『逃げた女』とは結局、誰なのか…ホン・サンス監督へのQ&A到着

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2020年ベルリン国際映画祭銀熊賞(監督賞)に輝いた名匠ホン・サンス監督、キム・ミニ主演の『逃げた女』。この度、本作の意味深なタイトルについて、また猫の“名演技”の撮影エピソードなどを、第70回ベルリン国際映画祭でホン・サンス監督自身が語ったインタビューが到着。併せて、監督と俳優たちが話し込む様子や、焼肉シーンのメイキング、現場で脚本を読むキム・ミニの写真など、現場での信頼関係が見える映画撮影中のメイキングシーンが一挙に公開された。



今年で監督デビュー25周年を迎えるホン・サンス監督は、来月開催される第74回カンヌ国際映画祭の新部門カンヌ・プレミア部門に最新作にして26作品目『In Front of Your Face』(原題)が出品され、ハイペースで新作を発表し続けている映画作家。


本作のタイトルについて、「逃げた女」(The Woman Who Ran)とは誰のことなのか。彼女は何から逃げているのか、尋ねてみると、「実は誰かは決めていなかったんです(笑)」と明かす。「私はこのタイトルが気に入っていて、とても満足しています。私がこのタイトルを付けたら、人々が映画を見て、どんなことをタイトルに関連づけるか推測もしてみましたが、私が何を望むのかはっきりさせる前に考えるのを止めました。私がただ言えるのは、そう感じることが好きだということだけです」と話しつつ、「もう少し考えてみるならば、おそらく、この映画のすべての女性たちが何かから逃げていると言えるでしょう。それは虐げられることからであったり、満たされないことからであったり...。でも、むしろそれははっきりさせない方がいいんです」と真意を明かす。


映画を観ると「友情」と「孤独」という2つの言葉がテーマのように思われるが、「もし『友情』とは、私にとって何を意味するかを前もって定義してしまうと、私自身による『友情』の一般化、定義に適合するように、ディテールの断片を集めてこなければなりません。しかし、人生や生きるということは、どんな一般化をも常に超えていきます」とホン監督。「そのため、映画作りにおける私のアプローチは、あらゆる一般化や、あらゆるジャンルのテクニック、特定の効果に対するあらゆる期待を避けようと試みることです。ただ心を開いて、自分自身を信じ、これだと思えるものが現れた時に、ただそれを掴むと、いつも何かが生まれる」と独自のアプローチ法を語る。

「私が望むのは、どんな意味付けもすることなく、いかに断片を集めてこられるかということ」と続け、「その断片を一つにする過程で、ある具体的なものが生まれて、その具体的なものが、多くの異なる人々にとって、多くの異なる意味をもたらすことができます」と続ける監督。


さらに、本作の編集のプロセスについて「私の編集はとても速いです。なぜなら、撮影している段階で既に頭の中で編集しているので」とコメント。「撮影が終わってから、編集を終えるまでに通常で1日か2日です。そして、1週間くらい何もしないで待ってから、新鮮な目で再び編集したものに向き合います」と“極意”を明かす。


また、印象的な猫のシーンについて、「猫が何かをするというシーンは脚本に書いてから、撮影場所に向かいました。実は、そのシーンは夕方に撮ろうと思っていました。夕方が猫を撮るには適していると思ったからです。最初に他のシーンを撮ろうとしていたのですが、映画にも登場した防犯カメラにあの猫がうろついているのが見えたので、クルーを集めて急いで下に降りて撮影をしました。だからこれは、ファーストテイクなんです(笑)」と、その裏側を語ってくれた。


『逃げた女』はヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、アップリンク吉祥寺ほか全国にて順次公開中。

(text:cinemacafe.net)


■関連作品:
逃げた女 2021年6月11日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、アップリンク吉祥寺ほか全国にて公開
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  • 6/21 12:00
  • cinemacafe.net

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