新型コロナワクチン「デマ」ご注意 「不妊になる」「有効期間1年」に根拠なし

新型コロナウイルスのワクチン接種が急ピッチで進んでいる。一方でワクチンに対する誤解や間違った情報も相変わらず根強い。河野太郎ワクチン担当大臣(行政改革担当相)は、「不妊になる」という風評について、「デマ」だと否定した。

ところがその河野大臣が、「有効期間1年」と発言したことに対し、今度は加藤勝信官房長官が否定したことが報じられている。

米国ではオンラインで拡散

「ワクチンで不妊」の風評を取り上げたのは2021年6月20日、日本テレビ系の番組「シューイチ」だ。生出演していた河野大臣に、司会の中山秀征さんが「不妊のおそれがあるんじゃないかといううわさがある」と質問した。

デイリースポーツによると、河野大臣は「ありとあらゆるワクチンが出るとですね、『このワクチンを打つと不妊になる』とかいう話になるんですけど、そんなワクチンは今まで1つもないんです」とコロナに限らず、過去のさまざまなワクチンも含めて、不妊の恐れはないと断言した。

そして、「われわれも『科学的にそういうことはない』という説明をきちんとやっていかないといけない」と強調した。

すでにAFP=時事は5月17日、米国では新型コロナウイルスのワクチンをめぐり、不妊症を引き起こす恐れがあるとの偽情報がオンラインで拡散していると報じている。一部で接種をためらう人も出ているため、専門家らはこうした恐怖をあおる主張は事実無根だと説いているという。米国では、ワクチンを「絶対に」接種しないと回答した人の3分の2が不妊の影響を懸念しているという調査結果も出ていた。

大臣の発言が否定される

「不妊」問題については「科学的にそういうことはない」と明言した河野大臣だが、大臣自身の発言が「科学的ではない」と否定される事態にもなっている。

共同通信は6月20日、「河野行革相は、新型コロナワクチン接種後の効果について『少なくとも1年は持つ』との見解を示した」と報じた。これも先の日本テレビでの発言だ。

ところが同じく共同通信によると、21日、加藤官房長官は記者会見で、河野大臣が新型コロナウイルスワクチンの有効期間を1年としたことについて「長期の有効性のデータは十分に得られていない」と述べ、河野氏の見解を否定した。

ワクチン担当大臣の発言が、政府中枢の官房長官によって否定されるという、国民には分かりづらい展開となっている。

河野大臣はやはり先の日本テレビの番組で、12~15歳の子どもについて、夏休み中の接種を呼び掛けていたが、21日、「夏休み中に終わらせてくださいということではない」と発言を修正した。これは自治体から前倒しでやらなければならないのかという問い合わせが相次いだためだ。河野大臣は「私の舌足らずで誤解を与え、おわびしたい」と記者団に語った。

毎日新聞は、「河野大臣の『勇み足』との批判を招きかねない言動が続いている」と辛らつだ。同紙は、「菅首相からワクチン接種の加速に向けて矢継ぎ早に指示を受けている」ことによって「前のめり発言」が続いていると見ている。

ジェンナーもすぐには認められなかった

ワクチンの生みの親は英国の医者、エドワード・ジェンナー(1749~1823)。今から200年余り前、「種痘」による天然痘の予防法を発見した。天然痘は人類の10分の1を殺してきたともいわれ厄介な感染症だが、1980年、ついに制圧された。種痘で命を助かった人類は累計10億人以上とも言われる。

ところがこのジェンナーの種痘も、効果が確認されるまでの道のりは平たんではなかった。『感染症とたたかった科学者たち』(岩崎書店)によると、ジェンナーは着想を得てから実験や試行錯誤を繰り返し、成功するまでに約30年もかかった。そして権威あるイギリス王立協会に論文を提出したが、「この論文はあなたのこれまでの科学上の名誉を傷つけることになる」と相手にされず、自費出版で自説を書き残したという。

今回のコロナワクチンは、従来のワクチンに比べると、きわめて短期間で承認された。しかも「mRNAワクチン」などという新しい方式が主流だ。そのあたりも、誤情報や不安を生む一因になっているようだ。

5年後、10年後に何が起こるか

日本でワクチン開発に積極的に取り組んでいる塩野義製薬の木山竜一・医薬研究本部長は2月16日、朝日新聞のインタビューに登場した。

記者が「ファイザー製は高い有効性が確認されています。その一方で、長期的な安全性を懸念する声もあります」と聞いている。木山さんは「90%を超える発症予防率には正直、驚きました。60~70%くらいが普通のワクチンなので。ただ副反応に関しては本当にわかりません。危ないとも大丈夫とも言えない。人間の体を工場がわりに使っているので、5年後、10年後に何が起こるかはわからない。コロナ禍でなければ、おそらくこんなに早く承認されていません」と答えている。

「mRNAワクチン」の基本原理は長年研究されていた。しかし、今回のワクチン自体は、コロナ発生後に猛スピードで開発されたものだ。

先のAFP=時事の報道によると、すでに米国産科婦人科学会、米生殖医学会、母体胎児医学会議は、共同声明で「ワクチンが生殖能力の喪失につながり得るとの証拠はない」と発表、専門家の立場から「不妊説」を否定している。<J-CASTトレンド>

2021/6/23 12:10

この記事のみんなのコメント

1
  • あきひろ

    6/23 18:59

    自分、幼い頃は慢性気管支炎でシオノギの咳止めが手放せなかった、

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