「コントが始まらない週末」 影山貴彦のウエストサイドTV【28】

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ドラマ評論も私の仕事のひとつです。4月スタートの各局のドラマについて、「一番面白くなりそうな作品は何だと思いますか?」と某新聞社の方から春先に取材を受けました。ドラマを見ないうちからその面白さを予想する、極めて難しい作業です。そもそも「ドラマは3回見てみないとその面白さはわからない」説を唱えている私です。

「というわけで、そのリクエストには答えられません」とお返事するのが筋なのでしょうが、ちゃっかり取材に応じてしまったのでした。そこで挙げたのが、「コントが始まる」、「大豆田とわ子と三人の元夫」、そして「ドラゴン桜」の3本でした。自画自賛ですが、我ながらいいセレクトをしたと思います。

さて、その中で最高の1本を挙げるとすれば、みなさんは何を選ばれますか?迷いますね。大いに迷いますが、私は「コントが始まる」を今期ドラマナンバー1に推したいと思います。エンターテインメントは最終的には好みです。小難しい評論よりも、それぞれに素晴らしいと思う対象物に精一杯の声援を送る、それが一番です。そもそも、先ほど私が選んだ3本以外のドラマをナンバー1に挙げる人もいらっしゃるでしょう。それでいいのです。十人十色、エンターテインメントで互いに喧嘩するのは、正直悲しいことですもんね。
 
さて、タイトルの「コントが始まらない週末」に思う、です。6月19日の放送が最終回でしたので、この週末は「コントが始まる」に会えません。このドラマの好きなところを少しだけ挙げれば、「ひとつの夢が叶わなかったとしても、終わりではない」ということ、そして「ドラマチックでない展開にこそドラマ、そして人生がある」ということを私たちに提示してくれた点です。心の奥がじんわり温かくなったり、逆にヒリっとしたり、時には自分自身の青春時代を思い出させてもくれたり、なにせ最高でした。
 
「コントが始まる」は、テレビドラマ史に残る!と連載している新聞コラムに少し前に書きました。正直なところ本当にそうなるかどうか、時代が過ぎ去ってみなければわかりません。でも、私の心の中には間違いなく残り続けると思います。同じように考える人は、きっと少なくないことでしょう。「コントが始まらない週末」を迎えることは寂しいですが、コロナ社会真っ只中の今、こんなに素晴らしいエンターテインメントに出会えたことを心から喜びたいと思います。「コントが始まる」よ、ありがとう。


執筆者プロフィール
影山貴彦
同志社女子大学メディア創造学科教授
(メディアエンターテインメント)
コラムニスト
元毎日放送(MBS)プロデューサー・名誉職員
ABCラジオ番組審議会委員長
毎日新聞等にコラム連載中
著書に「テレビドラマでわかる平成社会風俗史」、「テレビのゆくえ」、
「おっさん力(ぢから)」など

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