【『僕のワンダフル・ライフ』】犬と人間の絆を描いた感動作のあらすじと見どころ(ネタバレあり)

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一匹の犬が転生を繰り返しながら、かつての飼い主に再会するため奮闘する姿を描く映画『僕のワンダフル・ライフ』(2017)。転生するたびに別の犬種になるため、登場する犬も多彩。犬と人間のさまざまな形のつながりと別れを描き、犬だけでなく毒物好きなら感動する作品だ。この傑作についてご紹介しよう!

『僕のワンダフル・ライフ』あらすじ(※結末まで触れています)

『僕のワンダフル・ライフ』DVD(販売元‏:NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン)

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<1回目:レトリバー系の雑種「トビー」>
生後数ヶ月の仔犬だったトビーは、ある日突然動物管理局に捕らえられ、殺処分されてしまう。あまりにも短かった最初の生涯によって、この犬は「自分は何のために生まれて来たのか?」という疑問を抱きながら、転生を繰り返すことになる。
<2回目:ゴールデンレトリバー「ベイリー」>
譲渡会から逃げ出した仔犬は人間に捕らえられ、売られることに。しかも、ひどい暑さの中で車内に放置され、死にかけていた。そこへ通りかかった少年イーサン(ブライス・ガイザー)と母親のエリザベス(ジュリエット・ライランス)が仔犬を救い、ベイリーと名付けて大事に育てる。イーサンとベイリーは二人だけの特別なキャッチボール遊びで絆を深め、イーサンはベイリーを「ボスドッグ(ボス犬)」という特別な呼び方で呼んだりしていた。
しかし、イーサンの父ジム(ルーク・カービー)が昇進狙いで上司夫妻を自宅に招いた際、興奮したベイリーがトラブルを起こして上司を怒らせ、昇進の話は立ち消えに。それ以来ジムは酒浸りになり、数年後に家を出てしまう。
成長したイーサン(K・J・アパ)はハイスクールに進学、アメフト部で活躍する人気者になった。ハンナ(ブリット・ロバートソン)という恋人もでき、アメフトでの推薦で彼女と同じ大学への進学も決まっていたイーサンだったが、嫉妬に狂ったチームメイトのトッド(ローガン・ミラー)が彼の家に放火、脚を怪我したイーサンは選手生命を絶たれ、推薦も取り消されてしまう。自暴自棄になった彼はハンナとも別れ、自宅から遠く離れた農業系の大学に入る。程なくしてベイリーは体調を崩し、家族から知らせを受けて帰郷したイーサンに看取られながら息を引き取る。
<3回目:雌のシェパード「エリー」>
警察犬として大活躍するエリーは、飼い主の警官カルロス(ジョン・オーティス)にとってかけがえのない存在になっていた。しかしある日、誘拐された少女を助けようとしたカルロスをかばったエリーは犯人に撃たれてしまう。
<4回目:ウェルシュ・コーギー「ティノ」>
女子大生のマヤ(カービー・ハウエル=バプティスト)に飼われているティノは、いつも孤独なマヤに寄り添っていた。ある日マヤはかつてクラスメイトだったアル(プーチ・ホール)と再会し恋仲となり、ティノもアルの飼い犬である雌の大型犬ロクシーと出会う。やがてマヤはアルと結婚して子供を産み、ロクシーは年老いて病死する。ティノも、マヤが幸せな家庭を築いたのを見届けると、ロクシーの後を追うように亡くなる。
<5回目:セントバーナード「ワッフルズ」→「バディ」>
ワッフルズは、飼い主の女性ウエンディ(ニコール・ラプラカ)のパートナーに嫌われ、さまざまな虐待を受けた挙句、捨てられてしまう。さまよっていたワッフルズはイーサンの家にたどり着き、一人で暮らしていたイーサン(デニス・クエイド)と再会する。当然ながらワッフルズがベイリー(の生まれ変わり)だとは知らないイーサンはワッフルズを保護施設に預けるが、何かを感じた彼は自分で引き取り、「バディ(相棒)」と名付けて飼うことにする。50歳になった今まで独身を貫いてきたイーサンの寂しさを癒すため、バディは匂いを頼りにハンナ(ペギー・リプトン)を見つけ出し、二人を再会させる。イーサンは過去のことを謝罪してハンナと和解、やがて二人は結婚してようやく幸せになる。バディも喜ぶが、自分がベイリーの生まれ変わりであることをイーサンに知って欲しいと思うようになる。バディは昔よく一緒に遊んだラグビーボールを見つけ出し、例の特別なキャッチボール遊びをイーサンに披露する。それでイーサンはようやくバディがベイリーの生まれ変わりであることに気づき、昔ベイリーが付けていたネームタグをバディに付けるのだった。

犬と人間の関係のいろいろな形

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この作品はW・ブルース・キャメロンの小説『野良犬トビーの愛すべき転生』の映画化。「離ればなれになった最愛の飼い主と再会しようとする犬」という物語は多いが、そこに「犬の輪廻転生」というひねった要素が入っているのがユニーク。しかしこれは、ずっと同じ犬と人間では映画としてもたないという弱点への見事な対処法と言える。つまり、中心となるベイリーとイーサンの物語の間にいくつかの別の物語が挟まれるという一種のオムニバスの形を採ることで、観客を飽きさせないのだ。しかも、同じ犬という設定で違う種類の犬がいくつか登場して、それぞれの物語の主人公になる。もうそれだけで犬好きの人ならテンションが上がってしまう。しかし、それぞれの物語では犬の死による飼い主との別れや、保護犬の殺処分や飼い主による虐待など、現実に大きな問題となっている事柄もきちんと描かれている。そのことでこの映画はただの「いい話」系の作品に終わらず、犬と人間の絆についてより深く考えさせられる作りになっているのだ。これは実に見事な方法だ。
多彩な犬種を登場させて喜ばせ、悲しい別れや犬の飼育に関する問題を描いて悲しませ、ベイリーとイーサンの再会で感動させる。犬好きの心の琴線に触れる仕掛けが数多く施されているのだ(ぶっちゃけ、私のような犬好きなら、観ている間じゅう無条件に号泣しっぱなしになるだろう)。

あの巨匠が再び描く犬と飼い主の物語

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本作の監督は、スウェーデンの巨匠ラッセ・ハルストレム。『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』(1985)で世界的に注目されてハリウッドに招かれ、若き日のジョニー・デップとレオナルド・ディカプリオが兄弟役で共演した『ギルバート・グレイプ』(1993)をはじめ、『愛に迷った時』(1995)、『サイダーハウス・ルール』(1999)、『ショコラ』(2000)、『シッピング・ニュース』(2001)など人間ドラマの秀作を手がけてきたが、そんな彼のフィルモグラフィの流れからすると当時は異色だったのが、日本映画『ハチ公物語』(1987)のリメイクである『HACHI 約束の犬』(2009)だろう。ハチの主観のカットでは犬の視覚に合わせてモノクロ画面にするなど犬の描写を丁寧に行ないながら、オリジナルにも劣らない感動作に仕上げた。彼にとってはこの『HACHI』が本作の原点になったと言えるかも知れない。
出演者は、成人期のイーサンに扮したクエイドをはじめ、地味めだが演技力を備えた顔触れが揃っている。ちなみに、ベイリーはじめ主人公の犬の心の声を担当しているジョシュ・ギャッドはコメディなどを中心に活躍してきた俳優だが、最も有名な役はディズニー・アニメ『アナと雪の女王』シリーズのオラフの声だろう。

本作が好評だったため、続編『僕のワンダフル・ジャーニー』(2019)も製作された。孫娘と離ればなれになってしまったイーサン夫妻の願いを聞き入れ、病気で亡くなったベイリーが再び転生し、孫娘を見守るために懸命の努力をする、という物語。本作の実直な作り方をそのまま受け継いだ傑作となった。

コロナ禍でペットと人間の関係の良い点も悪い点も話題になることが多くなったが、「ペット目線」のこの映画で、ペットと人間の絆について改めて考えてみていただきたい。

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  • 7/13 8:37
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