安田顕が波瑠の父親役に。「グチグチ考えてしまう自分を否定しないで」

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 40代後半に入り、ますます魅力的な役者として活躍中の安田顕さん。現在、累計100万部を突破した桜木紫乃さんの直木賞受賞作が原作の、ヒューマンドラマ『ホテルローヤル』が公開中です。北海道の釧路を舞台に、ラブホテル「ホテルローヤル」に訪れる人々の人間模様を、ホテルの一人娘・雅代(波瑠)が見つめていく本作。

 安田さんはホテルの経営者で雅代の父である大吉を演じました。群像劇でありつつ、ひとりの女性が一歩を踏み出す物語でもある本作に、安田さんが感じたことを聞きました。迷える女性たちへのアドバイスを伺うと、「グチグチ考えてしまう自分を否定しないで」とステキな言葉が返ってきました。

◆北海道の美しさや広大さに改めて気づいた

――原作は読まれましたか?

安田顕さん(以下、安田)「拝読しました。群像劇として、最後まで興味を奪われることなく一気に読めました。人間、誰しもが持っている愛情の美しさと、美しさとは逆の部分を抱えながら、キレイごとだけじゃなく生きている人たちの生きざまが、随所に描かれていて、非常に興味深かったです」

――出来上がった映画を観た感想はいかがでしたか?

安田塩大福のように、しょっぱくて甘い作品になったなと思います

――本作に出演されたことで、何か新しい発見はありましたか?

安田「僕は北海道出身の人間ですが、いわゆる誰もが思い描く、“ザ・北海道”という風景、景色というものに、作品を通じて触れて、その美しさや広大さに改めて気づきました」

◆大吉は雅代に親として最大限のことをした

――本作は群像劇ですが、雅代というひとりの女性が一歩を踏み出す物語でもあります。そうした物語として響くところはありましたか?

安田「ありましたね。この作品は、踏み出そうとする人たちの背中を、すっと押してくれるような作品になっていると思います

――父と子という点から感じるところはありますか?

安田「雅代の置かれた環境に限ったことではなく、子どもの頃、自分のいる場所から離れて、どこかに行きたいという思いを抱くことは誰にもあることだと思います。実際、僕もそうでした。親としては、自分のできる最大限のことを、大吉は与えたと思います。大吉のライフスタイルのなかで。一番眺めのいい部屋を雅代に与えたりね。大吉として、最大限のことをしたんだと思いますよ」

◆安田顕が考える理想の親とは?

――確かに大吉としては最大限の愛情を与えたのだと思いますが、どうしても娘には伝わりづらいところもあったと思います。安田さんご自身にもお子さんがいますが、どういう親でありたいと思っていますか?

安田理想は、自分にないところ全部です

――ないところ全部?

安田「いつも寄り添い、成長する過程で常に支え、彼女が困っているときには、それを手助けできる具体的な技術があり、勉強が行き詰まれば教えてあげることができ、朝ごはんを作ってあげることもあり、一緒に散歩して、和気あいあいと会話をして。そういう親子関係を、子どもが巣立つまでずっと続けて、巣立ったあとも、お父さんやお母さんのことを大好きに思ってくれていつも帰ってきてくれる。そういう親だといいですね。全くできてないですけど(笑)」

――(苦笑)。これだけは実際にできているぞということは?

安田「『ただいま』と『おかえり』を言う。それくらいですね」

◆グチグチ考えることを否定しないで

――本作は一歩への背中を押してくれますが、女子スパの読者は、一度は踏み出した経験があるのだけれど、その先で迷っているという人も多いと思います。安田さんも、一度就職されたあとに、役者へと方向転換された経験があります。迷っている女性たちに何か言葉をいただけませんか?

安田「そうですね。『グチグチ考える自分が嫌なら、グチグチ考えなきゃいい』というのは、嘘だと思います。グチグチ考えている自分を否定しないようにしてください

――安田さん自身も、グチグチ考えている時期があった?

安田「ずっとそうです。弁の立つ人は、それはそれで素晴らしいですけど、でも弁が立たなくて、相手を慮って大したことも言えないことがあるとして、それを必要以上に否定しないでください。ディベートができる、ディスカッションに長けている、コミュニケーション能力が高い。素晴らしいことです。でも自分がそれに到らないとしても、あなたが何かを発するまでに、心の中では色んな事を考えているはずです

――そうですね。

安田「そうやってグチグチ考えることは決して悪いことじゃないです。すべてを否定しないほうがいいですよ」

――ステキなアドバイスをありがとうございます。最後に、映画公開へのメッセージをお願いします。

安田「きっと30代、40代の女性にとって必要な映画だと思います。感じていただける映画だと。そう、40代後半のおっさんは思います」

(C) 桜木紫乃/集英社 (C) 2020映画「ホテルローヤル」製作委員会

<文・写真/望月ふみ>

【望月ふみ】
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。@mochi_fumi

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