心臓病を抱える犬に「最高の人生を」 バックパックに入り世界を体験(米)

米フロリダ州レイクランド在住で獣医として働くリサ・ロイスさん(Rissa Royce)のもとに、“ヒューイ(Huey、1)”というピットブルのミックス犬がやって来た。

「ヒューイは尿道脱や心雑音があり、私が働いている動物病院に連れてこられました。その日の夜に私の家に連れて帰ってから、ずっと一緒にいます。」

そのようにリサさんが話す通り、ヒューイは生まれつきの心奇形があるため、心臓に負担をかけないよう運動は大きく制限されている。ヒューイを繁殖犬として育てようとしていた以前の飼い主は、こうしたことを理由にヒューイを手放したという。

ヒューイのきょうだい犬だった“ペネロペ(Penelope)”も同様の心臓病を抱えていたがつい先日、容体が悪化して亡くなってしまった。

ペネロペの死で「もしかしたらヒューイも突然、命が尽きてしまうかもしれない」と不安を感じたリサさんは、まだ1歳のヒューイを連れて外の世界を見せてあげたいと思うようになった。

「私はヒューイのことをとても大切に思っています。ペネロペが亡くなった後、 私が提供できる最高の生涯を贈ろうと決めました。最高の医師や環境、そして最高の旅を約束したのです。」

こうしてリサさんは他の愛犬とともにジョージア州にあるリトル・グランド・キャニオンへ向かい、ヒューイを初めての旅行へ連れていった。獣医であるリサさんはもしもの時のための準備を整え、長時間歩くことができないヒューイをバックパックに入れて山道を登った。

他の犬と同じように動くことはできないヒューイだが、リサさんのおかげで大自然に囲まれる気持ち良さを存分に味わうことができたのだ。

「元々は愛犬“オークリー(Oakley)”と何年も旅をしていて、そこにヒューイが加わりました。私がこの子たちと旅をするのは、ブルドッグやピットブルなどブリー種の固定観念を変えるためなのです。」

「こうした犬種には、予測不可能な攻撃性があるというネガティブなイメージがあります。だからヒューイが帽子を被ってバックパックに入っている姿を見てもらえれば、少しでも明るくて楽しい、親しみやすいというイメージを持ってもらえるのではないかと思うのです。」

実際にハイキング中にすれ違った人たちは「写真を撮ってもいい?」「撫でさせて!」とヒューイの可愛らしい姿に魅了され、なぜバックパックに入っているのかと尋ねてきたという。

「ヒューイは生き生きとしていて、可愛がられるのが好きみたいですし、もちろん旅をするのも大好きなようでした。」

獰猛なイメージのあるブリー種は、ヒューイのように繁殖犬として飼育される場合も多いとリサさんは明かしており、飼い主から手放されてしまった合計7匹のブリー種の子犬を引き取って一緒に生活しているという。

「残念なことにアメリカでは手っ取り早く利益を上げるため、ブリー種の繁殖が盛んに行われています。そこでは犬として扱われず、工場にある機械のような扱いを受けるのです。」

「ヒューイがそのような経験をせずに済んだことは喜ばしいことですが、繁殖産業の犠牲となっている犬たちのことを考えるといつも心が痛みます。」

リサさん1人でできることには限界があるが、家族として迎え入れた犬たちには最大限の愛情をもって接しているそうだ。

「ヒューイはこれまでに2つの州を訪れました。これからもバックパックに入れて国内を旅行し、世界を見せていこうと計画しています。コロラドに行くのが夢なんです。いずれは仕事を数週間休み、ヒューイや他の犬たちとともに国内をドライブして、ハイキングをしながら色々な景色を見ていきたいですね。それが彼らの生きるべき人生なのです。」

画像は『Rissa Royce 2021年7月23日付Facebook「Huey has a heart murmur and other heart defects that make him intolerant to exercise, but we want him to experience the world!」』のスクリーンショット

(TechinsightJapan編集部 iruy)

2021/8/4 21:00

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