映画『王の願い ハングルの始まり』感想、見どころを解説!文字創造への熱量が伝わる歴史ドラマ

拡大画像を見る

映画『パラサイト 半地下の家族』で一躍スターとなったソン・ガンホが、民を思って新たな文字を創る王を熱演した『王の願い ハングルの始まり』の見どころをご紹介します!あの独特な形をした「ハングル文字」はいかにして生まれたのか?その秘密をユーモアかつエンタメ性あふれる演出で描く作品です!

世界中の言葉の中でも独特な形で書かれる「ハングル文字」。この文字の誕生には、宗教対立による困難な時代の中で、ある王の熱い想いがありました。

映画『王の願い ハングルの始まり』は、のちにハングルと呼ばれる「訓民正音」の生みの親である「世宗王」と、ともに文字の創造に力を注いだ僧侶の活躍を描く作品です。『パラサイト 半地下の家族』で主演を務めたソン・ガンホが主演を務め、歴史映画とは一線を画す、いわば「ものづくり」の情熱を描いた作品となりました。

今回は本作の見どころをはじめ、文字づくりと並行して描かれる、2つの宗教の対立についても解説します。

映画『王の願い ハングルの始まり』あらすじ・概要

朝鮮第4代国王・世宗の時代。朝鮮には自国語を書き表す文字が存在せず、上流階級層だけが特権として中国の漢字を学び使用していた。その状況をもどかしく思う世宗(ソン・ガンホ)は、庶民でも容易に学べて書くことができる朝鮮独自の文字を作ることを決意。低い身分ながら何カ国もの言語に詳しい和尚シンミ(パク・ヘイル)とその弟子たちを呼び寄せ、協力を仰ぐ。だが王を取り巻く臣下たちは、国の最高位である王が最下層の僧侶と手を取り合い、庶民に文字を与えようとしている前代未聞の事態に激しく反発。そんな逆境のなか、葛藤を抱えながらも世宗大王とシンミは民へ贈る新たな文字作りに挑んでゆく……。

出典元:https://eiga-board.com/movies/95193

王の願い ハングルの始まり

王の願い ハングルの始まり

2019年/韓国/110分

作品情報 / レビューはこちら

(C)2019 MegaboxJoongAng PLUS M,Doodoong Pictures ALL RIGHTS RESERVED.

文字の読み書きができない民のために、身を粉にして新たな文字の創造に挑んだ「世宗王」を演じるのは、韓国を代表する俳優ソン・ガンホ。『殺人の追憶』や『渇き』など、韓国映画で注目を集めると同時に、主演を務めた『パラサイト 半地下の家族』はアカデミー賞をはじめ多くの映画賞を受賞。世界的にも知られる俳優となりました。映画『王の願い ハングルの始まり』では、新たな文字の創造に心血を注ぐだけでなく、自身の願いを人々に理解してもらえず葛藤する、重厚な演技を見せています。

(C)2019 MegaboxJoongAng PLUS M,Doodoong Pictures ALL RIGHTS RESERVED.

世宗王と共に新たな文字の作成に挑むのは、位の低い僧侶でありながら、数多の言語を知る和尚・シンミ。彼を演じるのは『殺人の追憶』にてソン・ガンホと共演した経歴があり、犯人役を演じたパク・ヘイルです。ソン・ガンホとは『グエムル -漢江の怪物-』でも兄弟役にて共演しています。『王の願い ハングルの始まり』では、最初はいがみ合っていながらも文字づくりを通して協力し合う姿が印象的。和尚でありながら、少々気性が荒いキャラクターもユニークです。

(C)2019 MegaboxJoongAng PLUS M,Doodoong Pictures ALL RIGHTS RESERVED.

世宗王を支える王后役には、2019年 6月 29日に逝去し、本作が遺作となったチョン・ミソン。世宗王の文字づくりに全面的に協力するだけでなく、新たな文字を女官たち教え伝えていくことを願います。ソン・ガンホ、パク・ヘイルとは『殺人の追憶』で共演し、3人が再び集まったのは16年ぶりです。
 
そして監督を務めたのは『王の運命 -歴史を変えた八日間-』で脚本を務め、本作が初の監督作となったチョ・チョルヒョン。「株式会社タイガーピクチャーズ」の代表取締役でもあり、製作・配給・広報・企画といった、あらゆる映画事業に携わるヒットメーカーでもあります。

『パラサイト』とは真逆の演技が光るソン・ガンホ

(C)2019 MegaboxJoongAng PLUS M,Doodoong Pictures ALL RIGHTS RESERVED.

映画『王の願い ハングルの誕生』にてソン・ガンホが演じるのは、「ハングル」誕生のきっかけとなり、現在も韓国の老若男女から尊敬されている「世宗王」。大きな権力を持ちながらも、民のことを常に考え「易しく誰でも学ぶことができる文字」を創り出すために奮闘します。

ソン・ガンホといえば、無職だけど楽観的な父親役を演じた『パラサイト 半地下の家族』の演技が記憶に新しいですが、『王の願い ハングルの誕生』ではその真逆ともいえるシリアスな演技を見せています。文字づくりに対する情熱はもちろん、立ちはだかる障壁に苦悩する様子は必見です。王が位の低い僧侶と共同作業をしていることが臣下に知られ、非難を受けてしまうなど、良かれと思っていることを否定される姿は胸を締め付けるものがあります…。

さらには糖尿を患い、失明寸前とまで宣告されてしまい、新たな文字の誕生をこの目で拝めるかも怪しい…。満身創痍なうえに、常に追い詰められているソン・ガンホの姿はなかなか見れないはずです!

アウトローな和尚さんを演じるパク・ヘイル

(C)2019 MegaboxJoongAng PLUS M,Doodoong Pictures ALL RIGHTS RESERVED.

皆さんは和尚さんと聞くと、どんなイメージを抱きますか?心が広く穏やかで、優しそうな印象を持つ方も多いであろう中で、『王の願い ハングルの始まり』でパク・ヘイルが演じるシンミ和尚はかなりアウトローな性格です。当時の朝鮮は儒教を強く信仰し、仏教とは対立関係にありました。シンミも上流階級の人々に蔑まされていることに怒っており、最初は世宗王にさえ食って掛かる勢いです。あまりの態度に世宗王から「和尚はみんな気が短いのか…?」と言われるほど。

また、文字づくりの場でもそのスパルタっぷりを発揮し、世宗王に自身の考えを臆せずぶつける情熱も持ち合わせています。そういう意味では、文字づくりへの情熱は世宗王に負けず劣らず。和尚さんのイメージを覆すほどの熱量を持ち合わせたキャラクターを見事に演じていました。

ものづくりに情熱を注ぐ人に刺さるドラマ要素

(C)2019 MegaboxJoongAng PLUS M,Doodoong Pictures ALL RIGHTS RESERVED.

映画『王の願い ハングルの始まり』における最大の見どころは、新たな文字を生み出す興味深い過程や人間ドラマです。文字という実態のないものとはいえ、その情熱の注ぎ方は「ものづくり」と共通しています。作中ではサンスクリット語をはじめ、あらゆる言語を参考にするだけでなく、星座や琴の音色といった、文字とは直接関係がない要素からもヒントを得ています。

一見、真面目な歴史映画に見えますが、ユニークな演出も見どころのひとつ。水と油と言えるほどいがみ合っていた僧侶たちと王の部下が少しずつお互いを理解し、歩み寄っていく様子もコミカルに描いています。王の部下であろうと、新たな文字のためならスパルタ指導もためらわないシンミ和尚や、「文字づくりは体力を使う」と言って、僧侶に肉を食べるよう勧める場面も。当時の歴史に詳しくなくても楽しめる、モノづくりエンターテイメントの要素が満載です。

なぜ宗教の対立が起きている?王と僧侶のタッグが描かれた理由

(C)2019 MegaboxJoongAng PLUS M,Doodoong Pictures ALL RIGHTS RESERVED.

本作はあくまで史実を元にしたフィクションとなっており、公式サイトにも細かい時代背景は書かれていません。史実では、1446年にのちにハングルと呼ばれる「訓民正音」を制定しました。このとき、ハングルで書かれた仏教書『釈譜詳節』が作成されており、本作はこの『釈譜詳節』の誕生にも着想を得ていると考えられます。

史実によると当時の朝鮮は儒教が国教であり、世宗王は廃仏政策を行っていました。以前まで栄えていた仏教は猛スピードで衰退し、僧侶たちは山奥に追いやられます。こうした背景が、作中でたびたび登場する「儒教と仏教の対立」として描かれているのです。しかし晩年の世宗王は病に伏せると、仏教にすがったともいわれています。誕生したばかりのハングルで書かれた仏教書の存在から、廃仏政策を行いながらも、王と僧侶のタッグを組んで一大プロジェクトに挑むアイデアを得たのかもしれません。

まとめ

映画『王の願い ハングルの始まり』は歴史映画の要素だけでなく、文字づくりにかかわった人々のドラマや情熱を描いた作品です。そのため、当時の歴史を詳しく知らなくても楽しめる演出が散りばめられています。歴史映画初心者の方にも是非観てほしい作品です! 

関連リンク

  • 6/25 10:00
  • 映画board

スポンサーリンク

記事の無断転載を禁じます