愛と経済の伝道師“宗さま”こと宗正彰「東京五輪、無観客開催の影響と経済効果の考え方」を解説

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本部長・マンボウやしろと秘書・浜崎美保がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「Skyrocket Company」。毎月第2水曜日に、我々が知っているようでよく知らない「お金」や「経済」の仕組みなどを、専門家の方に詳しく解説してもらうコーナー「スカロケ資産運用部」をお届けしています。

7月14日(水)の放送では、愛と経済の伝道師“宗さま”こと三井住友DSアセットマネジメントの宗正彰(むねまさ・あきら)さんに、「東京オリンピック、無観客開催の影響と経済効果の考え方」というテーマでお話を伺いました。

(左から)マンボウやしろ、宗正彰さん、浜崎美保


◆無観客開催でチケット関連収入1,500億円ほどの経済損失が?

浜崎:今回は「東京オリンピック、無観客開催の影響と経済効果の考え方」について、お話しいただけるということですが。

やしろ:こちらは興味がある方も多いんじゃないかなと思います。まずは、東京オリンピック開催直前。首都圏1都3県などでは無観客開催が決まりました。全国的にもまだ動いている最中ですけれども、各所で混乱が生じているということですが。

宗正:スポンサー企業の多くが、キャンペーンや公式ツアーの見直しを行っています。各種キャンペーンで当選者がすでに出ているわけですから、入場チケットに代わるものを用意しなくてはならない。そして、旅行代理店のオリンピック公式ツアー。ツアーの中止に伴う返金口座の確認を1件ずつ電話で確認しているケースもあるようです。

浜崎:電話で聞いているんですか?

宗正:ええ。ツアーの申し込み時に銀行口座まで聞くケースは多くない。「どちらの銀行口座に返金すればいいですか?」といったアナログ対応。このような状況が、様々な業界の随所で起きています。

やしろ:そして無観客開催では、チケット代金が払い戻しとなりますが、これは経済効果的にはどういう捉え方になるのでしょうか。

宗正:無観客ですので、900億円とも言われるチケット収入はゼロになります。あとは、車や電車に乗って観に行くはずだった交通費、食べたり飲んだりする飲食費。そして遠方から集まる観客の宿泊費。チケット収入の900億円にこれらを合わせると、1,500億円くらいの経済損失があるのではないでしょうか。

ただし、経済効果の考え方というのは、マイナスもあれば一方でプラスもあるんですね。例えば今回、無観客にした理由というのは、新型コロナの感染拡大を防ぐため。過去に幾度か緊急事態宣言が出たときには、1ヵ月から1カ月半の間で1兆円程度の経済損失が発生したというデータもあります。

つまり1,500億円のチケット関連収入などを放棄しても、1兆円の経済損失をカバーできれば、トータルの経済効果はプラスです。経済効果の話になるとプラス面だけを強調したり、マイナス面だけを悲観するケースがありますが、試算前提としてどこからどこまで含めるのか、トータルの経済効果で見ればどうなるのかを確認することも大事です。

やしろ:分かりました。逆に今回の東京オリンピックで、純粋なプラス面っていうのはありますか?

宗正:経済効果を見るときに、もう1つ大事なこと。それはいつからいつまでといった試算期間です。今回の東京開催は2013年9月に決まりましたけど、オリンピックのような大きなイベントの経済効果は、その時点からすでに発生し始めています。

そしてオリンピックが閉会した後も、そこから10年間くらいは経済効果って出るものなんです。2017年に東京都が2019年までの経済効果の試算結果を発表しましたが、開催前までに10兆円を超える経済効果が出るというものでした。
やしろ:身近なところでは「オリンピックがあるからテレビを買おう」みたいな動きもあったかもしれませんしね。

宗正:テレビと言えば黒物家電の代表格ですけど、東京オリンピックを前に販売も伸びていますね。

やしろ:ここに来て伸びているんですか?

宗正:地上波デジタル放送開始の2011年にテレビの大きな買い替え需要がありましたが、あれから10年。今がちょうど次の買い替えサイクルと一致しているのと、コロナ禍の自粛生活で個人の金融資産って今、すごく膨らんでいて過去最高を更新しています。テレビって高い買い物ですけど、こういった状況も追い風になっています。

やしろ:「家族でオリンピックを家で見ようよ」っていうムードがもっと高まってもいいかなという気はしますね。

◆オリンピック開催国は必ずしも景気拡大に繋がらない?

そして、オリンピックは開催国の景気拡大に繋がるというお話をよく聞きますが、本当はどうなんでしょうか。

宗正:色々な見方はありますが、私はそこまでではないと思っています。

やしろ:オリンピックの開催は必ずしも景気拡大に繋がらないと?

宗正:はい。2013年から2030年までのオリンピックによる経済波及効果ですが、以前の東京都の発表によれば、東京都だけで約20兆円。全国までその範囲を広げると約32兆円なんですね。この数字自体は大きいのですが、その効果が長期間にわたることを踏まえればどうでしょうか。

試算期間における年間あたりの日本の国内総生産(GDP)に占める割合から見ても決して大きくはない。つまり、開催国を取り巻くさまざまな経済環境の変化の大きさに比べれば、オリンピックが景気の決定要因になると言い切るのは難しいと思います。

実際に、「今回の東京オリンピックが成功したら、日本の景気って上向くと思いますか?」って聞かれて、「そう思います」と答える人は少ないでしょう。やはり新型コロナの感染拡大が収束して、通常の経済活動に戻ることが必要条件になりますよね。

やしろ:確かに今の状態じゃ無理ですよね。

宗正:私たちのなかに、前回の東京オリンピックで日本が発展したみたいなイメージってないですか?

やしろ:あります。

宗正:オリンピックがなくても、あの頃の日本は高度経済成長期でした。確かにオリンピック開催をきっかけに首都高速をつくったりしたことは、その後の景気拡大の一因にはなりましたが、オリンピックがあったから日本経済が急成長したわけではないんですよね。

やしろ:今回、東京オリンピックが行われますが、経済効果がよりプラスになるためには、どうしたら良いのでしょうか?

宗正:もともと今回の東京オリンピックは、新たに整備したインフラを、その後の日本の発展に活かすレガシー効果を狙っていました。開催後のインバウンド需要の受け皿をつくったり、国際的なビジネス拠点の整備などがそうです。現時点である程度、そういったインフラ整備はできています。新型コロナ感染収束後のアフターコロナでは、こういった東京オリンピックのレガシーを活かすこと、これがすごく大事なんです。

そして今やるべきことは、こういったレガシー効果の最大化を実現するために、東京オリンピックの開催期間中に、日本の魅力を世界に向けて発信することです。短期間で効率よく日本が注目を集めるには、オリンピックは充分すぎるイベントです。世の中が正常な状態に戻った頃に「東京オリンピックを開催したことが今に繋がった」と言えるプラスのイベントにしなくてはならない、これが私の考えです。既に開催することは決まったわけですから。

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<番組概要>
番組名:Skyrocket Company
放送日時:毎週月~木曜17:00~19:52(※コーナーは毎月第2水曜18:15ごろ~)
パーソナリティ:本部長・マンボウやしろ、秘書・浜崎美保
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/sky/

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  • 7/21 21:00
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