〈潜入ルポ〉院内消毒業者が見たコロナ病棟の非公開真実(3)なぜか病室内で装備を廃棄

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〈PM3時〉

 感染者の部屋の出入り口には「バイオハザードマーク」が入った、医療用廃棄物の箱があります。使用済みの注射針などを廃棄する段ボール箱です。

 ひと通り消毒作業を終えると、消毒従事者全員が、病室内にある箱の中に全ての装備を廃棄します。外部にウイルスを持ち出さないためです。そもそも、扉1枚隔てているだけですから、ドアの開閉だけで病室からウイルスは簡単に漏れてしまうように思えます。その上で病院の規則で、装備を室外には持ち出すなと決められているのです。

「なんで病室内で装備を外すのだろうか。消毒作業員は感染しないのか」と疑問を感じましたが、先輩たちは当たり前のように装備を捨てていきます。私は怖かったので、高価なN95マスクだけは外しませんでした。ちなみに、病室別に装備を脱ぎ捨てて、また着るというルーティンはかなり汗だくになりました。Tシャツを絞れば、汗のジュースが滴るほどです。

 作業で多いのは、いわゆる「退院清掃」。軽症者は2週間ですぐ退院するため、回転が速いとのことでした。

 退院した患者の部屋を清掃するミッションは、壁やスイッチ類、ナースコールボタン、浴槽、トイレ、床、ベッドの側面、金具部分まで、あらゆる部分を丁寧に消毒しなければいけません。いい加減だとすぐ病院からクレームが入るそうで、細心の注意が必要です。看護師長は、ホコリひとつでもクレームを入れてきます。これが怖いんだと、先輩たちは言っていました。それほどストレスが溜まっているのかもしれません。

〈PM4時〉

 この時間になると終業時間まで医療用廃棄物の段ボールを組み立てたり、病室の外の床を拭いたりして時間を潰します。入院患者が少ないからです。

〈PM5時〉
 つつがなくこの日の業務は終了。自分が感染していないか一抹の不安がよぎりましたが、現在、1カ月が経過し、問題はなかったようです。

 本当に医療崩壊が起きているのか、京都の現場だけではよくわかりませんでした。もちろん、医療体制が逼迫しているという東京や大阪、沖縄などの状況を知るべくもありません。しかし、実際にリアルな現場を体験したからこそ、感染恐怖の一端を理解したつもりです。

(フリーライター・丸野裕行)

*「週刊アサヒ芸能」7月8日号より

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