イタリアのナチュラルワインを楽しむ。下北沢のイタリアンバール
―[ツレヅレハナコの旨いもの閻魔帳]―
食いしん坊編集者・ツレヅレハナコさんのもとには、類は友を呼ぶで、老若男女、有名無名を問わず、胃袋でつながった仲間たちから、旨いもの情報が集まってくる。ハナコさんは、それらを書き留めた秘密の手帳を”閻魔帳”と名づけ、それを片手に東へ、西へ。仲間たち(=諜報員)のおススメの店を訪ねてきたハナコさんが、彼ら彼女らへの感謝の気持ちを込めて、自身が愛するお店の中から、それぞれにぴったりのお店を返礼として紹介するこの企画。『東京ウォーカー』(KADOKAWA)で好評だった連載が『日刊SPA!』にお引っ越しして、今回は第8回目となりました。
◆店主とおしゃべりが楽しめるのはカウンターの店ならでは
今回のお店はコチラ。関山米穀店(神保町/ワインバル)を教えてくれた諜報員017(40代女性/デザイン事務所勤務)にハナコがお返しに教えたい店13は、下北沢のフェーガト・フォルテさん。
◆イタリアのマニアックなワインをカジュアルに
正直、ワインは全然詳しくないけれど、ワインの説明をしてもらうのは好き。どんな人が、どんなところで、どんな思いで作っているのかを聞いて飲むと、よりおいしく感じるから。
下北沢にある「フェーガト・フォルテ」は、イタリアのナチュラルワイン、それもヴィンテージのワインをグラスで気軽に楽しめるワインバー。
ダヴィデ・スピレリのビアンコ・ルーゴリ2015年とか、ダリオ・プリンチッチのトレベツ2011年とか、イル・パラディソ・ディ・マンフレディのブルネッロ・ディ・モンタルチーノ2012年とか、ナチュラルワイン好きが聞いたら、それはもう垂涎もののワインがグラスで常時30種類ほど!
◆店主の羽賀大輔さんに会いたくて、羽賀さんが勧めるワインを飲みたくて
でも、それ以上に魅力的なのが店主の羽賀大輔さん。私も含めて、みんな羽賀さんに会いたくてこの店に通っているんだろうと思う。
イタリアワインに対する愛が半端なくて、ワインの話を始めたら、立て板に水の弁士のごとし。毎年イタリアの生産者を訪れていて、そのときの様子をまとめたアルバムをを見せながら熱く語る語る。それがまるで壮大な叙事詩のようで、うっとり聞き入って飲むのも忘れてしまうほど(って、もちろんそんなわけない。ちゃんと飲んでる)。
でも、ここではワインを飲みながら、物語を飲んでいるんだなーといつも思う。だから、グラス1杯の満足度がものすごく高い。
たとえ飲んだことのある作り手のワインでも、ヴィンテージによって、ボトルによって、まったく味が違うから、ここではいつも羽賀さんに完全にお任せ。
そもそも私が飲んだことのあるワインなんて、たかが知れている。せっかくだったら知らないワインを飲んだほうが楽しいし、私よりよっぽどワインに詳しくて、愛のある羽賀さんのような人にガイドしてもらえば、おいしいものが飲めるのは間違いないから。
「ひと口にワインといっても、本当にいろんなワインがあるので、お客さまがその時においしいと思えるワインを飲んでほしい。体調はもちろん、1軒目なのか2軒目なのかによってもお勧めするワインは変わってくるので、やはり会話は大事ですよね」と羽賀さん。
◆料理は1階のバール「クオーレ・フォルテ」から
上階のイタリアンバール「クオーレ・フォルテ」の料理を、ここでもすべて頼めるので、レストラン使いができるのもいいところ。とはいえ、カウンターのレストランと明らかに違うのは、中にいる羽賀さんは料理をせず、ひたすらワインをサーブするだけ。だから、あまり気を遣うことなく羽賀さんを独占して、ワインの話をじっくり聞いていられるんだなー。そういう店って、意外にないかも。
〈文/ツレヅレハナコ 構成/和田紀子 写真/キッチンミノル〉
※新型コロナウイルスの影響により、営業時間や定休日が変更になっている可能性があります。最新情報は店舗にお問い合わせください。
―[ツレヅレハナコの旨いもの閻魔帳]―
【ツレヅレハナコ】
食と酒と旅をこよなく愛する編集者。雑誌などのメディアやTwitter、Instagramでレシピや美味しいお店を発信中。新刊『ツレヅレハナコの2素材で私つまみ』がKADOKAWAより好評発売中。他にも『女ひとりの夜つまみ』(幻冬舎)、『ツレヅレハナコの薬味づくしおつまみ帖』(PHP研究所)『ツレヅレハナコの南の島へ呑みに行こうよ!』(光文社)、『女ひとり、家を建てる』(河出書房新社)など著書多数。Twitter@turehana instagram@turehana1