松本人志が開けたパンドラの箱…『イッテQ』と『ポツン』「カネは3倍も違う」!!

 ダウンタウンの松本人志(57)が疑問を呈した「世帯視聴率・コア視聴率論争」が、大きな波紋を広げている。

 6月14日、松本はツイッターを更新して「キングオブコントの会は内容的にも視聴率的にも大成功でした ネットニュースっていつまで“世帯”視聴率を記事にするんやろう? その指標あんま関係ないねんけど。。。」と、自身が出演した『キングオブコントの会』(TBS系)の視聴率に言及。

 さらに「コア視聴率が良かったんです。コア視聴率はスポンサー的にも局的にも世帯視聴率より今や重要な指標なんです。そのコア視聴率が3時間横並びでトップやんたんです。だから。低視聴率みたいなミスリードは番組を観てくれた皆さん。後輩達に申し訳ない気がします」(原文ママ)と指摘した。

 さらに翌15日にも、6月8日に放送された千鳥の『千鳥の相席食堂ゴールデンSP』(ABCテレビ)の平均世帯視聴率が5.8%だったことを報じたデイリースポーツのネット記事を引用しつつ、「これぞ勉強不足のバカライター。コア視聴率はしっかりとってる。じゃないと第二弾あるわけない」とツイートしたのだ。

 6月20日放送の『ワイドナショー』(フジテレビ系)でもこの話題を取り上げており、松本は「世帯視聴率が高くてもコア視聴率が低いと番組は終わっちゃう。逆に言うと、コア視聴率さえ高ければ世帯視聴率が低くても続く。要するに重要視されてるのは、スポンサーもテレビ局もコア視聴率のほうなんです」と説明。

 そして「でもネットニュースはなぜか世帯視聴率ばかりを書く。世帯視聴率を用いたネットニュースの番組とかタレントの下げ記事は無視してください」とし「面白いと思った番組の世帯視聴率が低かったからといって悲観しなくていい。大抵その場合、コア視聴率取ってますから」とコメントした。

「松本さんの言う通り、テレビ各局は13~49歳の“コア層”と呼ばれる若年層の視聴率を重視し、コア層に見てもらえる番組作りを目指し、“世帯視聴率は全く気にしない”という局もありますからね」(制作会社関係者)

■『イッテQ』が『ポツンと』を4倍圧倒 

 よく視聴率が比較されるのが、日本テレビの『世界の果てまでイッテQ!』とテレビ朝日の『ポツンと一軒家』だろう。

 かつて、日曜日の20時といえば『イッテQ』の独壇場で、世帯視聴率18%超えは当たり前で、20%を超えることもあり、他局を圧倒していた。しかし、2018年10月に『ポツンと』がレギュラー化し、猛追。2019年以降は『ポツンと』が『イッテQ』の世帯視聴率を上回ることが常態化していた。

「直近の6月20日の世帯視聴率を見ても、『イッテQ』が12.2%(すべてビデオリサーチ調べ、関東地区)、『ポツンと』が15.2%ですからね。ただ、松本さんの言うコア視聴率で比較すると『イッテQ』が10.1%、『ポツンと』が2.5%と、『イッテQ』は『ポツンと』の実に4倍。

 さらに同じ日曜20時という枠ながら、広告収入もコア視聴率に比例するように『イッテQ』が『ポツンと』の3倍以上も多いといいます。“世帯視聴率が『ポツンと』に追い抜かれ、『イッテQ』がピンチ”という記事もよく見かけましたが、実際は全然そんなことはないんですよ」(前出の制作会社関係者)

 宮川大輔(48)の「お祭り企画」にヤラセ疑惑が浮上したり、番組が揺れた時期もあったが、コア視聴率で『ポツンと』を圧倒し、今後も『イッテQ』は日曜夜の覇者であり続けるのかもしれない。

「『ポツンと』と『イッテQ』は視聴者層がまったく違う。前者はシニア層が、後者は若者が見ている。今テレビ各局がほしいのは若者の視聴率ですからね。広告収入から見ても明らかなように、『イッテQ』は世帯視聴率で『ポツンと』に負けても、痛くもかゆくもないんです」(前同)

■『水ダウ』も『まっちゃんねる』もコア層から圧倒的支持

 今回、コア視聴率について言及した松本人志、そしてダウンタウンはコア層からの支持も厚いという。

「『キングオブコントの会』は、松本さんがツイッターで書いたようにコア視聴率は5%で、3時間横並びトップ。世帯視聴率があまり話題にならない『水曜日のダウンタウン』(TBS系)もコア視聴率は4%ほどで、横並びの番組でトップ。世帯視聴率が抜群に高い『報道ステーション』(テレビ朝日系)ですが、コア視聴率では『水曜日のダウンタウン』に後塵を拝しています」(民放キー局ディレクター)

 松本が実験的なことをやっていく特番『土曜プレミアム まっちゃんねる』(フジテレビ系)の第2弾が6月19日に放送されたが、同番組のコア視聴率も6.2%と、横並びでは頭1つ抜けたトップを記録したという。

「松本さんは『キングオブコントの会』でも『まっちゃんねる』でも、コア視聴率で横並びトップと、しっかり結果を残しているんです。にもかかわらず、“世帯視聴率が低い”と指摘され、噛みつきたくなったのかもしれません。

 ただ、松本さんの指摘には一点微妙なことがありまして、千鳥の『相席食堂』について“コア視聴率はしっかりとってる。じゃないと第二弾あるわけない”とツイートしていますが、6月8日放送の同番組のコア視聴率は3.2%という数字。

 めちゃくちゃ悪い数字ではないですが、ゴールデンの2時間特番と考えると、なんとも言えない数字で……良くないという評価になっても仕方がない成績だったんです。松本さんの世帯視聴率、コア視聴率の指摘はもっともなんですが、『相席食堂』の数字については、多くのテレビ関係者が微妙なリアクションをしていますね」(前同)

■テレビ朝日がコア層に振り切れないワケ

 テレビ各局は13~49歳のコア層の視聴率を重視しているが、TBSは従来の「ファミリーコア」(男女13~59歳)から、今春からは「新ファミリーコア」(男女4~49歳)をターゲットに据えている。

 また、テレビ朝日は、より幅広い世代の視聴率を得るための番組作りをしているという。2020年6月、同局の編成担当の西新取締役は「オールターゲット、あらゆる層の方に見ていただくのが、我々の狙い。時間帯によってはテレビの前にいらっしゃる層を選定しながら放送することもあると思いますが、全体としてはテレビ朝日を選んでくださる方、全体を狙って番組を作っていきたいと思います」と話した。

「テレビ朝日がこのように言っているのは、同局には『相棒』や『科捜研の女』、『特捜9』、『警視庁・捜査一課長』など、視聴者のほとんどがシニア層というドラマが少なくないからでしょう。コア視聴率偏重になれば、これらの人気ドラマシリーズも打ち切りの対象になりかねないですからね。

 また、バラエティ番組では『ザワつく!金曜日』もシニア層から圧倒的に支持されている番組で、世帯視聴率は15%を超えることも少なくありません。しかし、コア視聴率では3%程度にとどまっていますね。

 世帯視聴率では、同時間帯のダウンタウン・浜田雅功さん(58)がMCを務める『オオカミ少年』(TBS系)を10%以上圧倒していますが、コア視聴率となると『ザワつく』は『オオカミ少年』よりちょっといいぐらい。『ザワつく』の視聴者層は、ほとんどがシニアということですよね」(前出の民放キー局ディレクター)

■松本の指摘で大御所や往年ドラマが“オワコン化”する可能性

 テレビ各局、さらにはダウンタウンの松本をはじめ、タレントも意識しているというコア視聴率だが、これを評価基準にすることについても議論があるという。

「現状はコア視聴率が広告収入に結びつくとして、評価の指標になっています。しかし、コア視聴率自体が、そもそもはテレビ局と広告代理店の話し合いで決まった指標なんです。今後、評価基準が変わっていく可能性はあります。

 松本さんの今回の指摘は、テレビ業界の“パンドラの箱”を開けてしまったとも言えそうです。テレビ各局の一部の人間は完全にコア視聴率しか見ていませんが、その点についてはマスコミ含めてウヤムヤにしていた部分もある。テレビ局ごとにターゲットにしている層が微妙に異なる点からも、それがうかがえます。

 また、タレントも含めて世帯視聴率で評価したほうが得をする関係者も少なくない。コア層から支持されていないベテランや大御所タレント、往年のドラマシリーズが“オワコン”になる可能性もありますからね」(前出の民放キー局ディレクター)

 最近はテレビ番組をリアルタイムで視聴する習慣もなくなりつつあり、TVerやテレビ各局の動画配信サービスで視聴するという人も増えてきている。

「若者はスマホで動画を見ている人が多いですからね。広告業界、スポンサー企業でもスマホやタブレットでの視聴に対応していこうという動きもあります。一方で、テレビは家族一緒に見るものという考え方もあり、いまだにさまざまな議論がされているような状況です。

 ただ、テレビ界で最も影響力の大きいであろうダウンタウンの松本さんが、コア視聴率について言及したことで、テレビ業界にさらなる変化が訪れる可能性もありそうですよね」(前同)

 視聴率の考え方も含め、テレビ業界全体が劇的な変革を迫られているのかもしれない――。

2021/6/23 7:10

この記事のみんなのコメント

3
  • ドラマもコア視聴率で見ると違うんだろね!、ネット記事ではドラマが「爆死」って俳優がよく叩かれてるけど!、第一ドラマの爆死は俳優より脚本・演出が重要だもんね!※

  • おやぢ

    6/24 12:10

    まあ、スポンサーが未だに視聴率でお金を出しているのがマヌケですよね。 広告代理店の二枚舌にいつまで踊らされ続けるのか…

  • ソフィア

    6/24 9:42

    視聴率は契約した人しか対象にならない。一人暮らしで昼家にいない人、契約自体が出来ない子供やボケ老人、そもそもテレビがない世帯などは視聴率の対象にならない。

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