<後編>林遣都「僕は全然強い人間ではない。今回の役を演じられたのは誇り」

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 最新主演映画『犬部!』が公開中の林遣都さんへのインタビュー後編です。本作で、大学にて動物愛護サークル「犬部」を設立し、その後も動物のために闘い続ける主人公・花井颯太を演じた林さん。

 犬たちとの撮影秘話を聞いた前編に続き、颯太のモデルとなった実在の獣医師・太田快作先生が出演したシーンの撮影についてや、颯太や太田先生から受けた影響などを聞きました。

◆颯太のモデル、太田医師も出演

――颯太のモデルになった「犬部」を実際に立ち上げた獣医師の太田快作先生も本編に映っていますね。1回目には気づかなかったのですが、2回目に拝見したときに、「あ、太田先生だ」と。

林遣都(以下、林)「2回観てくださったんですか? うわ、ありがとうございます。そうです、先生にも協力していただきました」

――大学時代の颯太が、外科実習の代わりとするレポート提出のために、獣医師の先生たちに話を伺いに行くシーン。あそこは太田先生から、普通にお話を聞いているところを撮影したのですか?

「あそこは脚本には一切書かれていないシーンだったんです。現場で監督が入れたいと思われたようで、颯太が話を聞きに行くシーンとして太田先生にも出てほしいと。点描で映し出されるので、用意されたセリフがあるわけでもなく、かといって僕が役のままに獣医学生として質問するのも難しいので、それまでに資料や、太田先生を取り上げた番組から聞いていたことを、ご本人から改めてお話いただきました」

◆手術の見学シーンでもらったアドバイス

――手術の見学シーンもありましたが、実際に太田先生の病院に撮影クルーが行って、話を聞いたり、手術を見学しているところを撮影したのですか?

「そうです。点描のシーンで使われるのですが、獣医学生としてどう振舞えばいいですか?と太田先生に質問したら、『いや、そのままでいいです。その時点の学生には何もできないですから。ただ立って見ている、今のそのままでいいです』と言われまして(笑)。なので、僕はカメラも気にせず、ただただ真剣に見ていただけでした」

◆キャストみんなで補いながら進んでいった

――共演者の方との関係も少し教えてください。今回、かなり密に作品や役について話し合われたそうで、その姿勢に、中川大志さんが林さんから役者として影響を受けたとお話されていました。意識して積極的に話をしようと動いていたのですか?

「いえいえ、僕自身、不安だったんです。時代を行ったり来たりする物語で、撮影の順番も行ったり来たりしていましたし、僕もいまどういう時期のどの気持ちの部分を撮っているんだろうと、正直パニックになりそうなときもありました。そのなかで、みんなで確認し合って補いながら進んでいくことが、自然な流れだったのだと思います。

 ひとりひとりが自分の役に愛情を持って撮影に入ってきて、そこに迷いや理解できていない部分を持ちたくなかったので。描かれていない部分をみんなですり合わせていくことによって、『犬部』のみんながしっかりと一緒に歩んできたんだという説得力を持ちながら現場に立てればと。みんながそうした同じ思いだったからこそ、自然に話し合いができたのだと思います。

 作品から考えさせられるところもありますし、ロケでそうした時間を取れたことも大きいです。そうしたくてもできない作品もあるなかで、こうやって現地に行って、題材となっている場所でそこの人たちと触れ合える撮影は、やっぱり楽しいですし、役を演じるうえでの気持ちも自然と強くなると思うので、とても有難いことでした」

◆今回の役を演じられたのは誇り

――林さんは、本当にいろんな役を演じられていて、それぞれが本当にそこに生きているその人にしか見えません。演じてきた役というのは、その後も自分の中に生き続けているものですか?

「ひとつひとつの作品ごとに、目まぐるしく変化していかなければいけないので、やはり忘れてしまうものですが、久々に見たときには、いろんな思いが蘇ってきます。ただ今回の颯太ほど、演じられることが誇らしく、有難い気持ちになった役というのはなかなかありませんでした。本当にかっこいい人の人生を演じさせていただいたなと強く感じています。こうした役からは、影響を受けるものはあります」

◆僕は全然強い人間ではない

――影響ですか?

僕は全然強い人間ではなくて、すごく悩みやすいですし、考え込みやすい。自分のなかでブレることもたくさんあります。颯太は、ここまで信念を貫いて、自分以外の存在のために時間や人生を捧げることができる人です。加えてちゃんと感謝の気持ちを持っていて、人に頼ることも、人に弱みを見せることもできる。

 太田先生がモデルになっているということもあって、役だけではない部分もあります。本当に素晴らしい人物ですし、人生の参考になりました。人を頼ることも大事だな、考え込みすぎてもダメだなとか。なので、役から影響を受けるということはあると思います」

◆優しい思いが広がっていってほしい

――最後に、メッセージをお願いします。

「作品を観ていただいた方にも言っていただいたのですが、岩松了さんが演じている大学の教授が、学生時代の颯太にかけた『ひとりで世界を救えるなんて思わないほうがいいですよ』という言葉は、すごく重くて深いと思うんです。無理に責任を負おうとしたり、行動に移すことだけがすべてではないと僕は感じていて、動物が好きだというその気持ちがあれば、それでいいんじゃないかと。この“優しい思い”みたいなものが、どんどん広がっていったらいいなというメッセージが、映画から伝わればなと思っています」

(C) 2021「犬部!」製作委員会

<撮影・文/望月ふみ>

【望月ふみ】
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。@mochi_fumi

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