確定申告をより簡単に、より便利に 期待高まる税務行政のDX

拡大画像を見る

 国税庁は、従来の「税務行政の将来像」を改定し、「あらゆる税務手続が税務署に行かずにできる社会」に向けて将来構想をまとめた「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション- 税務行政の将来像2.0 -」を2021年6月11日に公開した。

 デジタル・トランスフォーメーションは通常「DX」と略され、経営改革、店舗改革、行政改革などのスローガンに使われているが、国税庁は20年12月に閣議決定された「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」に基づき、ICTを活用し、国・地方、関係団体、民間事業者などのデータ連携によって、一度の手続きで当該情報が連携して更新される「ワンストップ」、一度提出した情報を二度提出することを不要とする「ワンスオンリー」の実現を目指す。
 例えば、確定申告はスマートフォン(スマホ)やPCで、マイナンバーカード活用サイト「マイナポータル」にアクセスし、申請項目「確定申告」を選んで数回クリックやタップするだけで完了するレベルまで申告手続きを簡便化する。申請にあたってマイナンバーカードのICチップの読み取りと、数字4桁の暗証番号(利用者証明用パスワード)、署名用電子証明書パスワードの入力が必須なので、セキュリティ面も万全だ。
 マイナポータルに連携した情報のみ自動反映される仕組みのため、データ連携を希望しない場合や、生命保険会社、損害保険会社など、事業者側がマイナポータル連携機能を提供しない場合は従来通り。今回まとめた将来ビジョンの実現には、関連団体・事業者の協力と、マイナンバーカードの普及が不可欠と指摘している。なお、21年5月時点の人口に対するマイナンバーカードの交付枚数率は全国で30.0%。
 従来の申請還付主義を改め、「災害にあった方へのお知らせ」といったプッシュ型の情報配信も開始する。この他、オンラインサポートの定番「チャットボット」を充実させ、22年4月には「タックスアンサー(よくある税の質問)」を分かりやすく改善する予定。
 確定申告の簡便化に向けたマイナポータル上でのデータ連携は、生命保険料控除などの一部のカテゴリで既に始まっているが、医療費支払額が22年4月から、ふるさと納税が22年1月から一部で業者から順次拡大予定。年間収入金額については、「実現方式の検討必要・時期未定」となっている。ただし、勤務先が給与所得者に対して発行する源泉徴収票については22年1月以降、所定のクラウドに保存する方式による提出が可能となる予定。
 面倒で分かりにくい確定申告を、データ連携によって簡便化する。いくつか課題はあるものの、大きな前進といえるだろう。また、スマホの最も重要な機能が、通話・メール・メッセージから、オンライン手続き、来店予約、入退室などの個人認証に移りつつあるといえるだろう。(BCN・嵯峨野 芙美)

関連リンク

  • 6/15 21:00
  • BCN+R

スポンサーリンク

記事の無断転載を禁じます