ボーナス代わりに支給されたのは「醤油」…ボーナスもらえない人たちの悲哀

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 6月から7月にかけて支給される夏の「ボーナス」。2020年から続く新型コロナウイルス感染拡大の影響で、減額やカットされてしまう人もいるだろう。しかし、ボーナスをもらいたくても叶わない人たちもいる。主に「非正規雇用者」たちだ。

同じ仕事をしているのに正社員だけがもらえるのはズルい!

 そんな思いを抱えた人たちも少なくない。また、会社の業績悪化などを理由に雇用形態を問わず、「支給なし」となってしまうこともありうる。そんなとき、お金以外の現物が配られることもあるだろうが……。

◆ボーナスとして支給されたのは、まさかのシロモノ

 友人Aの会社のボーナスがありえなかったと話す、川上ななこさん(仮名・20代)。Aの会社はごく普通の会社で、入社して初めてのボーナスは業績に応じた額が支給された。その後、利益は出ているものの業績が落ち込んだときに迎えたボーナス。

 支給されたのは「なぜこれ?」と思ってしまうほどのシロモノだったという。

「ボーナスとして支給されたのは、まさかの醤油だったんです。その時期、Aは『今回ボーナスないかも』と言っていました。Aはもちろん、その職場の方たちも動揺を隠せなかったようです」

 Aと仲の良い上司は「ボーナスがでない年もあったけど、醤油が支給されたのは初めて」と驚いていたそうだ。支給された醤油はどんな物だったのだろうか……。

「スーパーでは見たことのない種類でしたので、製造元や名前で検索しました。スーパーなどで購入できる普通の醤油の相場は大体1リットル300円前後だと思うのですが、その醤油は、1500円くらいの値段だったのを覚えています

◆会社は醤油とは無関係

 だれもが「それだったら1000円でもいいから現金で支給してほしいよね」というのが正直な気持ちだった。しかも、その後も醤油での支給が2回程続いたのである。

「Aは一人暮らしだったので、毎日料理をするわけでもなく使い切ることはありませんでした。スーパーで販売している醤油とさほど味も変わらないので本当に困ったと言っていました」

 初めて聞いたときはビックリして笑うしかなかったという川上さん。ちなみに、Aの会社は醤油とは一切関係のない業種だった。そのため衝撃のボーナスとして記憶から離れないと話してくれた。

◆「何に使おうかな」職場の楽しそうな会話にイライラ

 田中美羽さん(仮名・30代)は、非常勤スクールカウンセラーとして10年間勤務していた頃のエピソードを教えてくれた。

「1校につき、1週間に1回の勤務ではありましたが、8時間労働でした。なので、当日に面談記録を書かないと忘れてしまうんです。そのため、学年主任や管理職と同じくらい残業もしていました」

 田中さんの年間勤務日数と給料は決まっていたため、サービス残業だったという。それなのにボーナスがないなんて……という思いと、ボーナス時期の周りのウキウキした状況には耐えがたい心境だったようだ。

「常勤の教職員からは、『ボーナス嬉しい』『何に使おうかな……』『旅行行こうよ』などの楽しそうな会話が聞こえてきます。私は1円ももらえないので、ボーナスを使って楽しもうという発想すらありません」

「常勤」というだけで、何でも優遇されることに納得がいかない。「非常勤」というだけで何年勤めていてもボーナスがゼロという状況はありえないと、理不尽な扱いに対して怒りを露わにする田中さん。

◆アルバイトをするしかない

「常勤の方は8月のお給料もありボーナスもあるので、夏休みは待ち遠しいものでしょう。しかし私の場合、8月は完全に勤務もなく、ボーナスもないため単発のバイトをしなくては生活が成り立ちませんでした」

 田中さんのようなスクールカウンセラーの仕事は、臨床心理士である。大学院修士修了は必須だ。教員は大学卒でもいいのに、大学院卒でも非常勤というだけで、こんなに差がつけられなくてはならないことに、現在も違和感を抱いている。

「教員は夏のボーナスをもらって楽しい思いをしているのに、なぜ私たち非常勤は夏もアルバイトして稼がなければならないのでしょうか?」

 職種や業種によってもボーナス事情は異なる。たとえ同じ職場で働いていても雇用形態によってボーナスの有無に差があることは、なかなか受け入れがたいことなのかもしれない。

<取材・文/chimi86>

【chimi86】
ライター歴5年目。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。Instagram:@chimi86.insta

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