仮想通貨アイドルの今。3年前に給与として支払われた仮想通貨はどうなった

◆海外メディアも注目した仮想通貨アイドルが復活!?

 遡ること今から4年前。ビットコイン価格が大幅に上昇し、’17年末から’18年1月にかけてはまさに「仮想通貨バブル」一色だった。そんな過熱する市場に、突如現れたのが、8人組アイドルユニット「仮想通貨少女」である。

「’18年1月の結成当時、私は高校2年生でした。地元の静岡県から新幹線で都内に通って、アイドル活動をしていましたね」

 そう当時を振り返るのは、メンバーの上川湖遥さんだ。もともと仮想通貨少女は、アイドルユニット「星座百景」から派生したグループだった。メンバーにはそれぞれ担当コインがあり、上川さんはネム(NEM)の担当になった。

「それまで仮想通貨という言葉すら知らなかったので、結成後すぐに猛勉強を始めました。お母さんに基礎知識をノートにまとめてもらって、『ブロックチェーン大全』や『お金2.0』など、関連の本を読み漁りましたね。新幹線で読んでいたら、隣の席のオジサンが不思議そうな顔をしてました(笑)」

◆ライブの様子はCNNやBBCでも

 当時のメンバーの給与の一部は、仮想通貨払い。またライブ会場での物販はすべてビットコインやイーサリアムで決済された。その物珍しさから仮想通貨少女の存在は海を越え、’18年1月12日に行われたお披露目ライブの様子は、CNNやBBCでも報じられた。

「その頃は、めちゃめちゃ忙しかったですね。取材対応は、ほぼ毎日、一日200件近くも問い合わせが来ていると聞きました。取材されること自体、初めての体験だったから、どう発言したらいいのか戸惑いも大きかったです」

 当時の狂乱ぶりをプロデューサーは、次のように明かす。

「シンガポールからもライブのオファーがあったのですが、提示されたギャラは、なんと5000万円相当のBTC。残念ながらメンバーが高校生だったのでお断りしましたが、まさにバブルでしたね」

◆コインチェック事件で犯人に「バカヤロー!」

 しかしグループ結成からわずか2週間後の1月26日、あのコインチェック事件が起きたのだ。

「騒動を受けて私たちも会見をしました。そのとき私がハッカーに対して、『バカヤロー!という気持ちです』と怒った様子がテレビでも流れて、学校でも話題になっちゃって(笑)。コインチェック騒動では、ネム担当がいないと取材が成立しないので、東京で寮生活を始めて、高校も転校しました。生活も大きく変わりましたね」

 ちなみに所属事務所がメンバーたちの給料を支払うためにコインチェックに入金していた200万円も不正流出の被害を受け、口座が凍結されたという。

「事務所からは、日本円での給料支払いを提案されましたが、私たちは『復旧まで待ちます』と言って、仮想通貨での支払いの継続をお願いしました」

◆仮想通貨は軒並み急落

 その後、仮想通貨は軒並み急落。仮想通貨少女への取材オファーもパタリとやんだ。上川さん自身、膝の手術をしたこともあり、表に出る機会は激減したという。

「それからは、歌やダンスのレッスンに注力しました。そもそも急に注目されたのも実力以外の要素が大きかったので、アイドルとしてのスキルを磨くいいタイミングだったと思います。それでも仮想通貨の勉強は続けていたんです。それまでは、自分の担当コインしか知らなかったけど、ひとつでも多くコインの名前を覚えたくて、単語帳に書いて暗記していました」

 取材中、単語帳をもとに記者が質問をすると、上川さんは即解答。見事、正解だった。

◆「仮想通貨少女NFT」としてカムバック

 雌伏の時を経て、今年4月、仮想通貨少女は、「仮想通貨少女NFT」としてカムバック。上川さんは、BTC担当のリーダーとなった。ズバリNFTの魅力とは?

「私たちの新曲『NFT THE WORLD』の歌詞にもあるのですが、例えば古本屋さんで本が売れてもお金が入ってくるのは、お店だけじゃないですか。でも、もしもその本がデジタル化されて、NFTで取引されたら、転売されるたびに作家さんにまでお金が入ります。NFTによって、『良い意味での転売』が生まれることを期待しています!」

◆仮想通貨で支払われた給与は?

 ちなみに3年前、仮想通貨で支払われた給与は、今はかなりの額になっているのでは……?

「実は当時は高校生だったので、お給料はすべてお母さんが管理していました。おそらくBTCもすべて現金化して、使ってしまったと思います……」

 現在、手元にある仮想通貨はわずかなネムだけとのこと。しかし、上川さんの表情は明るい。

「’18年は正直、不完全燃焼でしたが、2代目仮想通貨少女となって、『今度こそ!』という気持ちです。仮想通貨はただの投機の道具ではなくて、素晴らしい未来をつくる技術。わかりやすく楽しく、たくさんの人に仮想通貨の魅力を伝えていけたらと思います!」

 確かな知識と実力を蓄えた仮想通貨少女は、もはや便乗アイドルではない。3年の休眠期間で見事にアップデートを果たし、今度こそ大暴騰してくれそうだ。

【上川湖遥さん】

’00年8月29日生まれ、静岡県出身。2代目仮想通貨少女のリーダー、BTC担当。初代仮想通貨少女ではネムを担当した。「星座百景」でもリーダーとして活動中

<取材・文/週刊SPA!編集部>

―[[総力大特集]仮想通貨]―

2021/7/6 8:53

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