舞台『鬼滅の刃』禰󠄀豆子役で注目の髙石あかり「ドアを開けたら違う人になる」

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 舞台版『鬼滅の刃』で竈門禰󠄀豆子役を演じ、いま注目を集める女優・髙石あかりさん(18歳)。テアトル新宿で7月30日から公開となる映画『ベイビーわるきゅーれ』(阪元裕吾監督)では、彼女が初の主演を務める。

 自宅ではぐーたらした普通の女の子。ところが、ひとたび組織から指令が下れば、それを冷徹にこなす殺し屋——。そんな主人公が高校卒業を機に一般社会で“普通に働く”ことに挑戦する。しかし、それがいかに難しいことなのか、身近であり得る「生きづらさ」なども見えてくる。

 今回は主人公の杉本ちさと役を演じる髙石さんに、本作に寄せる思いや今後の女優像について話を聞いた。

◆舞台『鬼滅の刃』禰󠄀豆子役で話題の女優が映画初主演

 主人公の杉本ちさと(髙石あかり)と深川まひろ(伊澤彩織)の元女子高生の殺し屋二人組が、次々と男たちをなぎ倒していく姿は痛快そのもの。そして、高校卒業を控えて「働きたくない」と愚痴る姿には思わず共感してしまう。時折クスッと、そして最後はスカッとさせてくれる、笑いあり、アクションありのコメディー作品。

 髙石さんは、実際に会って話してみると、可憐でチャーミングな18歳という印象。ところが、スクリーンの中にいる彼女は、普段の姿からは想像もできない、組織からの指令を着実にこなす冷徹な殺し屋そのものなのである。

 日常とはかけ離れた“殺し屋”にどのような姿勢で挑んだのか。

「もちろん、殺し屋という設定に抵抗がないわけではなかったです。当たり前ですが、私自身、“人を殺める”という感覚がわからなかったので。

 ただ、だからこそ、役を掴みやすくて演じやすかったです。主人公の二人も“人を殺める”ことに苦痛すら感じていないということが、この映画の面白さのひとつだと思ったので」

◆人の気持ちが知りたい

 女子高生の殺し屋コンビは高校卒業を控え、組織からは一般社会に出て普通に働くように指示が出る。ところが、まひろはアルバイトの面接すら満足にこなせない。一方、何でもそつなくこなすちさとに嫉妬してしまう。

 ある意味「社会不適合」もテーマになっていると受け取れる本作だが、そのことについてはどのように感じたのか。

「自分自身は、アクティブというよりはインドア派で、人の内面に興味があります。そのこと自体は悪いことではないと思いますが。

 ただ、人の気持ちが知りたいあまりに、相手に『それってどういう気持ちなの?』と聞いてしまうんです。それは、人の気持ちにズカズカと入っていくことにもなると感じていて。時と場合を考えないと、社会不適合にもなりかねない……と思うことはあります」

◆メイド喫茶で“萌え萌えキュン”してほしかった

 作中では、一般社会で“普通に働く”ことの難しさなども描かれている。コンビニやメイド喫茶などのアルバイトに挑戦する主人公の二人だが……。

 メイド喫茶は秋葉原を聖地に、今や全国各地で見られる。メイド姿がとてもよく似合っていた髙石さんだが、実際にアルバイトしてみたいと思ったことはあったのだろうか。

「そうですね。でも、それ以前に、お客さんとして『萌え萌えキュン』してほしかったです。実在するメイド喫茶の店舗を借りて撮影したのですが、やはり実際にお客さんとして行ってみたいなって。

 リアルで『萌え萌えキュン』したことはないのですが、アニメでは『萌え萌えキュン』のシーンはよく出てくるんです。その映像をイメージしながら演じました」

◆コンビニのレジ越しに相手を想像する

 また、高校生や大学生の初めてのアルバイトとして定番のコンビニについては?

「やってみたいですね。人を知りたいので、絶対にレジ打ちしたい。人混みや大人数と一度に接するのは苦手なのですが、1対1で人と向き合ったときは常に『目の前にいる人がどういう人なのか』ということを考えています。

 レジ打ちをしていれば、買う物からその人の生活を想像することもできますよね。また、私自身もコンビニで買い物をするときに、向かい合ったレジの人が『面白い』と感じることもあるんです。レジを通して相手を想像して、いろんな人とコミュニケーションしてみたいです」

◆小学生の頃から「ドアを開けたら違う人になる」訓練

 宮崎県にいた12歳のとき、エイベックス主催のキッズコンテスト『キラットエンタメチャレンジコンテスト2014』に入賞し、芸能界入りした髙石さん。ダンスボーカルユニットα‐X's(アクロス)のメンバーとして活躍後、女優に転向。

 この作品では、ヤクザと対峙する殺し屋、メイド喫茶のメイド、ルームメイトとおしゃべりをする普通の女の子と様々な顔を見せるが、すべて違和感がない。18歳ながら、その変幻自在ぶりに驚かされる。

 そもそも、女優を志したきっかけはどのようなことだったのだろうか。

「保育園の頃から女優になりたいと思っていたので、自分でオーディションを受けてこの世界に入りました。何がきっかけだったのかはわからないのですが、当時から『女優になる』と言い続けて今に至っています。

 小学校に入ってからは『家に着いてドアを開けたら違う人になる』と言って、泣きながら帰ったりしていました。自分で演技トレーニングしていたのかもしれません(笑)」

◆“天真爛漫”と“達観”の二面性がある

 ちさとを演じるにあたり、「“ものすごく素直な天真爛漫の彼女”と“どこか達観している彼女”がいて、その二面性が自分と似ている」と話す髙石さん。演じる際には、役と自分との差異は意識しているのだろうか。

「自分から積極的に意識はしていませんが、もちろん、どこか無意識ではしていると思います。今回のちさと役はスッと入れましたが、その二面性に自分との共通点を感じたのは、撮影が終わった後からでした。

 こうしてインタビューを受けていても、役にスムーズに入っていけたのは『似ている部分が多かったからなのかな』とも感じます。最後に“気付き”を頂いている感じです」

◆あえて「ぶっつけ本番」のマシンガン乱射シーン

 本作の山場は、ヤクザとの対決シーンである。プロスタントウーマンでもある伊澤彩織さん演じるまひろは取っ組み合いで華麗なスタントを見せる。髙石さん演じるちさとは拳銃の撃ち合い戦を闘い貫き、最後にマシンガンをぶっ放す。さながら刑事ドラマのような緊迫感のあるシーンに目が釘付けになってしまう。

「プロスタントウーマンの伊澤さんの動きを見ていると、簡単にできそうなのに、いざ自分がやってみると、体が思うように動かなくて苦労しました。本番ギリギリまでずっと練習しましたね。

 また、ちさとが使いたかったマシンガンを乱射するシーンも本物のマシンガンは触ったことすらなかったので、最初は扱いに苦労しました。本番は素に近い状態です。本当に弾が出て自分でも『すごい!』と驚きました。

 じつは、初めて撃つ方が思いっきりやれて迫力が出ると思ったので、まさに、ぶっつけ本番。それが良かったのかもしれません」

◆禰󠄀豆子の「イメージを裏切らない自分でありたい」

 昨年に引き続き、今年も舞台版『鬼滅の刃』で竈門禰󠄀豆子役に抜擢され、ますます注目を集めている髙石さん。舞台「鬼滅の刃」に出演して、周囲の反応に変化はあったのだろうか。

「やはり“ねずこちゃん”と言われることが多くなりました。知り合いも、自分の子どもが禰󠄀豆子みたいに竹を咥えている写真を送ってくれたりしています。

 小さい子どもたちがかわいいと憧れるような役を演じているのだと思うと嬉しくなりますね。同時に、その子が実際に私を見たときに『ねずこちゃんじゃない』と言われないように、イメージを裏切らない自分でありたいと思っています」

◆自然な演技に自信が持てた

 竈門禰󠄀豆子役のほか、ここまで舞台の女優としてキャリアを積み重ねてきたが、映画の主演は初めてだった。映画を撮り終えて「自信になった」とか。

「自分は舞台の経験が多かったせいか、舞台芝居だと言われてきましたが、今回の演技では『ナチュラルなお芝居だね』って言ってもらえることが多く、自信になりましたし、嬉しかったです」

コメントの端々に女優魂を感じさせる髙石さん。これから演じてみたいのはどのような役なのだろうか。

「普段は天真爛漫な役が多いので、物静かな人物の役とか、自分とはかけ離れた人物の役に挑戦してみたいですね」

◆「海外でもお芝居ができたら」

 本作の挿入歌『らぐなろっく~ベイビーわるきゅーれ~』では歌も担当しており、ミュージカル女優として海外でも活躍できそうな雰囲気だが、海外で演じることについて質問をすると、こんな答えが返ってきた。

「最近、海外作品にもどんどん興味が出てきて『アベンジャーズ』シリーズ(12‘~)を見始めました。カッコいい!と感動しています。海外作品……いつか挑戦ができたらいいですね」

 女優になりたい小学生は「ドアを開けたら違う人になる」訓練を続けて、女優になった。

 思い描いたものは叶う可能性がある。そして今、海外に夢を馳せる。「ドアを開けたらハリウッド女優になる」を続ければ、10年後、ハリウッドの舞台にいるのかもしれない。18歳の挑戦はまだ始まったばかり。

<取材・文/熊野雅恵、撮影/萩原美寛、ヘアメイク/西田美香(atelier ism)、編集/藤井厚年>

【熊野雅恵】
ライター、クリエイターズサポート行政書士法務事務所・代表行政書士。早稲田大学法学部卒業。行政書士としてクリエイターや起業家のサポートをする傍ら、自主映画の宣伝や書籍の企画にも関わる。

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