佐々木朗希、プロ初勝利の舞台裏「甲子園で勝つことができてよかった」

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―[17の閃光~佐々木朗希物語~]―

◆たっぷりと睡眠時間を確保し、甲子園の雰囲気を楽しんだ

 令和の怪物と呼ばれる若者は甲子園でプロ初勝利のボールを手にしていた。

 佐々木朗希は5月27日の阪神タイガースとの交流戦で、プロ2度目の先発登板をして初勝利をした。阪神ファンからも祝福されたヒーローインタビュー。佐々木は笑っていた。

「嬉しかったです。勝ててよかったです」

 緊張感はあったが、その緊張感もどこか楽しんでいるように映った。出番はカード3戦目。1戦目の練習中にブルペン入りして変化球を交えて32球。練習後は食堂でメニューにあった甲子園カレーを食べた。

 2戦目も練習中に甲子園の雰囲気を感じた。六甲山から吹き降ろされる風を感じ、ビジョンに映り出されるさまざまなPR映像を見入っていた。練習後はやはり甲子園カレーを食べていた。

◆「ボクの中で睡眠はものすごく大事」

「緊張はしています。でも、なるようにしかならない。そういう気持ちでいます」

 先発の日の朝は午前7時ぐらいに目を覚ましたが、もう一度、眠りに入って11時にベッドから出た。「ボクの中で睡眠はものすごく大事。最低8時間は寝ないとダメ」と佐々木朗希。

 プロ初先発した5月16日の埼玉西武戦(ZOZOマリンスタジアム)はデーゲームということもあったが午前5時に目が覚めてしまい、そのまま起きてしまったがこの日はしっかりと睡眠時間を確保した。

 ちなみに先発の日はバナナなどの軽食に抑えるため3日連続の甲子園カレーとはならなかった。

◆初めてのマウンドは「投げやすかったです。すごく集中できた」

 甲子園での2度目の登板では、いろいろな事を経験した。2度の打席はいずれも三振に倒れた。逆に相手先発のアルカンタラには適時打を打たれた。5回には佐藤輝明内野手を申告敬遠。

 5回を投げてMAX154km。94球、被安打7、5奪三振、4失点(自責は3)。

 初めての甲子園のマウンドは「ブルペンの方が高くて、ちょっと低くてどうかなあと思ったけど、投げやすかったです。すごく集中できた」と佐々木朗希。

 甲子園の独特の雰囲気、応援も「気にならなかった。逆にボクを応援してくれているような気分になった」と笑った。

 そして最後の瞬間はベンチ最前列で見守った。勝利の瞬間、先輩たちから祝福を受けた。なんともいえない嬉しさがこみあげてきた。

「いろいろな事があって、いろいろな想いがあるけど、こうやって勝つことができて本当によかったなあと思います。甲子園で勝つことができてよかった」と佐々木朗希は試合後、メディアが待つ取材会場に向かう廊下を歩きながらポツリとつぶやいた。

◆目標は「40歳まで現役」。ウイニングボールは両親に

 プロ初勝利はしたが、目指す場所はさらなる高み。

 投球内容を振り返ると「自分の納得いく球を投げることができなかった。自分に対して甘く見たとしても、数球あるかないか」と笑顔は消え、少し厳しい表情となった。19歳にして自分を律する強さがある。

 目標を聞かれると「40歳まで現役」と語る若者にとって、聖地甲子園でのプロ初勝利はあくまでスタートに過ぎないのだろう。そしてこれから先、いいこともあれば壁もある。

 それもすべて熟知している佐々木朗希は「プロに入ってなにが成長したかと言われたらわからないです。ただ精神面は強くなったと思います。何事も楽しいと思わないとダメですよね。辛いことはもちろんあるけど、どんな時も楽しまないとダメだと思うようにしています」と前を向く。「ボクにとっての新しい一歩を踏み出せた」

 令和の怪物と呼ばれる若者は野球の聖地・甲子園でプロ初勝利を挙げた。多くの人に祝福され笑顔でヒーローインタビューに答えた。ウイニングボールを誰に渡すかと問われ「両親です」と即答した。

 ここまで育ててくれた母と東日本大震災でなくした父。2人への感謝の気持ちを言葉に込めた。甲子園に閃光が走った。背番号17の伝説がいよいよ本格的に動き出した。

文/梶原紀章

―[17の閃光~佐々木朗希物語~]―

【梶原紀章】
千葉ロッテマリーンズ広報室長。1976年生まれ、大阪府出身。関西大学を経て1999年産経新聞社に入社。サンケイスポーツ運動部では仰木オリックス、野村・星野・岡田阪神を担当。2005年に千葉ロッテマリーンズに入団、広報担当として2005年・2010年の日本一を経験。2006年にはWBC日本代表の広報業務にも従事した。文藝春秋社、朝日新聞社、千葉日報社など各媒体でコラムを連載中。趣味は競馬で、2011年に解散したメジロ牧場の血統を引く馬を追い続けている。著書に『千葉魂』(千葉日報社・現在6巻まで刊行)など。

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