TOKYO No.1 SOUL SET【前編】感謝を込める作品を作りたかった

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 昨年30周年を迎えたヒップホップのレジェンド「TOKYO No.1 SOUL SET」が活発だ。今春、8年ぶりのニューアルバム「SOUND aLIVE」を、今月17日には「レコードの日」(レコード・ストア・デイ)限定で、新曲のアナログシングル「止んだ雨のあとEP」をリリースした。ボーカル&ギターの渡辺俊美に聞くインタビュー前編は、30周年について。

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 ライブ活動は行ってきたソウルセットだが、アルバムは8年ぶり、新曲は5年ぶりと間隔が空いた。渡辺はその理由を、ソウルセット特有の関係性によって説明する。

 「人のためとか、人が色んなものに携わっていくのであれば、早く出すというかリズムに乗ってできるんだろうけど、ソウルセットの場合その辺を1回消しちゃってるから、汗かかないでやってる感じを。(実際には)そんなことないんだけどね、3人集まるとそういう感じになっちゃいますね。なんかカッコつけちゃう。素直じゃなくなっちゃう。だから時間かかっちゃう」

 いわゆる「周年」については「あんまり好きじゃない」、「僕ら3人はそういうの全くない」と言いつつも、「あえて30周年っていうのは、ここまで来られたのはっていうところで、(ファンへの)感謝を込める作品(ニューアルバム)を作りたかったなっていうのはありますね」と、ファンファーストの考え方をのぞかせる。2011年の20周年アルバム「全て光」も、ファンが聴きたいであろう楽曲を、女性歌手を迎えてセルフカバーした作品だった。

 渡辺は現在の音楽状況を「みんなテクニシャンというか、賢いというか、自分たちでディレクション、プロデュースもできる、何でもできちゃう」と解説し、対比して「僕らホントにちゃんと学校行ってなくて音楽やってるんで」と笑う。

 そんな時代におけるソウルセットの強みについては「ストリート感は半端ないから、そこですかね。BIKKEも頭良いしな。川辺(ヒロシ)君もそういう現場持ってるし、そういう強みはおのおの(持っている)。僕はセンスとかテクニックよりも人一倍ガッツはあるんで。生きるというエネルギーは。音楽とはまたちょっと関係ないところの3人のバランスはあるんで。それは今の若い子たち、現代の音楽には、いまだにハマんねえなって気はしますけどね」と語った。

 活動休止はあったものの、ここまで継続できた理由を聞くと、渡辺は「分かんないなあ」と笑いつつ、「ただ尊重はしてると思います。みんな優しいし。愛感じますね。あ、優しいなと。いまだに。BIKKE優しいなって。ステージではちょっと照れが入って辛口にやるけど、終わった後、ごめんね、強く言っちゃってみたいな、必ず長いメールが来ますね、BIKKEは。ヒロシ君は言わなくても、なんか雰囲気で分かりますね」と説明する。

 これまで「どうしようかなと思った時はもちろんありますね」という。それでも「テリー・ホール(スペシャルズ、ファン・ボーイ・スリーなど)のインタビューで読んだことあって、『合わないよメンバーとは、価値観、リズムが』みたいな。そういうのも分かんないわけじゃないけれども、でも俺らバンドじゃねえからなみたいな」と、深刻化させることはなかった。

 「バンドってすげえ生き物、肉肉しいっていうか対決してると思うんですけど、僕らその対決感が全くないんで。そんなの意味ないなっていうか、解散とか。いまさらってのもあるし。誰も得しないし。かといって再結成ですみたいなのも、しょうもないなって思ってたんで。あまりかっこ悪いのはやりたくねえなってのは、すぐ想像つきましたね」

 コロナ禍で迎えた30周年。渡辺は「ミュージシャンってお客さんあってのアレだから、早く『明日発売日だから明日になんないかな』みたいな気持ちを、『明日ライブだし』みたいな気持ちをずーっと作っていきたい」と、ファンへの思いを明かしていた。

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 ◆TOKYO No.1 SOUL SET 1990年結成。メンバーはBIKKE(ボーカル)、渡辺俊美(ボーカル&ギター)、川辺ヒロシ(DJ)。独自のトラックにメロディアスなボーカルとトーキングラップが交差する唯一無二のスタイルで人気を博し、これまでシングル15枚、アルバム8枚を発表。他にライヴ、ベストアルバムなどもリリースしている。

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  • 7/18 14:05
  • デイリースポーツ

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