成城石井からも発売「クラフトコーラ」って何?スパイシーな味にびっくり
ブームに理由あり。
「クラフトコーラ」が流行っていますが、みなさんはもう体験しましたか? こだわり系スーパーなどではさまざまな商品が登場し、気になっている人もいることでしょう。
これまでのコーラとは全くイメージが違うクラフトコーラ。コロナ禍における人気の高まりは必然と言っても過言ではありません。
そこで今回は「クラフトコーラ」とは一体どのような飲み物かを解説しながら、人気の理由を3つにまとめてみました。
◆クラフトコーラを飲んでみて驚いた
はじめにWikipediaにおける「クラフトコーラ」の定義を確認すると、次のようになっています。
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クラフトコーラとは、「職人が作るコーラ」、「手作りのコーラ」を表したもので「独立性」「伝統的」「地域性」などがキーワードとなっている、大手飲料メーカーが大量に生産するコーラと対比して使われる表現である。明確な定義はまだない。
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つまり、伝統的と言いながらも、確固たる決まりやルールはなく、日本におけるクラフトコーラはかなり新しい飲み物なのです。元祖といわれる「伊良コーラ」の誕生は2018年7月で、東京・青山で開催されているファーマーズマーケットで移動販売をはじめたことで人気が広がりました。
伊良コーラを実際に飲んでみると、想像以上にスッキリとした甘さであることに驚きます。
そして実感するのが、スパイスやハーブ、柑橘類が奏でる豊潤な風味と香り。シナモン、クローブ、カルダモン、ナツメグ、コリアンダーといったカレーでおなじみのスパイスや、ゆずやライムなどの柑橘類が使われています。
それではなぜこのクラフトコーラが人気を博しているのか? という理由を考えてみたいと思います。
◆①スパイスには多くの薬効があるというイメージ。
ヘルシー志向が高まるドリンク市場の中で、なぜコーラなのか? 先述のようにコーラの今までの概念を脱ぎ捨てることで、その理由がみえてくることでしょう。今回は私なりに人気の秘密を、3つの視点で紹介します。
クラフトコーラが持つ最大の魅力は、多彩なスパイス感にあります。例えば、ソースメーカーとして有名なポールスタアの濃縮シロップには、オーススパイスやヒハツ、花椒などの12種類のスパイスが配合。
炭酸水で割って飲むだけで、奥行きのあるスパイシーな風味を味わうことができます。これらのスパイスはインド料理やソースに使われるものも多く、各スパイスには身体に良いとされる薬効も注目されています。
コロナで疲れ切った私達の心や身体を優しくほぐしてくれる可能性を大いに持っているのかもしれません。それはまるで漢方や温泉を求めることにも近いような気がします。
◆②その土地の特産品を使うことで、“ご当地感”を表現できる
クラフトコーラに使われる原材料に地方の特産品を使った商品も登場しています。例えば、AWAトクシマコーラには、徳島産の柑橘類(幻の果実と言われる“ゆこう”やゆず、すだち)がたっぷり使われています。
また、伝統的な阿波晩茶(乳酸発酵番茶)も使われていて、徳島ならではの特産品に出逢うことできるのです。
クラフトコーラというブームは、地方の農産物をPRすることができる絶好のチャンスとも解釈できます。
◆③懐かしさと人のぬくもりを実感できる
クラフトコーラのデザインパッケージに注目すると、その多くは丁寧にデザインされたものや、レトロな世界観のものが多いことがわかります。
元祖・伊良コーラの店内も、独特の世界観を放っていて、それはまるで令和時代の駄菓子屋のような空間なのです。
工場での緻密な大量生産が可能になった時代に突如、人とのコミュニケーションが制限されてしまう状況になった今、私達はどこかで“人のぬくもり”を求めているのだと思います。
スパイスやハーブを丁寧に調合するだけでなく、お客の目の前で1杯1杯を作ることこそが、クラフトコーラの真髄とも言えるでしょう。
未来に不安を抱えながら頑張っている人々の背中を優しく押してくれるヒントは、古き良き時代の先人や知恵にあるのかもしれません。
クラフトコーラ、しばらくハマりそうです。
<文・撮影/食文化研究家 スギアカツキ>
【スギアカツキ】
食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)好評発売中。著書『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)が発売中。Instagram:@sugiakatsuki/Twitter:@sugiakatsuki12