【傑作】東條英機とヒトラーがアフリカで暴れまくる映画『アフリカン・カンフー・ナチス』を鑑賞して気づいた「鬼滅の刃 無限列車編」との共通点 / ほぼネタバレなし

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全く毛色の違う映画なので比較するのは憚(はばか)られるのだが、『鬼滅の刃 無限列車編』と『アフリカン・カンフー・ナチス』の興行収入は天と地ほどの差があるに違いない。一方は、日本映画史を塗り替えるレベルの大ヒット。もう一方は、B級オブB級映画。

何もかもが別物であるが、今回はあえて両作品を比べたい。なぜなら、2つの作品には共通項がある気がするのだ。それをひとことで言うならば、立ち向かっていくカッコよさと言えばいいだろうか。

ちなみに、本記事では2つの作品の登場人物について触れている。大部分がすでに公式サイトで紹介されている情報なのでそこまで影響はないかと思うが、「予備知識ゼロで映画を見たい」って人は気をつけてくれ

そのあたり、大丈夫だろうか? 大丈夫な人だけ、以下に進んでくれ。

・『アフリカン・カンフー・ナチス』のストーリー

手始めに、『アフリカン・カンフー・ナチス』について簡単に紹介しておこう。公式サイトに公開されているストーリーの概要は、こんな感じだ。

「第二次大戦後、ヒトラーと東條英機はまだ生きていた。彼らは逃げ延びた先のガーナを制圧すると、空手と魔術的な国旗を用いながら現地の人々を新たな人種「ガーナ・アーリア人」として洗脳し、世界を侵略するための拠点を築いていく。

圧政の中、心優しき地元の青年アデーは、ヒトラー達に地元のカンフー道場を潰され、愛する恋人を奪われてしまう。復讐を誓うアデーは最強のカンフーを習得するため、過酷な修行に身を投じていくが……」

──すでにお気づきかと思うが、そっち系の映画である。ハマる人はハマる一方で、心に余裕がない人だったら「クソ映画」とのジャッジを一瞬で下しかねない代物。

その点からして、割と万人受けするであろう『鬼滅の刃』とは対照的なのだが、『アフリカン・カンフー・ナチス』を別角度から見れば心を揺さぶられるポイントは同じだと私は断言したい。

・鬼滅の感動ポイント

まず『鬼滅の刃』に関して言うと、煉獄(れんごく)さんの存在が作中で大きな役割を果たしていることは鑑賞者の多くが同意してくれるだろう。特に最後のシーン。難敵に立ち向かっていく煉獄さんの姿には、少なからぬ人が涙したに違いない。

同じような感動シーンは、『アフリカン・カンフー・ナチス』にだって……

無い! あるわけがない。ゼロだ。バトルシーンはあるものの、煉獄さんっぽさのかけらもない……が! 私には『アフリカン・カンフー・ナチス』という映画自体が難敵と対峙している気がしてならない。

それは何かというと、タブー。歴史的なタブー……だけではない。アジア人のアレの話とかも出てきたから、人種差別的なタブーもちょい入っているだろう。

見方を変えれば、多くのメディアが避けて通るような内容を無遠慮に取り扱っているのが『アフリカン・カンフー・ナチス』……ってことになる。

もちろん、(お察しのように)ストーリー自体はメチャクチャである。控えめに言っても「超弩級のアホ映画」であるが、その根底には「臭いものにフタをする気なんてサラサラないぜ」という静かな気合いが漂っているように思うのだ。

・クレーマー全盛時代の怪鳥

それにしても、昨今はハンバーガーを食べている写真を記事に載せるだけで、「記者の顔が気持ち悪くて不快な気分になりました」という内容の苦情メールが普通に来る時代である。そんなクレーマー全盛時代を、『アフリカン・カンフー・ナチス』はナメ腐っているとしか思えない。

そもそも、上述のタブーをアホなテイストで描く時点でリスキーだ。下手したら右側からも左側からも火炎瓶が投げ込まれて炎上させられる “危険地帯” であるが、映画は 「徹底的なバカバカしさ」という名の防護服で炎を防ぎ、何ごともないかのように進んでいく。

つまるところ、鬼滅の煉獄さんは剣と責任感で難敵に立ち向かっていったのに対して、『アフリカン・カンフー・ナチス』の製作者はギャグという武器でタブーと対峙している。そういう意味で、2つの作品には共通項があると思うのだが……どうだろう。

──「いや、そりゃ強引すぎるよ!」と思う人だっているに違いない。なるほど。たしかに、登場人物の煉獄さんと製作者を比べている時点で無理があるのは否めないのだが、これだけは言わせて欲しい。

私の主張よりも、映画の方が何倍も強引だと。そして『アフリカン・カンフー・ナチス』の強引さと比べたら、私の主張は数学の証明のように理路整然としたものであると。というか、あの映画は強引とかそういうレベルの話ではない。ただのカオスである。

個人的にとりわけヤバいと思ったのだが、ゲーリングのキャスティングだ。何だあれ? エヴァ・ブラウンも無茶苦茶だろ! っていうか、東條英機の……。

──あまり言うとネタバレになってしまうから、これくらいにしておこう。映画の内容が気になった人は、ご自分の目で確かめていただきたい。

最後に念のため言っておくが、『鬼滅の刃 無限列車』の感動を期待して、『アフリカン・カンフー・ナチス』を見に行かないように! 本記事では私が感じた共通項について述べたものの、映画を見終わったときの気分は全く違うから。

『アフリカン・カンフー・ナチス』で泣くヤツなんて、たぶん世界中探してもいないぞ。

参考リンク:『アフリカン・カンフー・ナチス』、『鬼滅の刃 無限列車編』
執筆:和才雄一郎
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