初対面の男性に体まで触られ…イヤな“飲み会”がなくなった、自粛下の平和

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 7月12日から4度目の緊急事態宣言下におかれる東京をはじめ、各地で自粛生活が続いている。会食・飲み会ができずに寂しがる人がいる一方、真逆の人もいる。……せいせいした。実は飲み会がつらかった。なぜ我慢してたんだろう。 
 そんな“飲み会の暴力性”について、フリーライターの吉川ばんびさんが綴る(以下、吉川さんの寄稿)。

◆隅っこで相槌を打つだけの飲み会

 コロナ禍の真っ只中、人と簡単に会えるご時世ではなくなってしまったせいか、自分がこれまで参加してきた会合を思い出して「あれ、今の自分だったら絶対行かないだろうな」と考えることが増えた。

 例えば、突然招集がかかった大人数の飲み会。全員と仲が良いならもちろん参加したいのだけれど、個人的には、あまり親しくない人が多かったり、「知り合いの知り合い」くらいの距離感の人たちがいる飲み会がもともと得意ではないので、正直に言うと積極的に参加しようとはどうしても思えない。だいたいは、隅っこで相槌を打つ役に徹するか、空いたグラスをひたすらに集めるか、ごはんを食べることに集中しはじめてしまう。

 それでも「大人なんだから」と自分に言い聞かせて参加した会合や「仕事の出会いがあるかもしれないから」と知人から言われて参加した会合では、やはり良い思い出がひとつもない。

◆初対面の男性からしつこく絡まれて

 以前、長らく会っていなかった仕事関係の先輩から連絡があり、家から電車で一時間ほど離れた場所まで会いに行った。遠方に住んでいる先輩から同じように連絡をもらった人たちがたくさん集まり、最終的には十数人くらいで飲みに行くことになったと記憶している。中には全く面識のない人も数人いたが、参加するメンバーのほとんどが顔見知りだったことから、最初はあまり気にならなかった。

 店に入った時点で時刻はすでに23時を過ぎていて、帰りが始発になることは避けられなさそうだな、と思いながら、久しぶりの再会を喜び、先輩や仲間たちと酒を酌み交わした。

 場があたたまったころ、私の隣に座っていた初対面の男性が口説きモードに入ってしまったらしく、初めは軽く受け流していたものの、あまりにも長時間に及ぶ自慢話を延々と聞かされるのに疲れ始めていると、さらに別の初対面の男性が「めちゃくちゃ口説いてるじゃん! 付き合っちゃえよ!」と言いながら乱入してきた。

◆「そんなにおもしろくなさそうな顔をするなら、帰ったらいいのに」

 ガハハハ、と大声で笑う男性はすっかり酔いが回っているのか、時折体に触ってくるなど、尋常ではないほどしつこく絡んでくる。そのノリが深夜二時くらいまで続き、さすがに疲れ果ててしまった私の様子を見て、酔った男性はたいそう気に食わなかったらしい。

 突然、こちらに向かって「おもしろくない」と連発し、しまいには「そんなにおもしろくなさそうな顔をするなら、帰ったらいいのに」と悪態をつき始めてしまった。

 正直、そんな理不尽な話なくない?と思う。帰れるなら帰りたいですよ、と心の底から思っていることを口にすると、その男性はさらに立腹した様子で「帰れ帰れ」と言っていた。

◆その場にいる女性を「ご機嫌とり」の道具に使う人たち

 あとで先輩に「あの人はどんな関係の知り合いなんですか?」と聞いてみると、「いや、俺も今日イベントで知り合って、飲み会くるって言うからついて来ただけの人だよ」と言われた。

 ちなみに、先輩は私を口説いていた男性とも面識がないらしく、酔っ払いの男性が連れてきた、なんの関係もない人だということがわかった。その男性たちとはFacebookで繋がってはいるものの、その後、一度も会っていない。今後、Facebookの“友達”が上限数の5,000人に達したら、真っ先にその二人をそっと“友達”から外すと決めている。

 知っている顔と知らない顔が入り乱れる飲み会は、とにかく治安が悪いことが多い。その場にいる女性を、当たり前のように男性の「ご機嫌とり」の道具に使う人たちと出会うことも少なくない。私は女性なので男性からの被害に遭うことが多かったけれど、男性の友人は「知らない女性から馬乗りになって無理やりキスをされたことがある」と話していた。

◆疲弊してまで行かなくていい場

 大勢での飲み会は社交の場になることももちろんあるだろうけれど、多分もう、あまり出席することはないと思う。自分や友人の経験したエピソードがあまりに最悪すぎて、コロナ禍で人と集まる機会が減ったからこそ、自分が疲弊する可能性の高い会合に、金や時間や精神力を遣う必要性を感じなくなったのだと思う。

 よくよく考えてみると、本当に自分が行かなくてはならない会合なら、おそらく突然召集がかかるのではなく、もっと事前にスケジュールを空けておくよう指示があるような気がする。

 このコロナ禍が終わるころには、最低でもなんとか「それ、オンラインでも大丈夫ですか?」と聞けるだけの勇気を養っておきたい。

<文/吉川ばんび>

【吉川ばんび】
1991年生まれ。フリーライター・コラムニスト。貧困や機能不全家族、ブラック企業、社会問題などについて、自らの体験をもとに取材・執筆。文春オンライン、東洋経済オンラインなどで連載中 twitter:@bambi_yoshikawa

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