【映画『ジュラシック・パーク』シリーズ】 映画史を変えた大ヒットSFシリーズのあらすじと解説

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科学技術によって現代に生み出された恐竜たちが人間に襲いかかる!1993年に始まり今や世界的な人気シリーズとなった『ジュラシック・パーク』シリーズ。当時の最新映像表現によって表現された生物感満点の恐竜たちは、まさに“革命”だった。最新作が来年公開されるこのシリーズを振り返り、各作品についてご紹介しよう!

『ジュラシック・パーク』シリーズについて

Crowds at greater union, George St where."Jurassic Park" is showing. October 5, 1993. (Photo by Dallas Kilponen/Fairfax Media via Getty Images).

医学博士号を持ち、医学や科学を題材にしたSFやサスペンスを数多く執筆した人気作家マイケル・クライトンが1990年に発表した『ジュラシック・パーク』は、空前のベストセラーになった。
考えられる理由はいくつもあった。
琥珀に封じ込められていた太古の蚊の腹にあった血液から恐竜のDNAを取り出し、さまざまな現代の生物のDNAなどを利用して恐竜を再生するという、一見奇想天外だが現代の科学技術なら可能かも?と思わせる設定のインパクトの強さ(2012年になって、DNAの半減期の短さに関する研究結果から、この設定の実現の可能性は否定されてしまったが…)。
その恐竜たちを利用したテーマパークを作ろうという、これまた現代ならありそうな設定(これは実際、ユニバーサルスタジオのアトラクションとして部分的に実現されることになる)。
そして、恐竜たちがコントロールできなくなり人間を襲い始めるというパニックもの的な展開。これは、クライトンの初期の作品『ウエストワールド』のコンセプトを発展させたものと言えそうだ。同作は、本物そっくりに作られたロボットの人間や動物を使ったテーマパークで、ロボットが原因不明の暴走を始めて人間を襲うというストーリーで、かなり『ジュラシック・パーク』への影響が強いと言えそうだ。
『ウエストワールド』、クライトン初の劇場用映画監督作品として1973年に自ら映画化したが、この『ジュラシック・パーク』も実に映画化向きの題材。とは言え、「ふさわしい監督」が手がけないと、原作の魅力をぶち壊してしまいかねない。実際に映画化を手がけたのは、ハリウッドを代表するヒットメーカーのスティーヴン・スピルバーグ。『E.T.』(1982)などのSFファンタジー、『インディ・ジョーンズ』シリーズ(1981~)などのアドベンチャー、そして出世作となった『ジョーズ』(1975)などのホラー系パニック…と、この小説を手がけるには完璧なフィルモグラフィを持っている。
当然のように映画は期待通りの仕上がりとなり、当然のように世界的大ヒット。当然のようにシリーズ化され、原作者のクライトンが2008年に亡くなった後も新作が生み出され続けることになる。

『ジュラシック・パーク』シリーズ解説(1)

◎ジュラシック・パーク(1993年)

『ジュラシック・パーク』DVD(販売元‏:ジェネオン・ユニバーサル)

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インジェン社の社長で自らの財団も持つ実業家ハモンド(リチャード・アッテンボロー)は、遺伝子操作によって古代の恐竜のクローンを生み出すことに成功、中米コスタリカの沖にある火山島「イスラ・ヌブラル島」にそれらを集め、巨大なテーマパークを設立する。彼の依頼を受けて島を視察した古生物学者グラント(サム・ニール)や数学者マルコム(ジェフ・ゴールドブラム)らは、バイオテクノロジーの乱用に一抹の不安を覚える。彼らが心配した通り、いくつかのトラブルが重なった結果、恐竜たちはコンピュータの制御が利かなくなり、人間を襲い始める…。

記念すべきシリーズ第1作。最初、クライトンの別の作品の映画化を考えていたスピルバーグが、クライトンから本作の原作を提示されてのめり込み、クライトンもスピルバーグが監督することを条件に映画化を承諾(前項で書いたように、彼が最も適任だと分かっていたのだろう)。
ハモンドは、恐竜を甦らせて生命工学の「禁断の領域」に踏み込んだ、倫理的に許されない行為をしてしまった人物ではあるが、原作の設定とは違い、金儲けのためではなく恐竜への純粋な愛情を持った人物として描かれている。これはスピルバーグ自身を投影したものと言われている。
当時はまだ映画にCGが本格的に使われていなかったため、それまでの恐竜映画の主流だったストップモーション・アニメの第一人者フィル・ティペットが自身のノウハウを活かしてCGスタッフをサポート。また、恐竜のシーンの大半はスタン・ウィンストンによるアニマトロニクス(動物の皮膚を被せた実物大のロボット)が務め、特に人間とのからみのシーンは迫力満点の画面になっていた。これらの技術が一体となって、この映画で恐竜たちを生物感いっぱいに表現することに成功し、まさしく映画の中でのバイオテクノロジーさながらに「現代に恐竜を甦らせる」立役者になったのだ。

◎ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク(1997年)

『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』DVD(販売元‏:ジェネオン・ユニバーサル)

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前作の惨劇から4年。イスラ・ヌブラル島のパークは閉鎖されたが、実はそこは「サイドA」で、恐竜を生み出し供給する遺伝子工場である「サイトB」がイスナ・ソルナ島に置かれていて、そこも同様に閉鎖・放置されていた。マルコムはハモンドから、恐竜たちが繁殖しているサイトBの調査を依頼される。先行していた古生物学者でマルコムの恋人でもあるサラ(ジュリアン・ムーア)も加わった調査隊の前に、ハモンドの甥で新たにインジェン社の社長となったルドロー(アーリス・ハワード)が率いる大部隊が島に到着する。会社の立て直しを図るルドローはアメリカ本土=サンディエゴにパークを再建しようと画策、恐竜たちを捕獲して島から運び出そうとする…。

待望の続編となったが、「互いに自由に作る」というクライトンの了承の下、映画の製作と原作の続編の執筆が並行して行なわれた。そのため、“原作”とはかなり内容が違っている。また、タイトルの由来にもなったコナン・ドイル作の『失われた世界』の映画化作品である『ロスト・ワールド』(1925)のクライマックスへのオマージュなのか、クライマックスではサンディエゴに連れて来られたティラノザウルスが都会で大暴れするという派手な見せ場が用意されている。
実物大のティラノザウルスの模型が撮影に使用されたが、これがあまりに巨大で重かったため撮影のために移動させることが困難だった。そのため、逆に恐竜の周囲にセットを作るという撮影方法が採られたが、これが手間も省け画面での効果も上がったので結果的によかったという。

『ジュラシック・パーク』シリーズ解説(2)

◎ジュラシック・パークIII(2001年)

『ジュラシック・パークIII』DVD(販売元‏:ジェネオン・ユニバーサル)

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前作の物語の4年後、サイトB=イスラ・ソルナ島とそこに住む恐竜たちは国連とコスタリカ政府によって保護管理の対象となり、人間の立ち入りも禁止されていた。ある日グラントは、実業家と名乗るカービー夫妻(ウィリアム・H・メイシー、ティア・レオーニ)から研究資金に充てるための報酬を条件に、サイトB上空の遊覧飛行のガイドを引き受ける。ところが、彼らが乗った小型飛行機は約束に反して島に着陸してしまう。実は、夫妻の真の目的は、2ヶ月前にパラグライダーで飛行中に行方不明になった息子のエリック(トレヴァー・モーガン)を捜索することだった。グラントの警告を無視した一行は捜索を開始するが、早速恐竜たちの襲撃を受け、夫妻に雇われた男たちが次々に犠牲になっていく。そんな中、驚くべき事実が次々に明るみになっていく…。

このシリーズ3作目からは、クライトンの原作から離れた映画オリジナルのストーリーで製作されるようになる(公開後のノベライズも他の作家が手がけた。また、クライトン自身も本作公開の7年後に死去)。監督はスピルバーグから『スター・ウォーズ』シリーズなどで特殊効果を担当したジョー・ジョンストンに交代。しかし、1作目への「原点回帰」が図られ、恐竜に襲われる恐怖と決死のサバイバルに重点が置かれた。
本作の最大の目玉は、ティラノザウルス以上に巨大で凶暴な肉食恐竜・スピノサウルスの登場だろう。まさにラスボス的ポジションで現れ、グラントたちをたびたび危機に陥れる。1作目から継続して使用されてきたアニマトロニクスも、今回のスピノサウルスのものはシリーズ最大となった。

◎ジュラシック・ワールド(2015年)

『ジュラシック・ワールド』DVD(販売元‏:NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン)

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1作目の惨事から22年。インジェン社を買収したマスラニ・グローバル社は、イスラ・ヌブラル島に改めて恐竜のテーマパークを設置、「ジュラシック・ワールド」として開業するや、世界中から毎日2万人のゲストが訪れる世界随一の人気観光施設となっていた。さらに同社は、遺伝子操作によって新種のハイブリッド恐竜「インドミナス・レックス」を生み出し、ワールドの新しい“目玉商品”にしようとしていた。さらに、インジェン社の警備部門長ホスキンス(ヴィンセント・ドノフリオ)は、ヴェロキラプトル(ラプトル)の調教師オーウェン(クリス・プラット)が4頭のラプトルを制して緊急事態を回避したのを見て、ラプトルを人間の支配下に置き兵器として軍事利用するという自分のアイディアが実現可能であると考える。
そんな中、インドミナスが飼育エリアから脱走してしまう。開発の段階でさまざまな生物の遺伝子を掛け合わせていたため人間に匹敵する知能や擬態などの特殊能力を持っていたインドミナスは、オーウェンらを騙して脱出に成功したのだ。オーウェンの元恋人でパークの運営責任者クレア(ブライス・ダラス・ハワード)はオーウェンと協力して事態の収拾を図るが、駆逐作戦は失敗するどころか翼竜たちまでも脱走させる結果に。そして、恐竜たちはワールドの客を一斉に襲い始め、島は大パニックに陥る…。

14年ぶりに再開したシリーズ第4作で、監督には新進気鋭のコリン・トレヴォロウを抜擢、新たに開業したジュラシック・ワールドを舞台にして、新たな登場人物たちがメインになるなどの仕切り直しが行なわれたが、やはり1作目の「恐怖とサバイバル」を再現しようとする作り手たちの意図ははっきりと分かる。1作目に登場した施設の廃墟が登場したり、オーウェンが1作目の登場人物の後任だったりと、過去のシリーズと同一の世界観の上にあることを細かい描写で示している。また、中盤で非難するために集まっていた大勢の客を翼竜の大群が襲う阿鼻叫喚のシーンは、動物パニック映画の代表作でもあるアルフレッド・ヒッチコックの『鳥』(1963)へのオマージュだろう。その一方で、モササウルスが水族館のイルカショーさながらにジャンプして食らいつく餌になっているのは『ジョーズ』で大暴れしたホオジロザメという、シリーズの生みの親と言えるスピルバーグを意識した小ネタも入っていて、映画ファンには細かいところまで楽しめる。
今回の目玉は、やはりインドミナスだろう。さまざまな生物の「美味しいとこ取り」をして作り上げたため、人間の裏をかいたりカメレオンのように背景に化けたりととんでもない能力を持ってしまった、最強クラスのボスキャラ。これに対抗する最後の切り札として意外な組み合わせの恐竜たちが立ち向かう展開は、カタルシス満点で大いに盛り上がる。

『ジュラシック・パーク』シリーズ解説(3)

◎ジュラシック・ワールド/炎の王国(2018年)

『ジュラシック・ワールド/炎の王国』DVD(販売元‏:NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン)

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ワールド壊滅の悲劇から3年。イスラ・ヌブラル島は恐竜たちが闊歩する世界になっていたが、火山の大噴火が発生し彼らは滅亡の危機に陥ってしまう。ワールドの要職から一転して恐竜保護団体を設立していたクレアは、かつてハモンドのビジネスパートナーだった富豪のロックウッド(ジェームズ・クロムウェル)の支援を受け、恐竜たちの救出に乗り出す。一方オーウェンは、ロックウッド財団の運営者ミルズ(レイフ・スポール)から、前作で生き残ったラプトルのブルーの捜索を依頼され、クレアたちの探検隊に同行する。島は、小規模な噴火を繰り返す火山から溶岩の雨が降り注ぎ、すでに危険な状態だった。彼らは手分けして恐竜の救出準備に当たるが、溶岩や火砕流、さらには肉食恐竜たちにも襲われ、ミルズが派遣した傭兵部隊の船に間一髪で乗り込み、すでに収容されていた恐竜たちとともに島から脱出する。しかし、この救出作戦には、驚くべき陰謀が隠されていた…。

前作とかなり密接につながっている印象を受けるシリーズ第5作。今回は『永遠のこどもたち』(2007)や『怪物はささやく』(2016)が高い評価を得たスペイン出身の J・A・バヨナを監督に抜擢。ロックウッドとミルズの関係や中盤の展開などはシリーズ第2作を連想させる部分だが、中盤の恐竜と火山の溶岩の両方に襲われるオーウェンたちという展開は、かなり派手な見せ場となっている。一方、後半は舞台を限定したサスペンスでグイグイ引っ張り、見た目は中盤より地味ながらしっかり盛り上げている。ラストのとんでもない展開は、シリーズのさらなる盛り上がりを予感させる絶妙な作り。

◎ジュラシック・ワールド/ドミニオン(2022年公開予定)

シリーズ最新作となるこの第6作は、監督&脚本に4作目のトレヴォロウが再登板。今年(2021年)6月に公開される予定だったが、他のハリウッド大作と同様に新型コロナウイルスの影響で延期となり、2022年6月の公開が予定されている。そのため、詳しい内容についてもまだ明らかにされていない。ただ、トレヴォロウの言によれば、本作は原点回帰して1作目のようなサイエンススリラーになる、とのことだ。
出演者は、『ワールド』になってからのプラットとハワードが続投するのに加えて、1作目のメインキャストであるニール、ダーン、ゴールドブラムが1作目以来久しぶりに揃って出演(直接の共演シーンがあるかどうかは不明)する予定であることが発表され、先ほどのトレヴォロウの言葉を象徴するようなキャスティングが行なわれるようだ。

再来年はシリーズ開始30周年。世界のSFX映画の流れを変えたこのシリーズの歴史を改めて振り返ることで、この30年間の映画の技術面での飛躍的な発展を実感することができるだろう。もちろん、来年公開の最新作への期待も、さらに盛り上げることは間違いない。

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