『ドラゴン桜』第9話 高橋海人の「見たくない、でも見たい」涙と圧巻「手の演技」

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いよいよ本番だ!ドラマ『ドラゴン桜』(TBS系)の第9話は、受験を通して成長している生徒たちを祈るような気持ちで見守った。東大専科の生徒たちが受験の出願書を手にした時は、自分も受け取ったような緊張感があったし、いよいよ本番が近付いていることをジワジワと感じさせた。そして、こんなに緊張しながら放送開始を待つのは久しぶりだった。

 受験の苦しさは頑張っても結果が出ない時だ。結果が出るまで時間が掛かるし、どう乗り切るかは本人次第だ。落ち込んでいる暇があるなら、目標がある幸せを嚙みしめて我慢して継続することが大切であり、最終目標である本番に勝てればいいのだ。そしてこれは受験に限ったことではなく、社会に出ても、家庭においても、同じようなことがある。すべてが順調で思い通りになど行かないことの方が多いのだ。

 8話で楓が「知識だけでなく人生で必要なことも教えてもらっている」と言っていたが、受験で感じたことや頑張ったことは生きていくうえでとてもいい経験になる。それも、仲間と濃密な時間を一緒に過ごしたことは生涯忘れられない思い出になるだろう。

■瀬戸屋のチャーシュー大盛りに泣ける

 波打ち際に一人、立ち尽くしている瀬戸。大学入学共通テストの結果に心の整理がつかないのだろう、何も見えていないし聞こえていないような表情なのが、ショックの大きさを物語っていた。それでも、帰る場所は瀬戸屋だ。姉ちゃんの顔を見たら心が緩んで、いつも勉強していたテーブル席に座ったら感情が湧き上がってくる。

 涙があふれて、止まらなくて、声を殺して泣いても、姉ちゃんには全てお見通しだ。そう、帰宅した時の顔で大体の察しがついていたから、「ラーメンでいい?チャーシュー大盛り!」と普段と変わらない笑顔を向けていたのだ。この『チャーシュー大盛り』は瀬戸にとって特別な意味を持っていて、最高のご馳走であり元気が出るものなのだろう。早瀬が東大専科を辞めたくなって落ち込んでいた時に瀬戸が作ってあげたラーメンは『チャーシュー大盛り』、優しさがいっぱい詰まった泣けるラーメンなのだ。

■瀬戸の心情を丁寧に表現したシナリオ

 やっぱり、瀬戸が泣くところは見たくない、でも見たいのだ。帰宅して姉ちゃんと話していた時の優しくてあったかい表情が、ゆっくりと確実に崩れていく。笑っているのか泣いているかの微妙な顔が、みるみるうちに歪んできて涙が流れてくる。ほんの数秒なのに『やっと泣けた』と思う程に時間が掛かっているのを感じたのは、時間経過を見せたことによるものだ。瀬戸が教室を出てから海に立ち寄って帰宅するまでに、藤井が文転を決意したり、理事長室での打合せを入れたことが生きている。

 また、瀬戸が演じる髙橋の手の使い方が絶妙だからだろう、目を覆うような仕草や、握りつぶすようにギュッと手を握ることで、悔しい悲しいといった感情がストレートに伝わってくる。これまでの頑張りと期待からの落胆を表現した泣きの芝居に引き込まれるし、また新しい表情を見せてくれたなと思う。

■いよいよ最終回、どうなる東大専科の生徒たち

 東大専科の生徒は順調に成績を伸ばしていたようで、それぞれ合格点に達していた。岩井と小橋が合格点に達しなかったのは残念だが、来年是非とも頑張ってまた挑戦してほしい。そして、瀬戸だ。

 学年最下位かのら挑戦で、大学入学共通テストで620点を獲得、第一段階選抜ギリギリの現実的な奇跡を狙えるところまでたどり着いたのだ。これって実は一番すごいのではないかと思うのだが、このギリギリなのがまた瀬戸らしいと思ってしまう。学園存続の危機は大人たちに任せるとして、生徒たちには自分が持つ力を二次試験で十分出し切ってほしい。みんな頑張っているし、成長している。もはや東大専科の生徒全員に愛着しかない、全員が東大に合格してほしい。

(文・青石 爽)

『ドラゴン桜』は、2005年7月期に放送され社会的ブームを巻き起こした同名ドラマの続編となる新シリーズ。原作は『モーニング』(講談社)にて連載中の三田紀房氏による『ドラゴン桜2』で、前作ドラマの15年後のストーリーをオリジナル展開で描く。偏差値32の龍海学園は経営破綻寸前にあり、これを打開すべく学校再建のエキスパート弁護士・桜木建二(阿部寛/56)による再建を図るが、理事長の龍野久美子(江口のりこ/40)は進学校化に反対、生徒は姉と2人で両親が残したラーメン屋を手伝う瀬戸輝(高橋海人/22)、バドミントン全国トップレベルの選手である岩崎楓(平手友梨奈/19)、優秀な弟に劣等感があり見返してやりたい天野晃一郎(加藤清史郎/19)など悩みや問題を抱えた生徒たち。桜木の教え子であり弁護士になった水野直美(長澤まさみ/33)の奮闘にも注目の学園ドラマである。

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  • 6/26 18:00
  • 日刊大衆

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