VERYモデル牧野紗弥が「ペーパー離婚で夫婦別姓」を選ぶ理由。平等な夫婦の形とは

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 こんにちは、コラムニストのおおしまりえです。

 ここ数年、男女平等の重要性や、性にとらわれすぎない生き方について、耳にする機会も増えてきました。しかし日常生活を見渡すと、「男だから」「女だから」という暗黙の了解のような役割が、今も多くあります。その1つが、“家庭内における夫婦の役割”です。

 共働きにもかかわらず、子育てや家事の負担と責任がほとんど妻にかかっている家庭は多々あります。また、結婚して妻が夫の姓になることで、制度上ただ改姓しただけなのに、「夫の家に嫁に来た」という捉え方をされるケースもいまだ耳にします。
 こうした無意識が世間にあるのは変えようのないこととしても、「うちはこうしようね」と夫婦で話し合い、正すべきところは正すなど、その家庭ごとの最適解を見つけていけたら理想ですよね。
 と、言葉で言うのは簡単ですが、浸透した“無意識”の呪縛は思っている以上に強く、なかなか実行に移すのは難しいもの。

◆VERYモデル・牧野紗弥さん一家のチャレンジ 雑誌『VERY』や『Domani』などで活躍するモデルの牧野紗弥(まきの・さや)さんは、こうした問題に正面から取り組み、家族で“自分たちらしい夫婦の平等”のためのチャレンジをしている最中です。
 その中で印象的なのが、ペーパー離婚により法律婚から事実婚へ関係を変化させ、夫婦別姓という選択を取ろうとしていることです。

 彼女と家族のチャレンジ、そして胸のうちについて話を聞きました。

◆結婚を機に感じはじめた違和感

 現在結婚13年目の牧野紗弥さん。小学校6年生の長女と4年生の長男、そして6歳になる次男の3人を育てながら、モデルとして活動をしています。
 牧野さんは数年前から、夫婦で別々の姓を名乗るという選択について、夫とお子さんを含め家族で話し合いを重ねている最中です

 日本では法律上「夫婦別姓」が認められていません。そのことが「法の下の平等、男女同権に反するのでは」という訴えや議論がたびたび起こっているものの法改正には至らず、6月23日にも最高裁判所大法廷で「夫婦別姓は憲法に違反しない」とする判断が示されたばかり。現状、日本で結婚している夫婦が別々の姓を名乗る方法は、“離婚して事実婚になる”以外にないのです。

 牧野さんと夫は今年中にペーパー離婚を成立させ、事実婚関係となる予定です。日本において夫婦が別姓を名乗るために離婚をするのは、あまり前例のないことかもしれません。
 そもそもなぜ、結婚から13年たった今、こうした行動を起こそうと思ったのでしょう(以下、「」内コメントすべて牧野紗弥さん)。

「私が夫婦別姓という選択を取ろうと思ったのには、いくつか理由があります。1つは、元々姉との2人姉妹で育ち、祖母に『牧野姓を残して欲しい』と幼い頃から言われていたこと。私が結婚しようと思った時、姉はすでに結婚して改姓していました。私は結婚するとき牧野姓のままが良いと夫に伝えて、理解はしてもらいました。ですが、夫の両親の理解を得ることはとても難しかったのです」

 牧野さんは当時25歳。自分の姓を大切にしたい気持ちを伝えようと説明を試みたものの、義両親を説得することはできませんでした
 一旦は気持ちを収め、牧野さんが改姓する形で結婚をします。しかし違和感は、お子さんが誕生してから、さらにじわじわと感じられるようになったといいます。

「結婚して子どもが生まれて家族の形が変化していく過程で、得体の知れないギャップを感じるようになりました。例えば、子どもが生まれた時は『夫の家の孫』といった扱いになったり、七五三やお宮参りといった家族のイベントも、『まずは夫側のご両親の都合や意見を優先して』といった空気感があったりしました。こうしたできごとが積み重なって感じる『嫁に行った』という感覚は、日に日に私の中で、違和感として大きくなっていきました」

◆復職したいのに、復職できない……

「もともと私の母親は、『結婚したら、嫁は夫の家のルールに従うもの』『結婚とは、家同士が縁を結ぶこと』と考えるタイプ」だったそう。だからこそ、牧野さんは妻としてのあり方に違和感を随所で感じながらも、「これが普通なのかな……」と迷いながらも自分を納得させていたといいます。

「転機になったのは、出産と育児のために仕事を休んでいた私が、復職を考え始めた時のことです。当時は夫の予定を優先した上で仕事復帰を考えていたものの、復帰したくてもできない状況が続きました。例えば、復職のためにモデルの仕事のオーディションを入れたいけれど、それが仕事につながるのか分からない“可能性”の段階では、夫の都合をつけてもらえない。
 さらに保育園や幼稚園も、家庭内のことは全部私がやらなくてはいけないと思い込み、気づいた時には夫に家事や育児を渡すことができなくなっていました

 こうした思い込みの原因は、自分の中で“女”や“妻”という立場にバイアス(偏り、先入観)がかかっていたからです。しかし、当時はそれに気づけず、夫に対して『あなたは全然やってない』みたいな感情になり、ギスギスした状態が続き、話し合いをすることになりました」

◆夫のチャレンジ「1週間、家事と育児を全部やる」

 話し合いの場を設けた際、夫さんからは「ちゃんと『して欲しいこと』を言ってくれないと、想像してやるっていうのはできないよ」と言われたといいます。牧野さんはその言葉に「想像が難しいなら、私もどうしていったら良いか分からない」と途方に暮れました。
 すると夫さんから、1つの提案があったのです。

「夫が『それなら、家事と育児を1週間ぜんぶ僕がやってみる』と言ったんです。こうして始まった夫のチャレンジですが、本当にその間、私は何も手を出しませんでした。期間中はママ友たちの協力のもと、ママ友同士のグループLINEに夫も入れてもらい、子どもの送り迎えなどの細かなやり取りまで参加していました。

 こうしたチャレンジの結果、夫からは『今まで紗弥ちゃんが、外にいても家にいても全部のスイッチを常に“オン”にした状態だったことがよく分かった。知る機会を与えてくれて、ありがとう』と言ってもらいました。そしてもう1週間延長したいと、夫が自ら申し出てくれたんです。
 結果としてこのチャレンジの後に夫から、『新しい共働きの形を作っていこうね』と言われました。それと同時に、私は私で女や妻としての役割に自ら縛られることで、夫が知る機会を奪っていたことに気づきました」

 夫さんの中で「妻が抱えているタスクと責任の具体的な重さ」が目に見えたことは、夫婦にとって大きな第一歩。こうして、牧野さんと夫さんは、ふたりにとっての最適な形を探し始めるのでした。次回に続きます。

―牧野紗弥さんと考える“平等な夫婦の形”―

【牧野紗弥(まきの・さや)】
『VERY』『Domani』などのファッション誌や広告で活躍するモデル。1984年生まれ。3児の子育てと仕事の両立に励む等身大の姿が、女性たちの共感を呼ぶ。Instagram:@makinosaya

<取材・文/おおしまりえ>

【おおしまりえ】
水商売やプロ雀士、素人モデルなどで、のべ1万人以上の男性を接客。現在は雑食系恋愛ジャーナリストとして年間100本以上恋愛コラムを執筆中。Twitter:@utena0518

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