「一夜限りの関係のほうがマシ…」夫が会社の後輩と犯した、下心よりヤバイ過ちとは

「やめるときも、すこやかなるときも、あなたを愛する」と誓ったはずなのに…。

“やめるとき”は、愛せないのが現実。

思い描いていた結婚生活とは程遠く、二人の間に徐々に生じ始める不協和音。

「こんなはずじゃなかった」と不満が募ったとき、そもそも「この結婚、間違ってた?」とふりかえる。

あなただったら、この結婚生活やめる?それとも…?

▶前回:「今さら妻とは…」交際期間が長い夫婦。子どもを作るため、夫がとった衝撃的な行動

Vol.7 優しすぎる夫


【今週の夫婦・結婚2年目】
夫:達也(31)広告代理店勤務
妻:優子(31)アパレル会社勤務


「いやぁ、やっぱり温泉はいいね」

つやつやに炊かれたご飯を食べながら、夫の達也がつぶやく。

「本当~!露天風呂付き客室で食事が美味しい宿って、満足度高いよね」

連休に訪れた箱根の高級旅館で、私たち夫婦は朝食を堪能している。夫の達也とは、趣味が合うので宿選びで意見が食い違うことはめったにない。

「優子との旅行は趣味が合うから、一泊でも楽しいよ」
「わたしも~!」

私は、だし巻き卵を口に運びながらうなずく。

「優ちゃん、このあと寄りたいお店があるんだけど、いい?」

達也が甘えた口調で尋ねてくる。

― やっぱり、そうきたか…。

達也がどこに行きたいのかは、だいたい想像がついている。

結婚してまだ2年目。

おおらかで優しい夫とは、大きなケンカをしたこともなく仲が良い。だから私は、夫になんの不満もなかった。

ただ一つ、彼の優しさが度を超えることを除いては…。



「ちょっと待って!そのお饅頭、そんなに買うの?」

箱根湯本駅近くの和菓子屋で、達也は温泉饅頭を何箱も抱えている。

「今リモートワークで会えないから、部署の皆に1箱ずつ配送してあげたいんだよね」

― 会社の人にそこまでする必要がある?

「後輩のカナちゃんって子が、甘いものに目がなくてさ。その子のインスタ見る?スイーツだらけなの」

「ホントダ、スゴイネ…」

私はあきれて、思わず片言になってしまった。

店頭で売っている、ほかほかのお饅頭とともにお茶を飲みながら、私は達也の買い物を外で待つことにした。

妻・優子が達也と結婚したのは、元彼が関係していて…

自己肯定感の低い女


達也との出会いは、27歳の時だ。

その頃私が付き合っていた彼氏は、5歳年上の外資系投資銀行で働くエリートだった。仕事ができてファッションセンスもいい、そんなところに惹かれた。

しかし、高圧的で支配欲が強いのが彼の本性だった。


もともと自己肯定感が低い私は、そこに付け入られたのか、彼の欲を満たす存在になっていた。

雑に扱われているのは、自分が悪いからだと思い込んでいたので、何をするにも彼の言いなりだった。

彼の方が収入が多いはずなのに、デートでの食事代は基本的に私が払っていたし、お金も頻繁に貸していた。

彼に、洗脳されていた私を見兼ねた親友が、ある日食事会をセッティングしてくれた。無理やり連れ出されたその会に現れたのが、今の夫・達也だ。

― この人、まるで天使…。

達也の優しさは、心がボロボロの状態の私に、強烈に刺さった。

“女性は大事に扱うべき”という考えが彼の基盤にあり、スマートなエスコートや相手に気を使わせない会話に、感動したのを覚えている。

自分が女であることを、初めて尊く思えたほどだ。

達也が2回目のデートに誘ってくれたのを機に、私はモラハラ彼氏に別れを告げた。

「幸せにするとは約束できないけど、絶対傷つけないから。僕と付き合ってほしい」

その告白に、どれほど救われたかわからない。それほどまでに、私には男性からの無償の愛と優しさに飢えていたのだ。

相手を不安にさせない頻繁な連絡に、波のない穏やかな性格。

たとえ意見が違っても、バトルになることはなかったし、金銭関係で揉めることも、もちろんなかった。

― 結婚するなら、達也みたいに優しい人がいい。

だから、彼が他の人に取られてしまう前に、私は達也に逆プロポーズをしたのだ。




箱根旅行から1ヶ月ほど経ったある夜のこと。

21時。

私が食器を洗っていると、達也は誰かと電話し始め、そのまま寝室へ向かった。

「ねぇ、今の電話誰から?」

戻ってきた夫に、キッチンからあえて明るく聞いた。

「あ~、えっと、会社の後輩だよ」

私が詳細を追及すると、箱根でSNSを見せてもらった後輩の女の子だ、と達也は明かした。

達也の優しさは間違った方向へと暴走を始め…

下心より許せないもの


「こんな時間に何の用だったの?」

「それがさ、付き合ってる男がすごく嫌な奴らしくて。機嫌が悪いとすぐに手を上げるんだって…。心配だから、相談に乗ってあげてるんだよね」

― 仕事のことじゃないのかよ!

思わず心の中で突っ込んでしまう。

「優子には僕がいるし、今幸せでしょ?女の人が困ってたり悲しんでたりするの、見てらんないんだよ」

根が優しい彼のことだから、本当に心配してあげているのだろうと理解を示すことにした。

「そっか…。でも、あまり深入りしない方がいいと思うけど」

達也は同意してくれたが、その後もしばらく後輩のカナとはLINEでやり取りを続けていたようだった。


事件が起きたのは、それから2週間後のこと。

達也の実家で飼っている猫の具合が悪く、様子を見に行くというので、週末は別々に過ごすことになった。

久々に達也のいないベッドで眠るのは寂しくて、土曜日は、なかなか寝付けなかった。

でも、日曜は自由が丘でネイルの予約をしていたため、気持ちを切り替えて、ひとり時間を楽しむことにした。

ところが……。

自由が丘駅の正面口を出た私は、見たくないものと遭遇する。

達也と見知らぬ女が手を繋いで歩いていたのを見てしまったのだ。

後ろ姿だが、自分の夫だ。間違えるわけない。私は思わず追いかけて、声をかけた。

「達也?」

「……!?」

振り返った達也は、絶句している。すると、隣の女性が代わりに口を開いた。

「奥さまですか?あの…、ご主人お借りしちゃって、ごめんなさい!」

胸を強調した黒のワンピースに、色白でふっくらした体型。身長は、150cmあるかないか。


背が高く細身の私とは、違いすぎるその女性は、勢いよく頭を下げた。

「ちょっと、ちょっと!カナちゃん、優子には実家に帰るって、言ってあるんだよ…!」

達也が言うと、カナはアニメキャラのように、両手を口に当て大袈裟にリアクションした。

「とにかく、場所を変えましょう」

私は、ネイルサロンにキャンセルの電話を入れ、二人を駅前のカフェに連れて行った。

「ごめん、優子…。相談に乗っているうちに、仲良くなって、それで、昨日カナちゃんの家に行きました」

私は、怒りを抑えた震える声で「それで?」と詰めた。カナはずっと下を向いている。

「添い寝してしまいました」

その言葉を聞いた瞬間、心の中のシャッターが下りた。

「でも!本当に何もしてないんだよ。信じて!!ただ、そばにいてあげたかったんだ」

― それが無理なんだよ。

むしろ、下心で一夜限りの関係を持ってくれるほうがよかった。

バカな男のたった一度の過ちだと、自分を納得させ、許すこともできたかもしれない。


でも、朝まで何もせず隣で眠ったということは、それでもそばにいたいという感情が働いたからだ。

そっちのほうが、何十倍もキツイ。

私は、とりあえずカナを帰した。そして、喉が乾いていることに気づき、アイスコーヒーを一口飲み、口を開いた。

「達也…別れよう」

「嘘でしょ?優子、本当にごめん!でも、カナちゃんを放っておけなくて…」

― そうだよね。あなたはそういう性格だ。

私は、深呼吸して自分を落ち着けてから言葉を選びながら言った。

「あの時、私を救ってくれたことは今でも本当に感謝しているし、短かったけど結婚生活も楽しかったよ」

ありがとう、と続けようとしたら涙がこぼれた。

私は、達也のこと何もわかっていなかったのかもしれない。

「だけど、あなたは私だけじゃなく、誰にでも極端に優しい。ううん、優しいんじゃなくて、求められることを生きがいにしているんだと思う」

「……」

達也は黙って下を向いた。

「とりあえず、帰ろうか」

私は、達也に言った。

困っている女性を助けるのが、彼の生き甲斐で宿命ならば、それを止める権利など私にはないのだ。

きっとまた困っている女性が目の前に現れたら、彼は同じことを繰り返してしまうだろう。それを許容するほど、私は器の大きい女ではない。

健全な夫婦生活のようにみえて、お互いの欲が一致しただけで、共依存していただけなのかもしれないと気づいた。


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