「あえて結婚しない男性」の結婚観が変わる瞬間とは

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※この記事にはドラマ『東京独身男子』結末のネタバレが含まれます

有吉弘行さんや星野源さんなど、独身を謳歌しているように思えた40代の男性芸能人たちの結婚報道ラッシュが世間を騒がせた2021年上半期。

昔と比べると晩婚や非婚がそこまで珍しくないものの、職場などのコミュニティに1人はいる「あえて結婚しない大人の独身男性」は一体どういう恋愛をしているのか、女子会のトピックに上がることは稀にある。

そんなあえて(A)結婚しない(K)男子=“AK男子”の恋模様を描いたのが、2019年の4月期に放送されたドラマ『東京独身男子』(テレビ朝日系)。

作中に登場するAK男子は、メガバンカーの太郎(高橋一生)、歯科医の三好(斎藤工)、弁護士の岩倉(滝藤賢一)と、いずれもハイスペックでイケメンのアラフォー男子。

独身生活を自由気ままに楽しんでいた3人だが、それぞれ人生の転機が訪れたことで、次第に恋愛観が変化していく。

今回は、AK男子の1人・高橋一生演じる太郎にスポットを当て、彼の恋愛観と結婚観の変化を考察する。

■「何を考えているのか分からない」自由奔放な元カノの存在

太郎は巨大銀行のシニアアナリストで、取引先からの信頼も厚い。さらにイケメンなので女性には困らないはずだが、一番好きだった元カノ・舞衣(高橋メアリージュン)の存在を引きずり、次の恋に踏み出せないでいる。

しかし、しばらく会えていなかった舞衣と数年越しの再会を果たしたことで、太郎は「やっぱり一番好きだった人(舞衣)と結婚したい」と結婚願望が芽生える。

この時の太郎は恋愛の延長線上に結婚を考えており、「好き」という気持ちだけで猛進する。

それ自体は決して悪いことではないと思うが、そもそも数年前に2人が別れた原因は、お互いの気持ちを正直に伝えきれずにすれ違いが起きたため。再会後もこの原因が完全に払拭しきれていないことが、後に続く展開で見て取れる。

実は、太郎と再会したタイミングで、舞衣は別の人と婚約している(!)。それなのに(なぜか)太郎にキスをする。

その後も婚姻届を提出する直前に(なぜか)2人で会ったり、結婚後もシドニーで同居中の夫との関係性に悩んで(なぜか)家に押しかけてきたりと、謎の思わせぶりな行動が多い。

その理由を言葉で明確に伝えてくれるわけでもないので、視聴者は「なぜ?」と疑問の連続だ。最終的に太郎も「何を考えているのか分からない」と疲弊してしまう。

男性が舞衣のような自由奔放な女性に惹かれるのは分かる。だけど別れた原因を払拭できていない時点で、たとえ復縁したとしても、この2人に幸せな未来はなかったのではないだろうか。

結局この後もしばらく太郎は振り回され続けるのだが、物語が進むにつれて、隠れていた“もう1人のヒロイン”の存在が大きくなっていく。

■「結婚への責任感」からの解放。結婚に必要なものは何?

もう1人のヒロインは、歯科受付・かずな(仲里依紗)。AK男子の歯科医・三好の妹で、3人が集まる場でもみんなの妹的存在として一緒にいることが多い。

かずなは太郎に密かな恋心を抱いており、ある日の温泉旅行のキスがきっかけで2人の仲は急接近。舞衣の存在に翻弄されつつも、一番近くにいてくれたかずなへの想いにやっと気づいた太郎は、正式に付き合うことに。

そんな中で、太郎のキャリア問題も浮上。メガバンクを退職し、経営難で年収も下がるが、今まで以上にやりがいを感じられそうな電機メーカーへの転職を決める。

AK男子メンバーに「かずなとの結婚は考えてるの?」と聞かれると「仕事もどうなるか分からないし、こんな俺が巻き込むなんて……」と、結婚にはネガティブな様子。

第1話でも、太郎は「結婚には相手を支えなければならない責任が生じる」と語っている。あくまでも“(結婚において)男性は支える側”という認識が強いのだろう。

しかしこの後、意外な人物の発言が太郎の結婚観を変えることになる。

ある日、太郎とかずなは、太郎の元カノ・舞衣に呼び出される。自分が散々振り回したことで2人に迷惑をかけて申し訳ない、という謝罪だった。

続けて、舞衣はシドニーでツアー企画の仕事を始めることにしたと話す。「自分の足でちゃんと立つことで、大切な人を支えられると気づいた」という。

この発言に感化されたかずなは、歯科受付の仕事だけではなく、簿記の資格を取ることを決める。この先の仕事で不安になる太郎を支えるためだ。

太郎の母に料理のレシピノートを渡された後も、料理上手な太郎を見ながら「できる方がやればいいんじゃない?」と笑顔で語る。

そんなかずなを見て、太郎も考えを改める。最初は結婚に伴う責任を不安に感じていたが、かずなと一緒に暮らすための1LDKを借りて、結婚前提の同棲を申し込む。

「俺も、かずなの言うように、自分の足でちゃんと立てるようになりたい。“こうするべき”じゃなく、“こうしたい”を選びたい。かずなと一緒にいたい」

男性は稼いで家庭を支える、女性は家事をする……。そういった昭和的思考から解放されたことで、凝り固まっていた太郎の結婚観はもっと柔らかく、解放されたものになった。

元カノ・舞衣を盲目的に好きだった頃とは違い、より現実的に、そして広い視野で恋愛や結婚を考えることができるようになった太郎。

もちろん結婚への不安が完全に消えたわけではないだろうが、この価値観を持ち合わせた2人なら、お互いに支え合いながら、自分たちなりの“幸せ”を描いていけそうな気がした。

結婚に必要なのは、お金でも責任でもない。「こうあるべき」という固定概念を捨てた先にある、お互いを支え合うための自立心と歩み寄りの気持ちなのかもしれない。

(文:高橋千里、イラスト:タテノカズヒロ)

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