TOKYO NO.1 SOUL SET【後編】僕らの世代はまだまだ可能性ある

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 昨年30周年を迎えたジャパニーズ・ヒップホップのレジェンド「TOKYO No.1 SOUL SET」が活発だ。今春、8年ぶりのニューアルバム「SOUND aLIVE」を、今月17日には「レコードの日」(レコード・ストア・デイ)限定で、アルバムにも収録した新曲のアナログシングル「止んだ雨のあとEP」をリリースした。ボーカル&ギターの渡辺俊美に聞くインタビュー後編は、5年ぶりの新曲「止んだ雨のあと」について。

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 初期の重要曲を再アレンジ、再レコーディングしたナンバーが中心の「SOUND aLIVE」の中で、今年2月に新曲として配信されたのが「止んだ雨のあと」だ。5年ぶりという新曲は、どのようにして生まれたのか。

 「お題はあったんですけど、(川辺)ヒロシ君から。2小節のループなんですけれども。それをどういうふうにしていくかで、科学的な実験みたいなのがありまして。ドラムこういうの入れてみようとか、ベースライン変えてみようとか、ピアノの音なんだけどギターでやってみようとか、作り方はいつもと変わらないかな。ヒロシ君のニュアンスのOKが出るところまで(トラックを作る)。それが見えたら早い」

 出来上がったトラックを受けて作詞する、BIKKEの視点も重要なポイントだ。

 「(BIKKEは)面白いもの作らないと嫌だなっていう。ただただかっこいいものとか、良い曲だなみたいなのはゴマンとあるし。なんか面白い、なんか引っかかるみたいな、そういうのってソウルセットは昔からあったって」

 「止んだ雨のあと」の歌詞はロマンチックでありながら、コロナ禍の先の希望を歌っているようにも読める。そう聞くと、渡辺は「(BIKKEが)前だと酔っ払うと全部説明してくれたんですけどね。朝の5時ぐらいから説明タイムが始まるんですけど、最近飲まないから説明してくれない」と、ここではリスナーに解釈を委ねる姿勢を見せた。

 「でも、この前(BIKKEが)ラジオで言ってたんですけど、前に戻ったって言ってました、初期の。(歌詞が)すごくいい。音符に乗せるんではなくて、ちゃんと気持ちが。あと、誰かと比べて俺の方がこれはヤバいと納得して書いてるような気がしますね。初期三部作がそうだったんで」と、手応えは十分のようだ。

 カップリングは、「止んだ雨のあと」に原田郁子(クラムボン)のボーカルをフィーチャーしたもの。原田は2011年の20周年アルバム「全て光」にも参加している。

 「(楽曲が)かわいくなってる。さすがだなっていうか。(ソウルセットに)女性ボーカルすごい合うなって思いましたね。10年前に出した(アルバム『全て光』に収録した)土岐麻子さんの『Sunday』もそうだし、郁子ちゃんに歌ってもらった『全て光』もそうなんだけど、BIKKEの歌詞っていうのは、そういった女性が歌うと改めていい。伝わり方がさらに良くなるというか。だから、『止んだ雨』が『止んだコロナ』に聴こえるというか。郁子ちゃんすてきな」

 ソウルセットと女性ボーカルという組み合わせの可能性を改めて感じた様子の渡辺。ソウルセットは全員50代だが、この世代は1990年代、音楽に大きな変革をもたらした世代でもある。

 「まだまだそういう方法というか-ソウルセットというよりも僕らの世代です-色んな可能性が、僕の中ではあるような気がします。なんつったって、売れたいとかって気持ちより、音楽が好きで集まってる世代というか。だから共有できるものがすごくあると思うんですよね。信じたいというか」

 ニューアルバムから新曲と制作してきて、渡辺は「まだまだ面白いのができんじゃねえかな」と、手応えを口にしていた。

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 ◆TOKYO No.1 SOUL SET 1990年結成。メンバーはBIKKE(ボーカル)、渡辺俊美(ボーカル&ギター)、川辺ヒロシ(DJ)。独自のトラックにメロディアスなボーカルとトーキングラップが交差する唯一無二のスタイルで人気を博し、これまでシングル15枚、アルバム8枚を発表。他にライヴ、ベストアルバムなどもリリースしている。

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  • 7/18 14:06
  • デイリースポーツ

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