『唐人街探偵 東京MISSION』 アジアの名?探偵が東京に集結!本格的東京ロケのサスペンスアクション

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頭脳明晰な警察学校生徒と彼のダメな叔父のコンビが活躍する中国映画『僕はチャイナタウンの名探偵』シリーズの3作目、『唐人街探偵 東京MISSION』(7月9日公開)。タイトル通り東京を舞台に、日・中・タイの探偵が密室殺人の謎に挑む。大がかりな東京ロケと豪華な日本人キャストに注目のこの話題作についてご紹介!

『僕はチャイナタウンの名探偵』シリーズについて

©WANDA MEDIA CO.,LTD. AS ONE PICTURES(BEIJING)CO.,LTD.CHINA FILM CO.,LTD “DETECTIVE CHINATOWN3”

警察学校の学生で、驚異的な記憶力と推理力を持つが緊張すると滑舌が悪くなるチン・フォン(リウ・ハオラン)。彼の叔父でだらしない性格の大ボラ吹きだが、ケンカは強く風水の知識もある自称「探偵」のタン・レン(ワン・バオチャン)。まさに凸凹コンビだが自分に足りないものを相手がサポートするという理想的な名コンビの二人が、各国のチャイナタウンで起きた難事件の謎に挑むシリーズ。
全体的には軽めのノリながら、謎解きミステリーとしての作りはしっかりしていて、古今東西のミステリーへのオマージュも散りばめられている。さらに、アクションシーンも手の込んだ作りになっていて迫力も満点。そして、エンドロールでは歌に合わせて出演者たちがフラッシュモブを行ない、映画の底に流れる和やかな雰囲気を観客にしっかりと印象付ける。
1作目(2015)はバンコク、2作目(2018)はニューヨークが舞台になった。そして、それぞれの映画のラストで、次回作の舞台になる都市が暗示される。次回作のタイトルがラストで表示されたかつての『007』シリーズを思わせるが、人気シリーズでなければできない、堂々たる「次回予告」だ。事実、このシリーズはいずれも中国で空前の大ヒットを記録しているのだ。
1作目は、警官採用試験に落ちたチン・フォンがタイに旅行し、バンコクの中華街で探偵業…とは名ばかりの何でも屋を営むタン・レンに会うが、叔父が殺人犯の濡れ衣を着せられたことで探偵コンビを組み、事件の真相に迫る…という、コンビ誕生を描いた正統派の「エピソード1」。2作目は、スマホの推理アプリで上位にランクインする世界の名探偵たちの大会に出場するためニューヨークを訪れた二人が、他の探偵たちと協力して連続猟奇殺人事件を解決しようとする物語。この大会に出場したものの、飽きて途中で帰ってしまった日本の探偵・野田昊(ひろし)(妻夫木聡)から電話がかかってきて、今回の3作目へと話がつながる仕掛けになっている。
リウは1997年生まれ、中国河南省出身。高校在学中にチェン・スーチェン監督の映画『北京愛情故事』(2014、日本劇場未公開)で俳優デビュー、本シリーズ1作目で映画初主演。その後も、チェン・カイコー監督による日中合作『空海-KU-KAI-美しき王妃の謎』(2018)などの映画、『最上のボクら with you』などのテレビドラマ、そしてバラエティ番組やその主題歌など、幅広く活躍している。
ワンは1982年生まれ、中国河北省出身。嵩山少林寺で修業を積んでから映画界に入ったという異色の経歴の持ち主。16歳の時に出演した『盲井』(2003、日本劇場未公開)が台湾金馬奨映画祭新人俳優賞を受賞したことがきっかけで注目を集め、以後『イノセントワールド/天下無賊』(2007)や『戦場のレクイエム』(2009)などの映画、『士兵突撃』などのテレビドラマなどで活躍。特に、売り出し中の頃にアクション映画への出演を直訴したドニー・イェンに抜擢された『カンフー・ジャングル』(2015)などのアクション映画では、少林寺仕込みの見事な身体能力を披露。アクションもこなせる演技派俳優として、幅広いジャンルで活躍している。
前2作は日本では劇場公開されなかったが、今回は日本が舞台ということで、ついにシリーズ初の日本公開が実現したのだ。

『唐人街探偵 東京MISSION』あらすじ(ネタバレなし)

©WANDA MEDIA CO.,LTD. AS ONE PICTURES(BEIJING)CO.,LTD.CHINA FILM CO.,LTD “DETECTIVE CHINATOWN3”

野田からの協力依頼の電話を受けたチン・フォンとタン・レンは、ニューヨークから中国には戻らず日本に飛ぶ。ところが、成田空港に降り立った途端、出迎えた野田ともども大勢の敵に襲われてしまう。かろうじて逃げ切るものの、事件の重大さと危険度の高さに唖然とする二人。
今回の依頼主は、日本のヤクザの組長・渡辺(三浦友和)。東南アジア商会の会長でマフィアのボスであるスー・チャーウェイ(平山日和)が密室状態で殺され、同じ部屋にいたが薬物で意識を失っていた渡辺が容疑者として逮捕されたのだ。身に覚えのない殺人容疑者にされた渡辺は、事件を解決し自身の無実を証明するよう野田に依頼したが、かなりの難事件と見た野田は二人に応援を頼んだ、というわけだ。
スーの秘書・杏奈(長澤まさみ)は何かを隠している様子でチン・フォンは不審に感じるが、タン・レンは彼女の魅力にすっかりハマってしまう。
しかし、タイの探偵で元刑事のジャック・ジャー(トニー・ジャー)をはじめ、推理アプリ「CRIMASTER」の世界ランキング上位の探偵たちがこのニュースを聞きつけて東京に集結。コンビと野田、そしてジャーは、成り行きから手を組んでこの事件に挑む探偵チームを結成することになる。
しかし、日本警察のエリート警視正・田中(浅野忠信)、謎の指名手配犯・村田(染谷将太)、そして「CRIMASTER」ランキング第1位で正体不明の「Q」が絡み、事件はどんどん複雑化していく…。

日本の要素と俳優を正しく数多く活用した、高品質の「準日本映画」

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冒頭、成田空港での長回しの襲撃シーンからして圧巻だ。小さなギャグを混ぜながらも、無数の刺客たちを相手に戦う三人のアクションは、どこかミュージカルを思わせる美しささえ漂い、物語の世界に観客を一気に引っ張り込む。
この作品では、「外国映画によく出て来るヘンな日本」の描写がほとんどない。あるにはあるがほんのちょっとだし、狙ってわざとやっているのが分かるものがほとんどなので、気にもならない。監督以下スタッフやキャストが、日本のことを十分に研究し、敬意を持って撮影に臨んだことがよく分かる。
渋谷、新宿、秋葉原、横浜の中華街…と、日本人にはおなじみの光景が次々に現れ、そこでアクションやアドベンチャーがどんどん出て来る。日本映画でもなかなかここまで「現地」を使った派手な見せ場は撮れない。それもそのはず、本作は内閣府が実施する「外国映像作品ロケ誘致プロジェクト」の支援対象となっている作品なので、費用はもちろん、ロケ撮影についても日本側からの強力なバックアップが行なわれた。
とは言え、さすがにこれだけは実際には撮影できなかった…というのが、中盤で渋谷のスクランブル交差点で交通マヒが起こるシーン。かと言ってCGによる合成では空気感がまったく違ってくる。これがきっかけで、何と栃木県足利市の競馬場跡地の一部に交差点のオープンセットが作られた。同時期に撮影されていて、やはり実際のスクランブル交差点では撮影が難しいシーンがある映画『サイレント・トーキョー』(2020)とNetflixドラマ『今際の国のアリス』との共同という形で、これらの作品の撮影が終わったら解体される予定だったが、その再現度と需要の高さから、その後も数々の映画やCMなどの撮影に使用されている。
本作は、主演の二人に加えて日本から妻夫木、タイから『マッハ!!!!!!!!』(2003)での超絶アクションで世界的に知名度を上げたジャーが共演、かなり豪華で充実した組み合わせになっている。しかし、日本人キャストに関しても、日本人の私たちから見ても豪華で、上手い配役が行なわれている。
妻夫木は前作に引き続いての出演だが、むしろ前作の出演は今回の作品の“予告”だったと言えるだろう。外国映画への出演が意外に多い妻夫木は、英語や中国語も交え堂々たる国際俳優ぶりを見せている。
日本でもトップクラスの女優と言える長澤をヒロイン役に据えているのもかなり贅沢だが、かつての爽やかな青春スターから今や貫禄に満ちた役がほとんどの三浦、やはり国際俳優として数多くのハリウッド大作に出演している浅野、若手演技派の代表格として活躍を続ける染谷、さらにはコワモテだがどこか愛嬌もある六平直政ら、絶妙なキャスティングには感心させられる。

ミステリーの謎解きという点だけでなく、意外な展開の人間ドラマとしても、ネタバレになりそうな詳しい話を書けないのが恐縮だが、観終わった時の満足度は非常に高い。こういう状況だからこそ楽しみたい、痛快なミステリー&アクションの好編だ。

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