映画『SEOBOK/ソボク』の3つの魅力 美男子2人のバディムービー×『AKIRA』なサイキックSF

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 2021年7月16日より韓国映画『SEOBOK/ソボク』が公開されている。本作の内容を端的に表せば、「美男子2人のバディムービー×『AKIRA』(1988)のようなサイキックSF」であり、エンターテインメントに振り切った、万人が楽しめる秀作だった。さらなる具体的な魅力を記していこう。

美男子2人のバディムービー

 余命宣告を受けた元情報局エージェントのギホンは、極秘プロジェクトで生まれた人類初のクローンである少年ソボクの護衛を命じられる。だが、任務開始早々に何者かの襲撃を受け、2人はさらなる追っ手から逃れるために逃避行の旅に出る……というのが基本的なあらすじだ。

 その道中では派手なカークラッシュや銃撃戦あり、予測不能のトラブルあり、少年が目指す目的地の謎でグイグイと興味を惹くと、エンターテインメント作品として面白い要素が揃っている。その中でも、「反発しあっていた2人がやがて心を通わせる」ブロマンス要素がたまらないという方は多いのではないか。

 元情報局エージェントの男は全身全霊で少年の命を守ろうとするが、少年は生まれてから一度も施設の外に出たことがなく、世間知らずなために旅先でトラブルも起こす。そんな2人が、やがてお互いの価値観や心情を話し合い、危機を乗り越えていく過程で信頼が生まれていく。いわば擬似的な親子関係のようでもあり、歳の離れた男たちの友情の物語としても読み取れるのだ。

 なお、主人公ギホンを演じるのは、映画『トガニ 幼き瞳の告発』(2011)や『新感染 ファイナル・エクスプレス』(2016)などで知られる韓国のトップクラスの人気俳優であるコン・ユ。本作『SEOBOK/ソボク』では減量して撮影に臨んでおり、過去のトラウマに苦しみ、余命いくばくもないからこその「必死」さが存分に伝わる熱演を見せていた。

 クローンの少年ソボクを演じるのは、映画『ブラインド』(2011)でデビューし、『ドラマ『雲が描いた月明り』(2016)でアジアを魅了するスターとなったパク・ボゴム。一見すると純粋無垢な子どものようであるが、一方で静かな怒りのために「非人間的」にすら見える時もある。彼ら2人のファンはもちろん、知らなかったという方でも、その演技力に圧倒されるだろう。

『AKIRA』のような超能力SF

 人類初のクローンである少年が物質を操る能力を持っており、サイキックSF映画としての見せ場もあることも、本作の大きな魅力だ。日本人であれば、アニメ映画『AKIRA』を思い出す方も多いのではないか。

 そのサイキック能力は、ただ物を動かすだけでなく、大規模な破壊をも可能にする、危険なものであることもわかっていく。しかも、少年にはとある過酷な事実が思い知らされ、怒りを募らせていくため、「彼がいつ暴走してしまうのか」ということがサスペンスになっているのだ。

 少年と確かな信頼を築き上げた主人公の男は、もちろんそんなことは望んでいない。しかし、激しい怒りに伴う強大な力(サイキック能力)の前には、その心情も届かないかもしれない。そんな切なさも含む物語になっているのだ。大規模な破壊シーンの迫力は元より、この悲劇に進む(のかどうかわからない)作劇こそが、『AKIRA』を強く連想させるというわけだ。

 本作でもう1つ面白いのが、「なぜ人は生きるのか」という問いかけが行われていることだ。それは、前述した主人公2人の関係性にも密接に絡んでいる。

 なぜなら、人類初のクローンである少年は「不老不死」でもあり、その細胞を利用することで人類全てが、そして主人公の男もまた「不治であった病を克服できるかもしれない」と言われているからだ。つまり、彼は「ただ自身が生き延びたい」という利己的な理由のために、少年を守ろうとしているようにも思えるのである。

 だが、物語を追っていく中で「決してそれだけではない」こともわかっていく。その「なぜ少年を守るのか」の問いかけは、いつしか「なぜ人は生きるのか」というテーマに転じる。そして、その問いの「答え」に涙する方はきっと多いことだろう。

 なお、タイトルおよび少年の名前である「ソボク」は、不死の仙薬を求めて海を渡ったとされる、中国の伝説上の人物から取られている。劇中の「生きたい」と願う(のかどうかわからない)心理を逆説的に捉えたタイトルとも言えるだろう。前述したように、派手な見せ場も多くスクリーン映えするので、ぜひ劇場でご覧になって欲しい。

『SEOBOK/ソボク』
配給 クロックワークス
7月16日(金)新宿バルト9ほか全国ロードショー
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  • 7/19 17:00
  • サイゾー

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