「あれ?まぶたが下がってきた」老化でなく病気かも。“まぶたテープ”で防ごう
「最近、まぶたが下がってきたかも…これって年齢のせい?」そんな悩みを抱える人って多いのではないでしょうか?
ですが、それって実は老化ではなく「眼瞼下垂」が原因のことも。
「眼瞼下垂」とは、先天的または後天的な理由により、まぶたの機能に障害が起こり、まぶたが下がってあきづらくなる病気のことです。
今回は信州大学医学部特任教授・名誉教授で松尾形成外科・眼瞼クリニック院長の松尾清医師による『名医が教える「まぶたテープ」』から、一番肝になる、眼瞼下垂のメカニズムや「まぶたテープ」のやり方を紹介します。
本書には他にも、まぶたが下がることと、さまざまな体の不調―頭痛・肩こり・眼精疲労・うつ・冷え性・不眠・嚙みしめ・食後に眠くなる―との関わりについても解説されています(以下は、松尾医師による解説)。
◆メイクやコンタクトレンズでまぶたが下がりやすくなる
まぶたが下がる大きな原因は、まぶたをこすることです。
女性はメイクをすることで男性よりもまぶたをこする回数が多いため、20代後半からまぶたが下がり始めてしまう人も少なくありません。
私が腱膜性眼瞼下垂の手術を行うのは、女性が男性の5倍多いことからも、この事実を裏付けていることがわかるでしょう。
コンタクトレンズをしている人も、まぶたをひっぱったり、こすったりする回数が多く、まぶたが下がりやすくなります。
花粉症やアトピー性皮膚炎の人がかゆくてまぶたをこすってしまうことも、まぶたが下がる原因になります。
じつは私たちがふだん意識せずに行っているまばたきも、まぶたに負担をかけています。
加齢によってまぶたが下がってくるのは、長年にわたるまばたきによる負担が蓄積されることも関係しているのです。
◆45歳までに多くの人が軽度の腱膜性眼瞼下垂症に
まぶたをこするとまぶたが下がってしまう仕組みを、筋肉の働きから見てみましょう。
目をこすると腱膜と瞼板をつないでいる部分がはずれます。しかし、接合部分がはずれたことで、すぐにまぶたがあかなくなるわけではありません。
上眼瞼挙筋と瞼板をつなぐ「ミュラー筋」という特殊な筋肉がサポートしてくれるので、腱膜が瞼板からはずれても、まぶたはひらくようになっているのです。
腱膜が瞼板からはずれて、ミュラー筋の助けでまぶたをあけていると、ミュラー筋を刺激しようとして、無意識にまぶたをこすりたくなります。
こするとミュラー筋は収縮するので、まぶたはひらきやすくなるのです。
そうして何度もこするとミュラー筋が伸びてしまい、歯を噛みしめてミュラー筋を収縮させないと、まぶたがあかなくなります。
45歳くらいまでには、ほとんどの人が腱膜がはずれてミュラー筋が伸び始め、軽度の腱膜性眼瞼下垂症となっていると考えられます。
◆まぶたテープの貼り方
まぶたが下がることは体の不調と密接にかかわりがあるため、放置してはいけません。黒目にまでまぶたが下がると手術が必要です。
一方、まぶたをテープで上げると、ミュラー筋の負担が少なくなるので、「不調が改善した!」という人が多いことがわかっています。まぶたテープで眼瞼下垂症を治すことはできませんが、そうなる前の予防になるのです。
貼り方は簡単です!
●用意するもの
・セロハンテープまたはサジカルテープ
・ハサミ
①テープを3~4㎝くらいの長さに切る。
②目をつむり、テープの端を眉毛の下に貼る。
③片手でまぶたを引き上げながら、まぶたを軽くしてテープを貼る。まばたきができる程度に。
④反対側も同様に行う。
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以上、松尾先生の解説でした。
眉やおでこにテープを貼って、まぶたを上げると、ミュラー筋の負担が少なくなり、不調が軽減することが多いといいます。
テープを貼ったまま外出するのは外見上、工夫しないと難しいですが、自宅にいるときに貼って元気になれるか試してみたいと思います!
【松尾清(まつお・きよし)】1953年、奈良県生まれ。信州大学医学部特任教授・名誉教授。松尾形成外科・眼瞼クリニック院長。医学博士。近著は『名医が教える「まぶたテープ」』
<文/女子SPA!編集部>