お笑い芸人・紺野ぶるまが語る“高校中退”。「17歳で学べたのはよかった」

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 秀逸な“なぞかけ”が一躍話題となり、『R-1ぐらんぷり』では2年連続で決勝進出、『女芸人No.1決定戦THE W』では3年連続で決勝進出を果たすなど、賞レースでも活躍する芸歴11年目の女性芸人・紺野ぶるまさん(34)

 2021年5月27日には、著書『「中退女子」の生き方』を刊行しました。高校中退を経てお笑い芸人となり、2019年4月に結婚。みずからの人生を歩み続ける紺野さんに、過去から現在までの変化、女性芸人の現実などを聞きました。

◆中退しなければ「素行不良な大人になっていた」

――著書のタイトルに書かれた「中退女子」にも関わるのが、紺野さんの高校生活です。当時の校長先生からは「腐った蜜柑(みかん)」とまで言われたと著書でも書いていましたが、今思い返すと、高校時代にはどんな意味があったと思いますか?

紺野ぶるま(以下、紺野):高校を中退していなかったら、もっとわがままになっていたと思います。何をするにしても。例えば、お笑い芸人になるために芸能事務所へ所属するにしても、友だちとの関係にしても、結婚生活にしても、不満を抱く瞬間は日々あるじゃないですか。

 そのときにいったん立ち止まり、変な一言を口走らないとか、誤った判断をしないとか。いったん冷静になって、行動できるようになった気がします。それまでは、愚痴はそのまま吐き出していたし、人はちょっとのことでは簡単には傷つかないって疑いもせず生きてましたから。中退した当時は失敗だと考えていたけど、34歳になった今から思えば、17歳で学べたのは大きかったと思います。

――もし、中退していなかったらどうなっていたんでしょうね。

紺野:素行不良な大人になっていたと思います(笑)。30代になっても、どうしようもない人ってたくさんいるじゃないですか。学歴があっても、他人に迷惑ばかりかけている人とか。そんな人たちを見ると、自分もそうなっていた可能性はあると感じるし、パラレルワールドを見ているような気分になります。

◆お笑い芸人になって「朝起きられるようになった」

――今はもう吹っ切れているのかなと思う一方で、著書では「『高校中退』という消えない履歴。一緒に両親も巻き込んでしまった」など、端々では、なおもコンプレックスとして残っているような記述もあります。正直、中退という過去に対して心残りはありますか?

紺野:今回の本を書いて、気持ちがラクになった部分もあります。ただ、たまに、夢で高校生活を楽しんでいる自分を見るんですよ。でも、起きたら現実に戻るじゃないですか。中退してから17年ぐらい経っているのに、そんなに引きずるのかと(笑)。禁煙している人がタバコを吸う夢を見るのと一緒で、そのたびにへこむし、今ある結婚生活も失ってしまえば同じように後悔するんだろうと思います。

――高校中退後、無職期間やフリーターの期間を経て、通信制高校を卒業。そして、21歳で現在も活躍するお笑い芸人の道へ進みました。本書にある「清く正しく生きたいと思えたのはお笑いのおかげ」と述べていたのも印象的でしたが、今の世界へ入る前と後で、何が変わったと思いますか?

紺野:まず、朝起きられるようになりました(笑)。一時期はフリーターでしたけど、シフトを任されても起きられないし、理由をこじ付けて行かないことも多々あったんですよ。まあ、それはでも細かいところで。一番変わったのは、やっぱり、舞台という発表の場を与えられたことでした。

 高校時代からルールを破る生活を続けていたのは、常に「自分は人と違う」と表現したり分かってもらいたかったからだったので。でも、お笑い芸人になってからは、それが自分の努力により舞台で発表するものになったから、私生活では、他人に迷惑をかけないことへ重きを置いて生きられるようになりました。

◆お笑い芸人の楽しさ「すべてがプラスになる」

――生き方そのものを変えてくれた場所であったと。仕事としてみたとき、お笑い芸人ならではの楽しさは何ですか?

紺野:言葉にするのが難しいですね。でも、すべてがプラスになるところ。日々、ストレスを抱えたとしてもネタにできるのは楽しさかもしれません。嫌な女の人に会ったとしても、ネタにできればその人に感謝できるし。悲しいことがあっても、トークライブでオチを付ければお客さんが笑ってくれるし。マイナスをプラスに変えられる環境は、恵まれていると思います。

――とはいえ、お笑い芸人になった当初は葛藤もあったそうですね。著書の中でも、芸名の由来である紺のブルマを履いてネタを披露していた当時は「どんなにこちらがお笑いとしてやったとしても、客席の男たちはお尻や胸の膨らみしか見ていない」と述べていました。男性からのエロ目線に対して、今はどう思っていますか?

紺野:経験を重ねるにつれて、あきらめました。ズボンを履いていても、女芸人がネタをやっているのが好きという性癖の人もいるから(笑)。昔は気にしていたんですけど、今はもう、一番恥ずかしいのは面白くないことをしたときなんですよ。例えば、自信あるネタを披露したときにエロ目線で見られてもいいけど、中途半端にスベって、隙を見せたときにエロ目線で見られるのは悔しいです。

<取材・文/カネコシュウヘイ 撮影/林紘輝>


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