海外ワクチンツアーのお値段と中身。一足先にワクチン接種ができる

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◆日本人の米国ワクチン接種ツアーに大手旅行代理店が参入

 日本国内でのコロナウイルスのワクチン接種がなかなか進んでおらず、先進国で最下位とも言える接種率に毎日やきもきする人もいることだろう。そんな状況で話題になっているのが、観光を兼ねて米国でワクチン接種ができるワクチン接種ツアーだ。

 6月9日、国内オンライントラベルの大手「エアトリ」から、ワクチン接種サポートツアーの取り扱いを開始することが発表された。アメリカは州ごとにワクチンの接種範囲を定めている。その中で、旅行者に接種を解禁している州があるのだ。

 エアトリは、カリフォルニア州のロサンゼルス、ニューヨーク州のニューヨーク、ネバダ州のラスベガスの3地点への「ワクチン接種サポートツアー」を販売開始した。

 内容は次の通りだ。
・特別なリクエストがない限り一回の接種で済むジョンソン・エンド・ジョンソン社のワクチンを使用
・ワクチン接種予約代行・接種会場への送迎 
・空港とホテル間往復専用車送迎 
・日本入国用のPCR検査と証明書発行 
・滞在中は日本語サポート 


◆ワクチンツアーを始めた理由は?

 この商品の取り扱い経緯を同社取締役の田村諭史(たむら さとし)氏に聞いた。

「世界各地で新型コロナウイルスのワクチン接種が開始されていますが、接種状況は国によって大きく異なります。日本の接種状況をみると、医療従事者を除けば、年齢層に応じた優先的な接種が行われている一方で、未だワクチン接種のタイミングが決まっていない年齢層が多く存在しています。

 そのような中でご事情により、少しでも早くワクチンの接種を早く希望されている方もいらっしゃるかと思います。当社では、いちはやくワクチン接種を希望される方に、アメリカのロサンゼルス、ニューヨーク、ラスベガスにてワクチンの接種が可能なサポートツアーをご提供することにいたしました」

◆気になる料金とスケジュールはどうなっているのか

 仕事などで一日も早く接種を望む人は多い。同社のロサンゼルスツアーの行程を聞いてみた。

<1日目>日本より到着、お迎え
<2日目>ホテルからワクチン接種会場へ送迎
<3日目>終日自由行動
<4日目>ホテルチェックアウト、専用車にて空港までお送り 空路、帰国の途へ
日本到着は翌日(5日目)で現地3泊の5日間ツアー


 やはり気になるのはそのお値段。料金はそれぞれ一名参加でこのような設定になっている。
・ロサンゼルス 398,000円(~9月末)
・ニューヨーク 370,000円(~6月末)
・ラスベガス 58,800円(~6月末)


 ラスベガスが安いのは宿泊費が別途かかる。また、3都市とも往復航空券を手配しなくてはならない。

 出発前に必要な手配も可能で、「提携医療機関のTケアクリニックにてPCR検査及び陰性証明書の発行を行っていますので、お客様のサポートを可能な限りできればと考えています」(田村氏)とのことで、出発前後の支援も万全だ。

 同社の見解として「お困りの方へ手を差し伸べた」というスタンスを取っており、商売上の集客目標などは設定していないという。ホームページを見ても、エアトリを展開する企業情報のニュースリリースには出て来るものの、商品情報ページには「海外航空券」手配のページにバナーで告知されているだけだ。

◆強制隔離回避ができるツアーも……

 先んじてニューヨークにて日本人向けの現地ツアーなどを販売する「あっとニューヨーク」ではニッポン支援プロジェクトとして商品を販売している。

 このツアーを主催するAt New York & Companyの土橋省吾社長は、ニューヨークで業務を行う優位性を出し、5月13日からサービスを開始した。現在までで500人程度の利用があると言う。

 今のところ、どのツアーでも帰国後の2週間隔離は必要だが、「あっとニューヨーク」では、ニュージャージー州のニューアーク空港を利用した「強制隔離回避コース」も用意している。これは日本政府がニューヨーク州を隔離の対象としているからであり、お隣のニュージャージー州では免除となるからだ。

 このツアーは2日目に接種を行う5時間所要の手配を975ドル(約107,000円)で販売しており、航空券や宿泊費は含まれていない。航空券はANA、JAL、ユナイテッド航空の中から自分で手配することになる。

 ニューアーク空港を使用するならユナイテッド航空を利用することなど「あっとニューヨーク」のホームページは情報が満載だ。

◆夏休みに向けて渡航者が増えるか?

 参加者の詳細は個人情報であり明かされていないが、一定の渡航費が掛かることから企業の上位クラスの役職者や、帰国後にテレワークで業務ができるベンチャー企業の上層部の人間などが多いようだ。

 ワクチン接種の状況も日々変わっている。アメリカでの接種もどう変わるかわからない。また、アメリカでは接種が可能なジョンソン・エンド・ジョンソン社のワクチンだが、日本では未承認である。接種券の無い状態での海外の接種に日本人としてどう紐づけされるのか不明な部分はある。

 しかし、世界標準から言えば、ニューヨーク州で公認のワクチンパスポートへの記録はできる訳であり、土橋社長は「接種15日目から登録が可能です」と言う。日本の接種の遅れを憂いた今回のツアー商品の販売開始。夏休みに向けて、渡航者が増えそうだ。

文/北島幸司

【北島幸司】
航空会社勤務歴を活かし、雑誌やWEBメディアで航空や旅に関する連載コラムを執筆する航空ジャーナリスト。YouTube チャンネル「そらオヤジ組」のほか、ブログ「あびあんうぃんぐ」も更新中。大阪府出身で航空ジャーナリスト協会に所属する。 Facebook avian.wing  twitter@avianjune  instagram@kitajimaavianwing

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