夏休みに!親子で観て考えたい戦争映画5選

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日本では終戦記念日の8月15日に合わせて、毎年いくつかの戦争映画が夏休みに公開されます。2021年は映画「映画 太陽の子」など。しかし、大人向けの作品であることが多く、子どもが理解するには難しいものも。そこで今回は、親子で観てともに考え語り合いたい戦争映画を5本ご紹介します。

1.映画「少女ファニーと運命の旅」(2017)

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少女ファニーと運命の旅

少女ファニーと運命の旅

2016年/フランス=ベルギー/96分

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ナチス政権下のフランスでスイスを目指す子どもたちを描いた実話映画「少女ファニーと運命の旅」。1943年ナチスドイツ政権下のフランス。

13歳の少女ファニー(レオニー・スー・ショー)は幼い妹2人や仲間とともにユダヤ人を匿う施設からスイスへ逃亡する予定だったが、道中、引率者の大人とはぐれてしまう。ファニーとともに残されたのは、幼児も含む9人の子どもたち。

利発で引率者をサポートしていたファニーは9人を連れ、子どもたちだけでスイスの国境を目指すことに・・・。実在の女性ファニー・ベン=アミの自伝を実写化した感動のトゥルーストーリーです。

ユダヤ人の子どもが周囲の助けを借りながら戦争を乗り越える話は少なくないですが、本作で描かれるファニーの旅路は大人の手をほとんど借りられず、子どもたちの知恵と勇気で彼らにとっての戦争を乗り越えていく姿に激しく心揺さぶられます。

しかも映画では9人ですが、実際はなんと17人もの子どもを率いてスイスの国境越えを成功!まさに奇跡の実話なのです。

また、ファニーをはじめとした子どもたちが全員可愛い!!幼いながらに美男美女!なので彼らがピンチに陥るたびにハラハラしながら観てしまいます。

直接的に残虐なシーンがなく、「サウンド・オブ・ミュージック」のように幼い子どもが「ちょっと楽しそう」と思ってしまうようなシーンもないので、小さなお子さんの戦争映画デビューにもオススメな作品です。

2.映画「ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命」(2017)

Happinet phantom

ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命

ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命

2017年/チェコ=イギリス=アメリカ/124分

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第二次大戦下でホロコーストの中心地となったポーランド・ワルシャワでユダヤ人を救うために奔走した夫婦を描いた映画「ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命」。

当時、ドイツから迫害されていたユダヤ人を救った偉人は、映画「シンドラーのリスト」(1994)のオスカー・シンドラー、映画「杉原千畝 スギハラチウネ」(2015)の杉原千畝などがいますが、ここに加えていただきたいのが、本作の主人公ヤン&アントニーナ・ジャビンスキ夫妻(ヨハン・ヘルデンベルグ/ジェシカ・チャステイン)です。

この二人、なんとユダヤ人迫害が最も深刻だったポーランドのワルシャワ・ゲットー(ユダヤ人隔離地域)からたった2キロの距離に位置し、戦時中、ドイツ軍人の養豚場となったワルシャワ動物園内にユダヤ人を匿い逃がすという「灯台下暗し」大作戦を成功させた偉人夫婦なんです。

その数、なんと300人以上!もはや忍者か神業です!

本作にはアントニーナ夫婦の他にも時代に翻弄されたドイツ人動物学者ルッツ・ヘック(ダニエル・ブリュール)や医者で児童文学作家のヤヌシュ・コルチャック(アルノシュト・ゴールドフラム)も登場します。

戦争がなければともに文化や学問を発展させていったはずの彼らが、戦争によって良好だった人間関係や信頼、愛さえも歪められていく様がリアルに描かれ、その中で彼らが何を選択していくのか?自分だったらどうするのか?を深く考えさせられる作品です。

日本で戦時下の動物園を描いたものといえば児童文学「かわいそうなぞう」をモチーフにした映画「小象物語 地上に降りた天使」(1986)などが有名ですが、戦争になったら動物園やそこに暮らす動物たちがどうなるのか?

それに対して人間はどうするのか?親子で話し合うのに最適な作品です。

3.映画「この世界の片隅に」(2016)

Netflix Japan

この世界の片隅に

この世界の片隅に

2016年/日本/126分

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第二次世界大戦下で日々をひたむきに暮らす人々の日常を描いた映画「この世界の片隅に」。1944年、広島・呉にお嫁に行った18歳のすず(声:のん)が戦時下でも暮らしを工夫し、モノはなくとも豊かに生きる姿を温かく描きだし、世界60か国以上で公開されロングランヒットを記録しました。

すずの和やかな性格と語り口調が「戦争」という非日常の中での日常をリアルに想像させてくれ、どんな状況でも大切なのは人と人なのだなとあらためて気付かせてくれます。だからこそ、そんな人々のかけがえのない日常は絶対に壊してはならないし、守らなければならないと思わせてくれる作品です。

4.映画「縞模様のパジャマの少年」(2009)

Miramax

ディズニーが描く第二次世界大戦下のホロコースト映画「縞模様のパジャマの少年」。第二次大戦下のドイツ。

ナチス将校を父に持つ8歳の少年ブルーノ(エイサ・バターフィールド)は父の仕事の都合で越してきた片田舎で、森の奥底のフェンスの向こう側にいる同じ年の少年シュムール(ジャック・スキャロン)と出会う。

フェンスの外に出られないと語るシュムールのために、ブルーノは毎日足を運び友情をはぐくむが・・・。ホロコーストを少年目線で描いた衝撃作です。

完全にブルーノ目線で描かれているので、同世代のお子さんにもオススメですし、「戦争は子どもに上手く説明できない悪行」という点に大人もハッとさせられます。

ブルーノの邸宅からは収容所で人を焼いている煙が見えますが、戦争をしている人たちが悪いのか?観てみぬふりをしている人たちが悪いのか?強制的に右向け右に従わせている人たちが悪いのか?

ドイツ軍側の苦しみや罪悪感も垣間見える形で描かれており、そこにマーク・ハーマン監督や原作者の「なぜ誰も反対しなかったのか?」という問いが刻まれている気がします。

5.映画「火垂るの墓」(1988)

火垂るの墓(1988)

火垂るの墓(1988)

1988年/日本/88分

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日本で最も有名なアニメーション戦争映画「火垂るの墓」。原作は野坂昭如(のさかあきゆき)が自身の戦争体験を綴った直木賞受賞短編です。

1945年の終戦間際、父が戦争に行き、母子家庭だった14歳の清太と4歳の節子の兄妹は、空襲で母と家を失い、叔母の家に身を寄せる。しかし、戦争で貧しかった叔母の家に兄妹の居場所はなく、家を飛び出し防空壕で暮らし始めるが、戦況の悪化とともに二人の貧しさも増していき・・・。

戦時下を生きた幼い兄妹の、涙で煙るヒューマンドラマです。誰も知っている名作映画で、悲劇的な内容ながら、観た方の心には必ず、兄妹が食べていたサクマドロップの空き缶に水を入れたジュースの味が深く記憶されていることでしょう。

それもそのはず。実は本作は、食べ物の描写でのこだわりがハンパないスタジオジブリの高畑勲作品なんです。戦争と貧困という不条理で辛い現実をリアルに描きながらも、サクマドロップのようなほっこりとした描写で大人も子どもも引きつけるのはさすが、スタジオジブリ作品です。


また、子どもの頃は、清太目線で戦争や世間、意地悪な叔母を観ますが、大人になって再度鑑賞してみると、清太に作中のように接するしかなかった叔母の事情も見えてきて、年齢とともに感じ方が違うのも本作の魅力となっています。

日本だけでなく世界中にファンがいる名作なので、まだ観ていない方は必見です。

人間の本質が映し出される戦争映画

イオンシネマ

映画 太陽の子

映画 太陽の子

2021年/日本=アメリカ

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いかがでしたか?

「戦争」という非常事態下では、人間の本質が問われ、戦争映画では人間のリアルな姿が映し出されます。そんな戦争映画を子どもの無垢な視点で観ることで、戦争の愚かさ、大人たちが作ってしまった取り返しのない悲劇、虚しさがよりストレートに心に刺さることでしょう。

また、絶望の中でも一筋の光を探すことを諦めない主人公たちの姿には勇気を貰えます。終戦記念日迎える夏休みに親子で私たちが歩んだ歴史を観て語り合えれば良いですね。


(文/リリヲ)

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