巨匠・ウディ・アレンの性的虐待再告発したドキュメンタリーほか、U-NEXT独占契約のやばすぎるHBO作品

 アメリカの大手テレビネットワークのHBOとU-NEXTが独占契約を果たしたのが4月。HBOのオリジナルコンテンツは大層魅力的と言われており、それらの多くがU-NEXTで大量に見られるようになったのだ。その作品たちを今回ご紹介しよう。

 5月末からついに日本で配信された『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』は2017年に公開されたDCコミックスのスーパーヒーロー映画『ジャスティス・リーグ』のディレクターズ・カット。『ジャスティス・リーグ』は監督のザック・スナイダーが完成を前に身内の不幸を理由に降板することになり、ジョス・ウェドンがポストプロダクションを任されたが出来上がった作品は何とも微妙で興行成績、世間の評価、共にイマイチ。

 後にスナイダーが構想した「スナイダー・カット版」が存在すると囁かれ、一部のファンが「スナイダーの構想通りに作られていれば傑作になっていたのでは?」として「スナイダー・カット」の製作を求める運動を起こした。

 この運動だけがきっかけではないが、配給のワーナー・ブラザーズは製作再開を認め追加撮影を含む再編集により「スナイダー・カット」は完成した。「スナイダー・カット」は他のものとは違うのが「ファンが求めて作られた」という部分。大抵のディレクターズ・カットはファンの希望とは無関係につくられる。監督が編集権をプロデューサーに奪われてしまい「これは自分の作品じゃない」として監督名義で再編集されたり、単に「もう少し稼げるから」というビジネスのためだけに再編集されたり。「スナイダー・カット」ほどファンに求められて作られたディレクターズ・カットもないであろう。完成した作品は上映時間4時間越えの大ボリューム。見る方も大変ですが4時間に見合う傑作であること疑いなし。

 同日にこちらも日本初公開(配信)となったのが『ウディ・アレンVSミア・ファロー』。ニューヨークを代表する映画監督ウディ・アレンとその妻だった女優ミア・ファロー。92年に起きた養女ディランへの性的虐待を巡ってアレンとファローが争い、不起訴となったものの26年経った2018年に成人したディランがアレンを再び告発することに。HBOは2年間の調査を行い再告発の真相に迫る。

 当時7歳だった養女にアレンが性的いたずらをしたというニュースに全米は震撼。アレンは疑惑を否定し、妻のファローと不仲になったことによる復讐でありディランは母親に洗脳されていると主張していた。HBOのスタッフはアレンが懇意にしているマスメディアを使い、関係者に「政治的介入」をした結果、ファロー側が不当にバッシングされていたと分析する。

 例えばディランへの聞き取り調査を7回も行ったクリニックは「虐待の事実はない」とする調査結果をアレンに積極的に流して、病院前で記者会見まで行わせた! 児童虐待の専門家は「被害を受けたであろう子どもに7回も聞き取りするなんて異常」とコメント、しかも鑑定結果は虐待の疑いがあるとしか思えないと意見する。

 20数年前はなりふり構わぬメディア戦略で逃げ切ったアレンだが、現代は性的いたずらに対する世間の認識も違っており、「疑惑は本当だったのでは?」とする声が多く聞かれるように。アレンの作品に出演した役者たちや2人の子供たちですらアレン派とファロー派に分かれて虐待はあった、いやなかったと争っている。

 あくまで疑惑でしかないが、アレンの作品の多くが「中年男性が年下女性に迫られる」といった作風の上、養女だったスン・イーと歳の差35歳の結婚をした事実から考えても、怪しく思えてしまうよなあ。

 全4回のシリーズで最終回が6月16日配信なので今からでも間に合います! 今すぐU-NEXTに契約してアメコミ映画の唯一無二となった一本と50年以上のキャリアをフイにするかもしれない男のスキャンダルを追ったドキュメント、日本初のコンテンツを体感しよう!

2021/6/19 21:00

こちらも注目

新着記事

人気画像ランキング

※記事の無断転載を禁じます