100kg以上のデブを借りられる「デブカリ」。“断った依頼”を社長に聞いてみた

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 体重100kg以上のデブを1時間2000円で借りられる新サービス「デブカリ」が、2021年4月に誕生しました。

「デブ」という言葉がネガティブに捉えられることや、デブの人が活躍しにくい世の中に違和感を抱き、株式会社Mr.Bliss(ミスターブリス)代表取締役のマイコー横尾社長は、「デブをかっこよく」「デブに栄光を」という強い想いをもと、デブカリをスタートしました。

 そこで、マイコー社長にデブカリのサービスにかける想いについて聞きました。

※この記事ではマイコー社長の考えに基づき、“デブ”をポジティブな言葉として使用しています

◆借りられるのは「体重100kg以上でプロ意識のあるデブ」

――サービスを立ち上げたきっかけは何ですか?

マイコー:ウェブデザイナーとして働いていた頃、異業種の社長や部長、店長クラスの方とお話する機会がありました。そこで感じたのは、仕事はできても服に気を配らない人が多いこと。理由を聞いてみると、そもそもデブの人が着れるかっこいい服がないことがわかりました。これはファッション業界を変える必要があると感じ、まずはじめにQZILLA by Mr.Blissという大きいサイズのメンズ服ブランドを創業しました。

 その際、一番苦労したことがモデル探し。タレント事務所にすら大きいサイズのモデルがいなかったのです。そこで、「きっと他の企業もデブを必要としているのでは?」とふと思ったことがきっかけで、デブカリを立ち上げました。1時間2000円でレンタル可能です。

 サービスに登録する際の条件としては、原則20歳以上、体重100kg以上のプロ意識のあるデブであること。また、マッチした利用者とは対面で会ってもらうので、会話に困らない人を採用しています。ありがたいことに、現段階で登録待ち含め約100人ものデブの人にサービスを利用してもらっています。

――「プロ意識のあるデブ」とは具体的にどのようなことでしょうか?

マイコー:食べることが好きなデブや、力仕事を得意としたデブ、演技が得意なデブなど、登録している人によってできることが異なります。そういったそれぞれの個性をいかして、「他の人には任せられない!」と自信を持ってレンタルされる人が「プロ意識のあるデブ」だと思っています。

 たとえば、料理を教えてほしいという案件に対しては、どこのスーパーが安くて、どんな食材を買うか、どこで料理をするかなど、細かくリストアップして提案するデブもいました。レンタル代はサービス側が中抜きすることはなく、そのままデブに入りますが、正直そこまで高い金額を稼げるわけはありません。なので稼ぐことよりも、人の役に立ちたい、活躍したいというデブに登録してもらっています。

◆さまざまな場で必要とされる“デブ”

――デブカリにはどのような案件がありますか?

マイコー:主に個人と法人向け案件があります。個人案件では、「デブと一緒にプリクラを撮りたい」「北海道の大盛りパフェを完食したい」「小麦アレルギー持ちなので、私が食べれないドーナッツを美味しそうに食べている人を目の前で見たい」「オフィスの片付けを手伝ってほしい」「引っ越しを手伝ってほしい」「料理のレパートリーを増やしたい」など、一人では叶えられないことを実現したい利用者の方が比較的多いですね。

 あとは、経営者でデブカリに登録している人もいます。社長を2000円で借りれるサービスってうちしかないのではないでしょうか。そういった普段関わることが少ない人と、気軽に交流できることもデブカリならではの魅力です。また、営業のアドバイスや個人事務所の相談など、業者に頼むと数万円はする案件をデブカリでお願いすることもできます。

――法人向け案件はどういったものが多いですか?

マイコー:企業からは「温泉施設を楽しんでいるシーンを撮りたい」「耐荷重100kgの健康器具に実際に座っている様子を撮ってテレビ番組で紹介したい」「芸人さんの再現VTRに出てほしい」など、すでにたくさんの案件をいただきました。

 印象的だった案件は、AIを使った身体測定です。「体重100kg以上の方がなかなか見つからないから、デブカリに登録している人全員に声をかけてほしい」という依頼で、当時の登録者50人のうち、日程の空いている30人をレンタルしてもらいました。大きいサイズ専門のブランドもやっているので、デブのデータを多くもっている点も強みですね。

◆“デブ”を守るために断った依頼も

――断った依頼はありますか?

マイコー:そうですね。添い寝やヌードモデルなど、少しでも性的なことが起こりうるような案件はお断りしました。初期にはレンタル後にデブから「(利用者の方の行動が)少し怖かった」と言われたこともあるので、そのあたりは徹底しています。デブを守らなければいけないという使命感があるんです。

 案件には私がすべて目を通し、借りる方には目的を聞いています。私が問題がないと判断し、デブ側も承諾して初めて依頼を受けます。そこから、利用者とデブでLINEを通してのやりとりから始めてもらいます。

 LINEはオープンチャットを利用してもらっているので、個人情報が漏れる心配もありません。スケジュールなどもお互いに話し合って決めてもらっていますが、その内容もすべて私がチェックしています。

◆“デブ”がポジティブに認識される世の中を目指して

――最近ではバラエティ番組の“容姿いじり”などが問題視されるようになりましたが、当事者に対しての接し方などで気をつける点はありますか?

マイコー:いじられて嬉しい人や、不快に思う人など、人によって受け取り方は異なります。いじる、いじらない関係なく、相手との関係性や前後の会話の流れで判断したうえで、愛のある接し方をすべきだと思います。

「デブは痩せるべきだ」と言う人もいますが、私にとって“デブ”は、「かっこいい」「かわいい」「力強い」といった褒めの意味でしか聞こえないんですよね。「~であるべき」と先入観を持つのではなく、どんな体型であれ一つの個性だと認識されてほしいです。そのなかでも特に批判されやすいデブのイメージが、明るい方向に向いていけば嬉しいです。

――サービスを通してどのような世の中にしたいですか。

マイコー:日本で体重100kgを超えられることはなかなか難しく、一種のセンスだと思っています。せっかくいい個性を持っているのに、世間体を気にして体型を隠した服装を着たりするのはもったいないことです。

 今までデブが活躍できる場といえば、土俵の上かリングの上くらいでしたが、その幅を広げたいです。私は一人一人の個性を大事にしたいですし、デブが過ごしやすい環境をつくりたいと思っています。デブカリというサービスを通して、少しでもプロのデブがみなさんのライフスタイルのなかで活躍することを願っています。

<取材・文/Honoka Yan>

【Honoka Yan】
23歳。モデル/ダンサー/ライター/記者。タブーについて発信する日本のクィアマガジン「purple millennium」編集長。LGBTQ当事者。Instagram :@honokayan

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