロナ禍も2年がたとうとするなか、仕事も遊びもやる気が起きない。……というか、なんか毎日ダルいし、カラダが重い。そんな倦怠感を払拭するには、どうすればいいのか? 日々を覆う“疲れ”を吹き飛ばす極意を探った!
◆疲れるのは「正しく疲れていない」から!
疲れやすい、眠れない、集中できない。しっかり休んだつもりでも、なぜか疲労が抜けない中年期。しかし、そんな状態を「年齢のせい」と一蹴するのは早計だ。元サッカー日本代表の中山雅史氏をはじめ、数々のアスリートを指導してきたメディカルトレーナーの夏嶋隆氏はこう語る。
「疲労を感じる大きな要因のひとつは、『疲れていない』ことです。逆説的な話ですが、疲れを取るには、正しく疲れることが重要。日中に良質な食事を取り、しっかり動いてカラダを疲れさせることが、良質な睡眠に繋がり、翌朝疲労が残らないスッキリした目覚めに繋がります。
これが正しいサイクルなのですが、現代人は、栄養過多なのに『ダルいから』と動かない、肉体的にカラダが疲れないので寝つきが悪くなる、睡眠の質も悪くなる。結果、目覚めも悪いので朝起きたときに『疲れが残っている』と感じる……という負のサイクルにハマってしまうんです」
◆運動不足で負のサイクルに
特に最近は、外出自粛やリモートワークの導入でカラダを動かす機会が減り、より疲れを感じやすい状態に陥っていると夏嶋氏。
「リモートワークでは運動不足になり、つい食べすぎて、仮眠も多くなって睡眠の質も下がる。こうした生活習慣は肥満に繋がりやすく、腰痛などを引き起こし、動くのが面倒になって、さらに運動不足に拍車をかける。仕事で頭は使っていても、日中にカラダを動かさなければ眠りが浅くなり、前述した負のサイクルに陥りやすくなってしまうのです」
◆仕事にも悪影響
疲れやすいカラダを放置し続けることは、仕事にも悪影響を及ぼす。「体調不良は仕事のパフォーマンスを大きく下げる」と語るのは、健康経営アドバイザーのDeNA・平井孝幸氏だ。
「アスリートなどを見てわかるように、ベストパフォーマンスを出すには、コンディションの維持が重要です。二日酔いや寝不足などで生産性がまったく上がらないことは、誰しも経験したことがあるでしょう。実際、’15年にDeNA社員を対象に行った調査では、体調不良がもたらす生産性の低下による損失は、概算で年間20億円以上と算出されました」
◆健康管理は会社員の必須スキルとなる
生産性を高めるためには、社員の健康は不可欠。近年では各企業で社員の健康を維持しようとする「健康経営」が重視されている。
「今後は、健康管理ができる人は高いパフォーマンスを上げる一方で、できない人はますます不健康になってパフォーマンスが落ちるという“健康格差”が拡大することが懸念されます。もはや健康管理は、ITスキルなどと同様のビジネススキルと言えるのです」
疲れやすいカラダを放置するのは、ビジネスマン生命を危機に晒すことにほかならない。
◆<なぜ疲れるのか?>
▼ありがちな負のサイクル
日中ダルい⇒運動しない・昼寝⇒夜に寝つけない⇒寝起き最悪⇒日中ダルいの繰り返し
▼正しく疲れる正のサイクル
日中アグレッシブ⇒適度な運動・規則正しい食事⇒快眠⇒寝起きスッキリ⇒日中アグレッシブの好循環
【メディカルトレーナー 夏嶋 隆氏】
大学卒業後、実業団バレーボールチームの指導者を経て、トレーナーに。多数のプロアスリートが師事。近著に『疲れないカラダ大図鑑』(アスコム)など
【健康経営アドバイザー 平井孝幸氏】
DeNA・CHO室室長代理。著書に『仕事で成果を出し続ける人が最高のコンディションを毎日維持するためにしていること』(東洋経済新報社)
<取材・文/週刊SPA!編集部>
※週刊SPA!10月12日発売号の特集「疲れないカラダ」より
―[疲れないカラダ]―