黒木瞳が3作目を監督「人生には、突然変異みたいなことがある」

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 女優の黒木瞳さんが、「源氏物語」を題材にした内館牧子さんの小説を原作に、映画『十二単衣を着た悪魔』を監督しました。現代を生きるフリーターの主人公・雷(伊藤健太郎)が、平安時代の「源氏物語」という異世界にトリップし、弘徽殿女御(三吉彩花)と出会って成長していきます。

 これまで悪女として描かれてきた弘徽殿女御を、現代的なカッコイイ女性として描いた黒木監督に、監督が惹かれる「女性としての生き方」、監督自身が「大切にしてきたこと」などを伺いました。

◆自分の意思を貫く“弘徽殿女御”が憧れ

――弘徽殿女御のセリフが、現代の女性に響くものばかりでした。黒木監督も、弘徽殿女御のような女性に近づきたいと思われたとのことですが、特にどんな点に惹かれましたか?

黒木瞳監督(以下、黒木)「本作の原作だけでなく、内館牧子さんのほかの小説の、たとえば『すぐ死ぬんだから』などにも書かれているのですが、『若い人に負けないようにして、若作りをしたり競い合ったりと、色んなことをする女性というのは痛い』と。『若い人には負けて、立場というものを知って、状況を受け入れて、自分を知ることで、そのときそのときを輝いていける。それが女性の品格なのだ』と。そうした言葉が、私のような年代になるととても沁みるんです」

――沁みる?

黒木勝ち負けではないんですけど、自分自身を知っていると、自分を好きになることもできるし、他人にも優しくなれる。そういった女性としての生き方、考え方、意識みたいなものは、学ぶべきところがあるなと共感しました。そうした部分を弘徽殿女御はスパスパスパ!と言っていきます。彼女と同じようにはできませんが、でもあんな女性がいたら、さぞ気持ちがいいだろうという思いも込めて、今回、弘徽殿女御像を作り上げていきました」

◆順応性と柔軟性で前に進む

――本作の弘徽殿女御のセリフにも「若い者には負ければいい」という言葉があります。そこまで培ってきた自分への自信があるから言えるのでしょうか。

黒木「自信も味方になっているのかもしれませんね。だから『負ければいい』というただ額面通りの意味ではなく、そういう台詞をサラリと言える大人がカッコイイと思います。なかなか言える台詞ではないけれど、見習いたいと思っています」

――黒木さんも、女優として、また監督として輝いていらっしゃいます。とはいえ、もがいた時期もあるのでは?と思いますが、そうしたときはどう対応されてきたのでしょう。

黒木「私は順応性はあるほうです。潔癖症でもないし、とても優柔不断。だから、『こうじゃなきゃいけない』ってことがないんですよ。『こうかもしれない』と思うことがあったとして、『いや、こうですよ』と言われたら、『そういう考えもあるのか』と一度受け止めたうえで、自分のなかで判断していく。順応性と柔軟性で対応していかなきゃと心がけました。もちろん、ここだけは譲れないといったものもあるでしょう。けれど、そこはおそらく、私自身が気づいていない個性、人が私を見て判断する個性なのかなと思います」

◆30代、40代は、過去も覚えているし、未来もたくさんある

――順応性は、確かに大切ですね。黒木監督から、日々頑張っている大人の女性たちにメッセージをいただけませんか?

黒木「30代、40代の読者が多いと伺いました。まさに一番輝ける時期だと思います。熟している時期というか、過去も覚えているし、未来もたくさんある。とても輝いている時期ですから、有意義に過ごしてほしいです。

 そして、私自身がずっとそうなのですが、好奇心は大切です。欲と好奇心は長生きの秘訣だと聞きました。私はこれが3本目の監督作になりますが、1本目を撮るとなったとき、夢にも思っていなかったので、そんな決断をした自分に自身が驚きました。でも人生のなかには、そういった突然変異みたいなことがあるんですね。『十二単衣を着た悪魔』も、まずは『映画になると面白いだろうな、知ってもらいたいな』という一心から始まりました。これからも、できることをやっていけたらと思っています」

(C) 2019「十二単衣を着た悪魔」フィルムパートナー

<文・写真/望月ふみ>

【望月ふみ】
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。@mochi_fumi

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