22歳で起業したモデル兼起業家に聞く“理想の自分”を作るコツ

 もうすぐ夏の季節がやってくる。Tシャツ1枚で過ごす機会も増えてきたが、自粛期間の運動不足でお腹がぽっこり……

 そんなとき、引き締まった腹筋があれば……と思うこともあるのではないだろうか。筋トレやエクササイズを通じて“理想の自分”を目指すためには、モチベーションを保って、継続する力が大事になってくる。とはいえ、それが難しい。何かコツがあるのではないか。

 YouTubeの動画『これで腹筋割れます』が186万回再生以上を記録。学生時代からモデル業、アパレルブランドの社長を務め、現在はチャンネル登録者数20万人超、SNS総フォロワー数40万人超の“筋トレ・フィットネス系YouTuber”としても人気を誇る佐藤マクニッシュ怜子さん(25歳)という女性がいる。

 彼女は「ビジネスでもトレーニングでもモチベーションを保つサイクルを作りだすのが大事」と話すが、いかにして現在の“理想の自分”を作り上げたのか。また、おすすめのワークアウト術やモチベーションを保つ秘訣について話を聞いた。

◆代々木公園で「アバクロ」のストアモデルにスカウトされる

 アパレルブランドの社長で、人気YouTuber。唯一無二のスタイルに思えるが、どのような人生を歩んできたのだろうか。怜子さんは幼少期をカナダで過ごし、高校に進学するタイミングで日本へ帰国。

 ひとつの転機になったのは、アパレルブランド『Abercrombie & Fitch(アバクロ)』のストアモデルにスカウトされたことだった。

「たまたま友人と代々木公園で遊んでいる時に、アバクロのストアモデルにスカウトされました。高校に通いながら、銀座店の店頭スタッフとして接客をやることになったのが、人前に立って振る舞う最初のきっかけになったんです」

 容姿端麗でスタイルの良さが際立つ、いわゆる“美男美女”が接客することで話題となったアバクロだが、実際にストアモデルの中にも芸能事務所に所属している人が多かったという。

「当時はお店にも結構スカウトの方が来ていて、私もたまたま声をかけてもらったんです。そこから事務所に所属し、本格的にモデル活動をスタートさせました」

◆就職活動を半日で断念し、起業の道を志すことに

 大学は国際基督教大学(ICU)へ進学。帰国子女という経験を生かし、飾らない素のライフスタイルを意識したSNSの発信や振る舞いを行うことで、インスタグラマーとしても頭角を表すようになる。

「19歳の時にインスタのアカウントを開設しましたが、ちょうどインスタグラマーという言葉が流行り出した時期でした。モデルやタレント活動と並行し、インスタも運用していったらフォロワーが3万~4万人くらいにまでなったんです。

 芸能活動としてもTV出演させてもらうなど、ICU時代は自分のやりたいことを中心に、学校生活を謳歌していましたね」

 まさに大学生活も、芸能活動も順風満帆だったわけだが、就職活動の時期を迎えると、人生の岐路に立たされる。怜子さんは、進路について思い悩んだそうだ。

「周りの友人は、大企業に就職することを第一に考えている人が多く、積極的に就職活動を行っていました。私自身も実際に企業説明会を見にいかないと、親に『就職しません』と言えないので、まずは話だけでも聞きに行こうと思ったんです。

 そこで、毎年ボストンで開催されるバイリンガル向けの就職イベントに参加したのですが、半日2、3社の企業説明会を聞いた時点で『企業で働くのは向いていない』と悟った。

「同じリクルートスーツを着て、同じメイクをして……と、企業の色に染まるのが嫌で。もっと自分を思いきり表現できるような仕事をしたいと漠然と考えるようになりました。では何をやろうと思ったときに、モデルや芸能系の繋がりが多かったことから、親和性のあるファッションに行き着いたわけです」

 自分の意見を主張することの大切さを教える海外の教育に触れていたことや、経営者としての父親を見ていたこともあり、起業することにためらう気持ちはなかったそうだ。

◆仕事もトレーニングも「モチベーションを保つサイクルを作りだすのが大事」

 こうして、大学在学中にナイトウェアブランド「AMATERAS」を立ち上げ、22歳で起業家としての道を歩む決意をした怜子さん。

 しかし最初は、「若い女性」が立ち上げた会社ゆえ、偏見を持たれたり、下に見られたりすることもあったという。

「アパレルについて何もわからなかったので、一から勉強してブランドを育てていきました。無知ながら、自分がやる以上は責任を持ち、大きくしていきたいという想いを持って取り組んできたんです。

 ただ、初めは人との関わり方で苦労しました。“まだ何も知らない女子大生”と思われてしまうこともあるのか、仕事の話を持ちかけつつ、『あわよくば……』で近づいてくる打算的な男性も結構いて。ビジネスとプライベートの境目が曖昧というか、公私混同しているような……。様々な経験を通し、時に傷つきながら苦労を乗り越えてきたと感じています」

 そんな状況でも、「成果を出すことでモチベーションを高めてきた」という怜子さんは、「シャングリ・ラ 東京」や「アンダーズ 東京」といった一流外資系ホテル、フラワーギフトの「ニコライ・バーグマン」などのコラボレーションを実現させ、ブランドの成長に繋げてきた。

「諦めずに、楽しくやりがいを持つこと。そして、成果を出せば自信にもなるし、次の目標に向けてもっと頑張ろうと思うようになる。これはビジネスでもトレーニングでも一緒で、自分の中でモチベーションを保つサイクルを作りだすのが大事になってきます」

◆誰でもできる目標を決め、習慣化できるよう意識する

 怜子さんは現在、フィットネスやワークアウト関連の動画を配信するフィットネス系YouTuberとしても活躍している。

 もとは高校生の時に理想のプロポーションを目指し、筋トレをやろうと始めたのが背景になっているそう。

 ダイエットしたい、腹筋を割りたい、筋肉をつけてモテたいなどいろいろな動機はあれど、いざトレーニングを実践してもなかなか継続できないことも多いだろう。

 そんな筋トレ初心者はどんなことを意識してトレーニングを行えばいいのだろうか

「私の原体験で話すと、初めのうちは“腹筋女子”を目指したんです。お腹周りがバキバキと割れてくれば、鏡で見たときも自分のスタイルに自信を持てますし、躊躇することなく水着を着れる。そこで、成功体験を積んだことで、次はヒップアップ、バストアップと順にトレーニングしていきました。妥協せずに継続するには、誰でもできることから始めることが大事です。毎日ジムへ通う、二駅分歩く、腹筋運動を寝る前に5分やるなど、何か目標を決めたら習慣化できるよう意識すること。

 理想は努力してやろうとせずに、やるのが当たり前になるくらいにライフスタイルへ溶け込ませることですね。体つきや体重など、目に見える効果が出てくれば、性格やオーラも変わってきて、さらなるやる気にも繋がる。身体に無理な負担がかからない程度に続けていくのが何より大切だと思います」

◆筋トレ初心者は体幹を鍛えるコアトレーニングから始める

 また、夏は一段と体を見せる機会も増える手前、シーズンまでに引き締まった体を手に入れたいと思う人もいることだろう。

 怜子さんにオススメのワークアウト術を聞いた。

「どんなトレーニングをするにしても、最も基礎になるのが体幹です。コアトレーニング(体幹トレーニング)を行なって、体幹を鍛えることから始めるといいと思います。いきなり気合を入れてワークアウトしても、左右の筋肉バランスが悪くなったり、怪我の原因になってしまいます。最初のうちは負荷がかかりすぎない自重トレーニングを中心に行っていくといいでしょう。

 特にトレーニング器具は使わずに行えるので、自宅で手軽にできますし、意外にきつく感じるかもしれません。コアトレーニングを続けることで、基礎代謝や姿勢が良くなり、理想の体づくりの下地ができてきます。自転車を漕ぐようなバイシクルクランチやスクワットなど、いろいろなトレーニングのやり方があるので、動画を参考にトライしてみてください」

◆人生は自分次第。楽しく等身大の生き方を実践すること

 また、メンタル面のコントロールも、トレーニングを継続する上で大切な要素だという。

「今はコロナ禍で苦しい時節柄でもあるので、メンタルの健康を保つことも欠かせません。トレーニングはある種、自己満足を得る機会と捉えてもいいわけで、やるのが楽しくなるような環境づくりをするのも工夫のひとつ。かける音楽や着るもの、食べるものなどで気分は高められるので、日々の生活でコントロールしていくといいでしょう」

 自分を安売りせず、そして周囲に左右されずに、自らの意思を持ちながら等身大の生き方を体現してきた怜子さん。

 最後に今後の目標や読者へのメッセージを聞いた。

「社会的なルールはありますが、結局自分の人生を決めるのは自分なので、周りに流されないことが一番です。何歳になってもやりたいことはやっていい。今しかできない1番やりたいことを考え、行動してみるといいと思います。

 小さなことでも実りある結果が出ればやる気にもなりますし、それを糧にして続けるようにすれば、いい循環が作れるでしょう。私自身もAMATERASが10周年を迎える頃には、新たなベンチャー起業を立ち上げられるよう、目標持って取り組んでいるので、それに向けて日々精進していきたい」

<取材・文・撮影/古田島大介>

【古田島大介】

1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

2021/7/3 15:52

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