釈由美子、初めての海外映画『ロックダウン・ホテル』出演で怪演を魅せつける!

 コロナを予見したと話題のパンデミックホラー映画『ロックダウン・ホテル 死・霊・感・染』がいよいよ7月2日に公開される。同作では海外進出一作目となる釈由美子さんが作品の重要な役どころとなる妊婦のOL役を熱演。そんな彼女に作品の魅力や撮影エピソードを直撃リポートした。

――同作が海外映画初出演ですが、オファーの経緯は?

釈由美子(以下、釈) 監督のフランチェスコ・ジャンニーニさんが〝ナオミ〟という妊婦の日本人OL役を探していたところ、私が過去に出演した『ゴジラ×メカゴジラ』や『修羅雪姫』などを見ていただいてオファーをいただきました。どこか影があるけど、強い芯を持っている〝戦う女性〟というのがナオミのイメージだったみたいです。

――初の海外作品ということで不安はありませんでしたか?

 子どもを産んでから映画に出演していなかったのですが、ひと段落したということもあって「やってみたいな」と。純粋に海外映画の現場に興味が湧いたこともあって、〝武者修行〟するつもりで出演を決めました。

――言葉の壁があって大変そうです。

 以前に『英語でしゃべらナイト』(NHK)という番組に出演していましたが、さすがに15年前なのでゼロからのスタートという感じでした。現場入りする前に英語のコーチングスクールとか、オンライン英会話で必死に勉強する毎日。ある程度は英語に慣れてきたんですけど、現場入りして大失敗に気づきました。

――失敗ですか?

 この作品はカナダのモントリオールで撮影したんですけど、フランス語圏なんですよ。なので、スタッフさんとのやりとりは英語とフランス語が混在する感じで、ほぼ通じなくて……。最終的には開き直って、ジェスチャーを交えてなんとか意思疎通しました。

――現地のコーディネーターはいなかったのでしょうか?

 最初は日本語が話せる現地の方がいらっしゃったんですけど、やはり人を介在すると的確なコミュニケーションが取れないかなと。それでひとりでやってみようと決めて、たった1人で現場入りしたんです。

――マネージャーさんがサポートしてくれたり?

 いえ、カナダには本当にひとりだけで行ったんですよ。

――え、釈さんだけですか?

 当時の事務所にも英語を話せる人はいないし、それなら1人で行きますと。まあ〝武者修行〟ですから(笑)。

――それはハードな現場でしたね。

 撮影はホテルのフロアを借り切って行われたので、撮影が終了するとそのままホテルの部屋に直行するという感じでした。撮影は2週間くらいでしたが、その間はまさにロックダウン状態。移動がないのはラクでしたけど、朝昼晩の食事がずっとホテルのレストランでちょっと飽きてきたりしましたね。あと、メイクのままで食事することもあって、ホテルに普通に宿泊していたお客さんがビックリするみたいなハプニングもありました。

――ちなみにオフの日は何をされていました?

 当時のモントリオールは真冬で夜はマイナス20度なんて日もざら。マネージャーもいなかったので、ずっとホテルにこもっていました。唯一カナダのお店に出かけたのはダウンジャケットを買ったくらいかな。

――カナダグースの本場ですもんね。

 というか、日本の現場だと待機場所で暖を取れるんですけど、向こうの現場ではまったく用意されていないんです。日本から用意していったのは作品でも着用しているトレンチコートだけで、夜のシーンはマイナス20度ですから、待機していると本当につらくて。映画のスタッフからは「キャリアウーマン風の衣装を用意してきて」と言われていただけで、さすがに待機場所みたいなものはあるだろうと過信してましたね(苦笑)。

――衣装って自前なんですか?

 予算があまりない映画ですから、持ってこられるものは持ってきてくださいというノリです。

――撮影もそうですけど、演技もかなりハードなものでしたね。

 ウイルスに侵されて床を這いずるシーンがあって、もう全身が筋肉痛になったほど。今まであまりやったことのない演技だったので楽しくなってしまい、「もっとやりたい」と過剰になりすぎて監督から「そこまでやらなくていいよ」と言われました(笑)。

――かなり鬼気迫る表情でした。

 最後はゾンビのように目玉をひん剥いて、顔面崩壊の状態でしたから。日本の映画に出演していたときは、いかに美しく映るかを考えていましたが、あのときはどう見られてもいいなと。自分の殻みたいなものを破れた瞬間じゃないかと思っています。

――やはりあのシーンが一番難しかったですか?

 いえ、あのシーンは極限状態なので何も考えずに演じられました。それよりもウイルスに侵されていく段階をいかに自然に見せられるか、が難しかったですね。

――具体的には?

 例えば、ナオミがホテルで軽く手が震えたり、咳き込んだりするシーンがあります。そこではまだウイルスに感染しているかどうかの境界線なので、わずかな違和感に抑えて演じることが重要です。手の震えや咳き込みはウイルスに関係なく日常にも起こり得ることなので、その自然な演技と殺人ウイルスがリンクすれば観客の恐怖もリアルになりますよね。

――とくにコロナ禍ということもあってドキッとしました。

 撮影当時はこんな状況になるとは思っていませんでした。いま映画を見る人にとっては、監督やスタッフ、演者たちが想定していた以上の迫力や恐怖みたいなものを感じられるかもしれません。

――そのほかに見どころはありますか?

 ウイルスに侵された特殊メイクはかなりリアルで迫力があります。あと、主演のヴァルが子どもを探すために非常階段に出たときに上を見上げるシーンがあるんですけど、その映像がとてもカッコイイ。そういう日本のホラー映画とはカラーが違う映像の美しさも見どころです。

――それでは、この映画で〝武者修行〟を終えた釈さんの今後は?

 実は海外映画の2作目も撮影が終わっているんです。アメリカの作品で、詳細はまだ明かせないんですけど。そして、これからも日本、海外問わず、女優として活動していきたいと思っています。でも、まずはこの『ロックダウン・ホテル 死・霊・感・染』で私の〝武者修行〟の成果を楽しんでください!

(文/丸山大次郎)
(写真/河西遼)
(ヘア&メイク/田中宏昌)
(スタイリスト/安永陽子)

釈由美子(しゃく・ゆみこ)
1997年デビュー。女優、タレント。映画『修羅雪姫』、『ゴジラ×メカゴジラ』、『KIRI職業・殺し屋』、ドラマ『スカイハイ』、『7人の女弁護士』(共にテレビ朝日系)などで主演を務め、出演作品は累計100作を超える。ほかにも舞台、グラビア、イベント、ナレーション、広告出演など、多方面で幅広く活躍。『釈ボディ:Shaku’s Body Making Method』(学研プラス)ほか、出版物も多数。愛犬家、一児の母。

[衣装協力]
ドレス(6万4900円)/divka/DRESSUNREVE

〈問い合わせ先〉
ドレスアンレーヴ(DRESSUNREVE Co.,Ltd.)/03-5468-2118

『ロックダウン・ホテル』
仕事も兼ねて日本からやってきた臨月間近の妊婦・ナオミは、運悪く殺人ウイルスが蔓延するホテルに宿泊してしまう。やがて、彼女の身体に異変が現われ始め、さらに逃げ場のない地獄と化したホテルでは想像を絶する心霊現象までが多発する……。コロナ禍の世界を予言したかのような、戦慄パンデミック・ホラーが、7月2日よりヒューマントラストシネマ渋谷、池袋シネマ・ロサ、新宿シネマカリテほか全国ロードショー。
(C) 2020 THE HORRORS OF HALL PRODUCTIONS INC

  • 7/3 16:00
  • サイゾー

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