【Netflixで視聴できる】東南アジア・ホラーのおススメ5選

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日本のように古くから怪談映画の伝統を誇る東南アジア。近年は欧米ホラーやJ-HORRORの影響を受けた作品も増えています。そこで、今回はNetflixで視聴可能な東南アジア産ホラー映画の中から、おススメの5本を紹介します。

『悪魔に呼ばれる前に』(2018) インドネシア

<あらすじ>
秘かに悪魔と契約を交わしたおかげで大金持ちとなった不動産王レスマナ(レイ・サヘタピー)。最初の妻が謎の自殺を遂げ、有名な元女優ラクスミ(カリーナ・スワンディ)と再婚したレスマナでしたが、しかし長女アルフィ(チェルシー・イスラン)は冷たい継母に懐かず、成人するとすぐに実家を飛び出します。やがて好調だった不動産業は大きく傾き、多額の借金を抱えたレスマナは病気で昏睡状態に。病院で久しぶりに父親と再会したアルフィは、実母との思い出が残る田舎の古い屋敷を訪れますが、そこへ強欲な継母が次女マヤ(ペヴィタ・ピアース)など3人の子供を連れ、金目のものを探しにやって来ます。しかし、荒れ果てた屋敷には何も残されていない。そこで目に入ったのは、お札が貼られて厳重に閉められた地下室の扉。なにか貴重なものがあるに違いない。そう考えた継母が強引に扉を開けたところ、長年封印されてきた忌まわしい悪魔を解放してしまうことに…!

<ショートレビュー>
さながらインドネシア版『死霊のはらわた』!凄まじい血しぶきと肉片飛び散るゴア描写の応酬が、猛烈にハイテンションな演出によって繰り広げられていきます。インドネシア映画といえば、イコ・ウワイス主演の『ザ・レイド』(’11)シリーズなどの血みどろバイオレンス・アクションが有名ですけど、本作のティモ・ジャイアント監督は、そのイコ・ウワイスを主演に起用した残酷リベンジ・アクション『ヘッド・ショット』(’16)などで知られる監督コンビ、モー・ブラザーズの片割れ。あの『新感染 ファイナル・エクスプレス』のハリウッド・リメイク版の監督にも指名されている鬼才です。悪魔に憑依された人間が襲いかかってくる恐怖シーンの演出などは、まるで格闘技アクションのごとし!これでもかと容赦のない残酷ぶりを披露してくれます。登場人物たちの描き込みも丁寧。愛憎入り混じる複雑な感情をストーリーに絡めることで、恐怖の根源にある人間のどす黒さが際立ちます。『ヘッド・ショット』でもジャイアント監督と組んだ、インドネシアの人気女優チェルシー・イスランも魅力的。なお、インドネシア本国では続編が公開されており、シリーズ3作目の製作も決定しています。

恐怖度★★★★☆
スプラッター度★★★★★
ユーモア度★☆☆☆☆
アクション度★★★★★
深イイ度★★★☆☆

『カトリックスクールの怪異』(2019) フィリピン

<あらすじ>
舞台はカトリック系のサンタルシア女学院。この学校では、かつてエリカという女生徒がトイレで首つり自殺を遂げ、それ以来、夜な夜なトイレにエリカの幽霊が出没するという噂があります。つい先日も、夜中にトイレへ行った少女アナが幽霊と遭遇し、恐怖のあまり廃人になってしまったばかり。しかし、スクールカウンセラーのパット(ベア・アロンソ)は、エリカの幽霊がそんな悪さをするはずがないと信じている。なぜなら霊能力の備わった彼女は、毎晩暗くなるまで放課後の校舎に残って、エリカの幽霊と対話しているからです。そんな折、女生徒クララが用務員に殺されるという事件が発生。さらに、別の女生徒ジョイスがトイレで自殺未遂を起こします。生徒の心のケアよりも学校の評判ばかり気にする校長アリス(チャロ・サントス=コンシオ)に不信感を抱いたパットは、自らの手で相次ぐ惨劇の真相を探ろうとするのですが…?

<ショートレビュー>
ゴシックな怪奇幻想ムードの漂うフィリピン版『学校の怪談』。果たして、深夜の学校で相次ぐ惨劇は少女エリカの幽霊の仕業なのか、それとも別の邪悪な何かが学校の暗闇に潜んでいるのか?というミステリーを軸としながら、学校でのイジメや家庭での虐待に苦しむ子供たちの怒りと哀しみ、そんな彼らを力で押さえつけようとする大人たちの姿が描かれます。生徒たちの問題に向き合わず学校の体面ばかりを気にするシスター、仕事や夫婦間の不満を我が子に向けて八つ当たりする親。そんな大人たちの偽善や無関心や理不尽が、結果的に恐ろしい怪物を生んでしまった…というわけです。あるトラウマを過去に抱え、それゆえ子供たちに寄り添うスクールカウンセラーを主人公に据えていることにも、象徴的な意味合いがあると言えるでしょう。あくまでもムード重視でショッキングな描写は殆どなく、それほど怖いとは言えないものの、「大人の責任」というものを考えさせられる良作です。監督は第29回東京国際映画祭の「アジアの未来」部門で最優秀アジア映画賞を獲得した『バードショット』(’16)の名匠ミカイル・レッド。主演のベア・アロンソはフィリピン映画界でも最も集客力のあるトップ女優のひとりです。

恐怖度★★★☆☆
スプラッター度★★☆☆☆
ユーモア度★☆☆☆☆
アクション度★★☆☆☆
深イイ度★★★★☆

『オーロラ 消えた難破船』(2018) フィリピン

<あらすじ>
フィリピンの小さな島の沖合で豪華客船が岩に激突し、大勢の乗客が犠牲になるという事故が起きてしまう。横転した巨大な客船を眺めながら途方に暮れるのは、海岸にポツリと一軒だけ建つ古い旅館の経営者女性リアナ(アン・カーティス)。船からはオイルが漏れ続けているし、付近では当局が遺体回収作業を続けている。このままでは海水浴客は見込めないため、幼い妹リタ(フィービー・ヴィラーモール)を抱えてこれからどうしようと考えあぐねます。すると、遺族団体から流れ着いた遺体を回収してくれたら、1体につき5万ペソを支払うという申し出が。そこでリアナは、地元漁民エディー(アラン・ポール)と協力し、当局には内緒で遺体を捜索することとなります。ところが、浮かばれない犠牲者たちの亡霊が、ひとりまたひとりと明かりを目指して岸へと上陸し、やがてリアナの旅館へ集まるように。たまたま発見した遺体の身元を調べようとしたリアナは、当局がひた隠しにしている遭難事故の真相に気付き始め、そんな彼女に亡霊たちが何かを訴えようとします…。

<ショートレビュー>
地元フィリピンでは、年間興行収入ランキングのベスト4に入る大ヒットを記録した作品。こちらも『カトリックスクールの怪異』と同じく、ムード重視のダークなゴースト・ストーリーに仕上がっています。岩場の多い荒涼とした海岸にポツリと佇む寂れた旅館、座礁したクジラのごとく海の向こうにそびえ立つ巨大な横転した豪華客船、ひとりまたひとりと旅館に集まってくる犠牲者の亡霊たち。あえて色調を抑えた端正な映像美が、独特のシュールで寂しげな雰囲気を醸し出す中、人間の欲が招いた悲惨な遭難事故によって命を奪われた名もなき人々の無念と、そんな彼らの不幸を収入に変えようとするヒロインの罪の意識が交錯し、何物にも代えがたい命の重みというものが浮き彫りにされていきます。デヴィッド・ロウリー監督の『A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー』(’17)にも似た印象の作品。ホラー映画と言うよりアート映画に近いため、恐らく好き嫌いは大きく分かれるかもしれません。なお、主演のアン・カーティスはフィリピン版オスカーのFAMAS賞の主演女優賞にも輝く大物スターです。

恐怖度★★★☆☆
スプラッター度★★☆☆☆
ユーモア度★☆☆☆☆
アクション度★☆☆☆☆
深イイ度★★★★☆

『あるメイドの秘密』(2020) タイ

<あらすじ>
ヨーロッパ貴族の宮殿のような大豪邸に暮らす華麗なる大富豪一家。物静かでハンサムな夫ニラク(チラパット・サジャクル)、資産家を父親に持つゴージャスな美人妻ウマ(サーウィカー・チャイヤデート)、そして幼い一人娘ニド。どこから見ても隙がないくらいに完璧な美しい家族ですが、しかし彼らの屋敷では下働きの若いメイドが次々と辞めていきます。なぜなら、夜な夜な幽霊が出没するから。新しく雇われたメイドのジョイ(プローイ・ソナリン)もまた、真夜中の暗がりを彷徨う不気味な亡霊を目撃します。やがてその亡霊の正体が、かつて忽然と姿を消した美しいメイド、プロイ(カンナポーン・プアントーン)だと気付いたジョイは、メイド頭から余計な詮索はするなと忠告されているにも関わらず、この屋敷で過去に何が起きたのかを探り始めるのですが…?

<ショートレビュー>
いやあ、これは驚きました!はじめのうちは折り目正しい王道的なゴースト・ストーリーかと思いきや、中盤である衝撃的な事実が発覚してから一転、血みどろの大量殺戮が繰り広げられる凄まじいリベンジ・バイオレンスへと変貌します。しかも、『あるメイドの秘密』のメイドとは、行方不明になったプロイのことであるばかりか、実は主人公ジョイのことでもある。なんとなくそういうことかな…とおおよその察しはつくものの、しかしあの展開までは全く想像できなかった。ある意味、上級国民みな殺し。脚本の出来栄えはなかなかです。スタイリッシュな映像美とショッキングな残酷描写のバランスも絶妙。『4人の食卓』や『箪笥』などの韓国ホラーが好きな人にもおススメです。これが長編2作目だというリー・トーンカム監督ですが、今後の活躍が大いに気になります。


恐怖度★★★★☆
スプラッター度★★★★★
ユーモア度★★★☆☆
アクション度★★★☆☆
深イイ度★★★☆☆

『呪いのキス~哀しき少女の恋~』(2019) タイ

<あらすじ>
第二次世界大戦下、1940年代のタイ。首都バンコクから遠く離れた田舎の村に、幼馴染の少年少女が暮らしていました。可憐な美少女サイ(パンティラ・ピピティヤコーン)は村長の一人娘。男らしくて勇敢なジャッド(サポーン・アッサワマンコーン)はそんな彼女に恋心を寄せていますが、しかし当のサイ本人はそのことに全く気付いていません。一方、子供の頃からサイと仲良しの心優しい少年ノイ(オーブニティ・ウィワッタナラワーン)は、医学生としてバンコクで暮らしています。そんなある日、戦火を逃れたノイが怪しげな男たちを連れて突然村へ帰ってくる。男たちの正体は女妖怪ガスーを退治するハンター集団で、ノイは彼らに助けられて故郷の村までたどり着いたのでした。ちょうどその頃、村ではガスーの仕業と思われる家畜被害が発生。ハンター集団はガスー退治に乗り出します。一方、どうも毎朝起きると体調が優れないサイ。ある晩、村の乳飲み子がガスーに誘拐されるという事件が起き、夜道を歩いていたノイが空を飛ぶ女妖怪の後をつけたところ、なんとサイの家へと行き着きます。実は幼い頃、たまたま遭遇したガスーにキスをされたサイは、自身も妖怪となっていたのでした。愛するサイを全力で守ろうとするノイ、そんな2人に何も知らず嫉妬するジャッド。やがてハンター集団の魔手がサイに忍び寄ります…。

<ショートレビュー>
タイの民間伝承に伝わる妖怪ガスーを題材にした、切なくも哀しい怪談ラブロマンス。ガスーとは内臓をぶら下げたまま首だけで空を飛ぶ女性の妖怪で、普段は平凡な人間として暮らしつつ、夜な夜な胴体を離れては家畜を喰らうと言われています。あれっ?インドネシア映画『首だけ女の恐怖』(’81)に出てくる女妖怪レヤックとソックリじゃね!?と思ったら、どうやら同じルーツを持つ妖怪らしく、東南アジアでは似たような伝説が各地に存在するようです。日本でいうところの、ろくろ首や雪女のような定番の妖怪なのでしょう。そんな有名な民間伝承を、若い男女の三角関係を軸にしたラブストーリーへと昇華した本作は、ヒロインを人々から忌み嫌われる異形の者とすることによって、いわゆる「普通」の人々の排他性や残虐性を浮き彫りにしていきます。誰からも愛される幼気な少女の正体が妖怪だと分かった途端、彼女自身に罪は全くないにも関わらず、凄まじい迫害を始める村人たち。舞台を戦時下に設定したことで、恐怖と憎悪に目がくらんだ人間の恐ろしさが一層のこと際立ちます。甘ったるい青春ホラーかと思ったら大間違い。かなりシリアスで見応えのある作品です。

恐怖度★★★★☆
スプラッター度★★★★☆
ユーモア度★★★☆☆
アクション度★★★☆☆
深イイ度★★★★★

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  • 6/15 21:55
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