鰹節由来の煙で燻した芋から作った本格焼酎「燻枕崎」を飲んでみた
―[30代が知らないと恥ずかしい! 今さら聞けないお酒のキホン]―
◆最高金賞受賞の焼酎
6月7日、薩摩酒造から本格芋焼酎「燻枕崎(いぶしまくらざき)」が発売されました。早速飲んでみたので、レビューを紹介したいと思います。
ご存じ「枕崎」は鹿児島産のサツマイモ「コガネセンガン」と国内産の米麹を原料とした芋焼酎です。昔ながらのかめ壺で仕込むことで、豊かな香りとコクが生まれます。コガネセンガンはデンプンをたくさん含んでおり、芋のまろやかな甘みが楽しめます。クセはあまり強くなく、さっぱりしています。
東京ウイスキー&スピリッツコンペティション(TWSC)で、2020年に新設された「焼酎部門」では15本が最高金賞を獲得しましたが、芋焼酎4本のうちのひとつにこの「枕崎」も入っています。
◆2年にも渡る試行錯誤の末に完成
今回、新たにお目見えした「燻枕崎」は、原料のサツマイモを燻しています。枕崎市内には40件以上の鰹節屋が点在しており、あちこちで鰹節を燻す煙が立ち上り、町全体に芳醇な香りが立ちこめているそう。
そんな枕崎の空気を詰め込んだ本格焼酎を作りたい、という想いから、プロジェクトがスタートしたとのことです。
枕崎市で60年余りの歴史を持つ鰹節屋「金七商店」と明治時代から続く薩摩酒造が手を組んで挑戦しました。今までにない取り組みなので、2年にも渡って試行錯誤を重ねたとのこと。枕崎水産加工業協同組合もプロジェクトに加わり、誕生したのが「燻枕崎」です。
蒸したサツマイモを粉砕して、パレットに並べ、鰹節由来の燻煙にさらして2時間燻し、100年以上使い込んだかめ壺でもろみと混ぜて発酵させます。その後、蒸留してブレンドを行えば、新感覚の本格芋焼酎が完成します。
◆プレゼントにもぴったり
「燻枕崎」のラベルは墨色の背景で、うっすらと煙が立ち上っています。鰹節は「勝男武士」と昔ながらの表記になっています。縁起がいいので、プレゼントにもぴったりでしょう。
早速いただきました。まずは、ストレートでいただいたのですが、さっぱりとした味わいです。「燻」を冠しているので、思いっきり燻製香がきついお酒かと思いきやそうではありません。香りを取って気がつくくらいの燻香です。
ただし、通常の「枕崎」と並べて飲むと違いははっきりわかります。「燻枕崎」の法が味わいが深く、確かにアフターに燻しのイメージがあります。どちらにせよ美味しいので、両方ともぐびぐびと行けます。
◆おすすめの飲み方は「ロック」や「お湯割り」
薩摩酒造によると、おすすめの飲み方は「ロック」や「お湯割り」で、ペアリングはチーズやナッツ、和風のおつまみ、いぶりがっこなどとのことです。アドバイスに従って、ロックにしてみました。香りはストレートの時よりは開きにくくなりますが、その分すっきりと飲めます。
ナッツ類やいぶりがっこにチーズを載せたおつまみに合わせましたが、美味しいに決まっています。通常の「枕崎」にもぴったりなので、「燻枕崎」に特別マリアージュしているのかどうかはわかりませんでした。
お値段は720mlボトルで2000円(税込)。コストパフォーマンスはばっちりです。焼酎好きの人はぜひチェックしてみましょう。
<文/柳谷智宣>
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【柳谷智宣】
お酒を毎晩飲むため、20年前にIT・ビジネスライターとしてデビュー。酒好きが高じて、2011年に原価BARをオープン。2021年3月には、原価BAR三田本店をオープンした。新型コロナウイルス影響を補填すべく、原価BARオンライン「Wi杯」をスタート。YouTubeチャンネルも開設し生き残りに挑んでいる