マーベル&DCの人気アメコミ作品が示す、映画とドラマの関係

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《text:杉山すぴ豊》

ここ数年アメコミ原作のヒーロー映画が人気ですが、その波はドラマ(TV、配信)の方にも押し寄せてきました。ここではマーベル、DCという二大出版社系のドラマについてご説明します。

マーベルというのはアベンジャーズやアイアンマン、スパイダーマン、ブラック・ウィドウ等を抱え、DCはスーパーマンやバットマン、ワンダーウーマン等の所属先。“所属先”という書き方をしたのは、多くのアメコミは原作者ではなく出版社が権利を持っており、描き手を変えて物語を継続させ、コミックだけでなく映画やドラマ、アニメ等を作っています。さらにヒーロー同士を自由に共演させたりできるので、要はヒーローを抱える芸能事務所的な側面もあるのです。

ヒーロー映画のブームを牽引したマーベル “映画のその後をドラマで”



08年以降ヒーロー映画のブームを牽引したのがマーベル。マーベルはMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)という大きな世界観を作り上げ、様々なヒーロー映画を公開しながら、それらが同じ世界観の中の出来事でつながっている、としました。その試みを今度は映画とドラマの関係にも広げています。いまディズニープラスで配信されている「ワンダヴィジョン」「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」「ロキ」はドラマですが、3作とも映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』のストレートな続編。


“映画のその後をドラマで”というわけです。今後はこのディズニープラス発で「ミズ・マーベル(イスラム系の少女ヒーロー)」「シーハルク(主人公はハルクの従妹)」「ムーンナイト(オスカー・アイザック主演)」が始まり “ドラマのその後を映画で”というパターンも生まれてきます。



同じキャラでも、映画とドラマで違うバージョンが存在するDC



DCは社会現象になった『ダークナイト』『ワンダーウーマン』『ジョーカー』等名作映画も多いですが、ドラマの方では12年から始まった「ARROW/アロー」を中心とするシリーズが人気。「ARROW/アロー」はグリーン・アローというヒーローを元にしていますが、この世界観(アローバースと呼ばれています)の中で「THE FLASH / フラッシュ」「レジェンド・オブ・トゥモロー」「SUPERGIRL / スーパーガール」「BATWOMAN / バットウーマン」等のドラマ・シリーズを展開。DCはメディアごとに最適なアレンジをする、という考え方で同じキャラでも映画とドラマで違うバージョンが存在してもいい、というアプローチです。すべてが同じ世界観の中にある、というMCUと一番違うところです。


なので超高速ヒーローであるフラッシュは、映画だとエズラ・ミラー、ドラマではグラント・ガスティンが演じています。しかしアメコミには“マルチバース”というアイディアがある。これは多元宇宙(パラレルワールド)が存在する、という発想。そこでDCは映画とドラマの世界はマルチバースの関係と説明しました。これが顕著になったのはドラマの「THE FLASH / フラッシュ」に映画版フラッシュが時空を超えたという設定で登場。ファンにとってはグラント・ガスティンとエズラ・ミラーのフラッシュが共演するという夢のようなエピソードに。今度はエズラ・ミラー出演の映画『ザ・フラッシュ』にグラント・ガスティンが登場する可能性も出てきました。

一方この夏公開の映画『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』に出てくるピースメイカーというキャラを使ったドラマ・シリーズや来年公開される映画『ザ・バットマン』のスピンオフ・ドラマが、映画公開後に配信サービスのHBO Maxでリリースする予定であり、MCUの映画×ディズニープラス的試みをDCも展開するようです。映画とドラマがいい意味でごちゃまぜになりヒーローの世界がどんどん広がることになりそうです。そして映画からドラマに行っても、ドラマをきっかけに映画にハマってもいいのです。



(text:杉山すぴ豊)

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  • 7/9 17:00
  • cinemacafe.net

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