通帳1冊で1100円取る都銀も。ムカつく手数料を減らせる銀行、3つの選択

<女性が一生、お金に困らないためのレッスン vol.6/経済評論家・佐藤治彦>

 銀行の手数料に敏感になれない人はハワイに行けない!って聞くと驚く人は多いのではないでしょうか?

 コロナの間に静かに始まっていた、通帳1冊1100円時代の銀行の選び方、使い方を今回はご紹介します。

◆通帳を新しくするだけで手数料?!

「すいません、通帳がいっぱいになったので新しいのにしたいのですが」

「はい、1100円頂戴します」

 新型コロナウィルス2年目で日本中が騒然となっている2021年。前々から言われていた普通預金口座有料化が始まっています。大手3銀行を見てみましょう。

◆みずほ銀行 新しい紙の通帳1100円

 みずほ銀行で、1月18日以降に70歳未満の顧客が、新しく口座を新設した場合。紙の通帳を希望する場合は1冊につき1100円(税込)必要となりました。いろいろの取引をして通帳が満杯になったら、また1100円必要というわけです。

 また、1年以上、通帳に記帳をしていない場合には、自動的に紙の通帳から、みずほe-口座に変更になってしまいます。これは、すでに口座を持っている人も対象です。

 この基準日は毎年1月末で、変更は3月にされることになっています。

 みずほ銀行に口座を持っていて記帳をしていない人は、十分注意してください。

◆三井住友銀行 紙の通帳希望だと年間550円費用発生

 また、三井住友銀行も4月1日以降に新しく口座を開設した人で、2年間以上、出入金がなく残高1万円未満の場合は、年1100円の手数料がかかることがあります。

 さらに、紙の通帳を希望する(18~74歳までの顧客の)場合は、年間550円の費用が毎年発生するようになりました。

 これは、通帳を新しくしなくても、毎年必要です。

 それ以前に口座を開いた人は、今まで通り無料なのですが、新しく口座を作るとこういった費用が必要になることを肝に銘じておきたいです。

 私たち消費者は、もう20年以上、日本の銀行にお金を預けても利息がほぼゼロというだけでなく、こうした費用がかかるようになってきたのです。

◆三菱UFJ銀行 7月以降の新口座、入出金がない場合は年1320円

 そして、三菱UFJ銀行も、7月1日以降に新しく口座を作った場合から、今後は2年以上、入出金がない場合は年間1320円の未利用口座管理手数料が必要となります。

 この手数料を引き落とした後に、残高がゼロかそれ以下になる場合は、口座は自動解約されることになります。ただし、6月中に口座を開設した場合には、この対象にはなりません。

 また、今のところ三菱UFJ銀行は紙の通帳の有料化は発表していません。

◆有料化という流れで次々と値上げも

 有料化の流れは、りそな銀行や地方の銀行でも相次いでいます。

 銀行は、ほとんど取引のない幽霊口座をできるだけ排除することによってデータ管理料を減らしたい、また、印紙代のかかる紙の通帳からペーパーレスのデジタル通帳への移行を促したいのでしょう。

 今年の有料化は、幽霊口座の口座維持手数料の導入と紙の通帳有料化という流れです。

 それでなくても銀行は経営コストを削減するために多くの支店、ATMを閉鎖している上に、すでにこのシリーズでも紹介したように、コンビニATMの利用料金の値上げなどを次々と行なっています。

◆手数料 ちりも積もればハワイに行ける金額に…

 しかし、この手数料なんとかならないものでしょうか?

 急に現金が必要で、時間外にATMで5000円降ろしたら、220円の手数料がかかった。月末に家賃の振込をする時にも220円の振込手数料を支払った。そんな経験をしたことは誰にでもあるものですね。もったいないです。

 もしも、毎月4回、ATMや送金で220円の手数料を払うとなると、1年で48回、10年で480回。10万5600円。ハワイに行けちゃう金額になります。

 ワタクシ佐藤は、そんなことは許せないです。ガチに嫌です。

 ATMの利用は週に1度、送金は毎月5~6件はしますが、長い人生の中で、ATMに手数料を払ったのは2回だけ。送金手数料もこの20年は2回のみ。銀行で並ぶこともほとんどしません。お金も時間も使いたくない派です。

 お金が足りなく節約ばかりでイライラ生活が続いたあと。やっと給料日で、さあ降ろそうとATMに行ったら長蛇の列。現金を手にしたもののランチの時間が無くなる、悲劇です。もしATMの利用に毎月20分使っていたら、10年間で40時間も使うことになります。1泊2日の温泉旅行に行けちゃう時間です。

  

 キャッシュレス時代でクレジットカードやスマホ決済などで買い物ができる時代ですが、やっぱり手元に全く現金がないのは心配。激安のお店などは、今でも現金のみというところもあります。

 デジタルばかりだと、いざシステムがダウンしたらお手上げです。だから、最低限の現金はやっぱり手元に置いておきたいもの。そして、気軽にATMからお金も下ろしたいもの。

 ということで、ここからは、「銀行に、手数料と時間を使わない 2021年最新銀行ガイド!」前半戦です。

◆①大手銀行でオススメは、三菱UFJ銀行

 まずは大手の銀行。

 佐藤のオススメは三菱UFJ銀行です。その理由は店舗数が多いこと。また、時間外手数料が不要な時間帯が長いことです。

 店舗では、平日だけではなく土日祝日も、朝8時45分から午後9時までの入出金手数料がかかりません。ですから、他の多くの銀行のように、午後6時までの無料引き出し時間を考え貴重なランチタイムを使ったり、夕方の混んでる時間帯にATMに急ぐ必要がありません。

 他にも、三井住友銀行の店舗外(鉄道駅周辺などにあるもの)のATMも無料です。イオン銀行、三菱UFJ信託銀行など無料の提携銀行が多くあります(銀行によって無料時間帯は変わります)。

 もう一つ魅力に思ってるのが、三菱UFJ銀行本支店間の送金手数料を何回でも無料にすることが誰にでもできることです。

 それは、パソコンやスマホなどのインターネットバンキングを利用することです。

 銀行にあるATMや窓口から、三菱UFJ銀行の本支店にある口座に送金するのは有料でも、パソコンやスマホからなら無料です。時間もお金も得します。

 そして、大手銀行の中でも、三菱UFJ銀行に口座を持ってる人が圧倒的なのです。三菱UFJ銀行の個人口座数は4000万、三井住友は2700万、みずほは2400万です。圧倒的なのです。

◆②ゆうちょ銀行 手数料もATMの数からも便利

 ただし、全国を網羅している超巨大銀行がもう一つありますね。

 それは、ゆうちょ銀行。

 出張や旅行で全国どこに出かけても、郵便局のない場所はありません。そして、どこでも、いつでも、ゆうちょの口座のATMからキャッシュカードなどでおろす限り、手数料はかからない。

 いま、大手銀行はコストカットのために、支店を締めATMも廃止しているけれど、郵便局のネットワークはそう簡単に無くなりません。

 郵便局は全国に2万4000以上。他店舗外の駅やショッピングセンター、そして最近は多くのファミリーマートにも緑色のゆうちょのATMが増えています。

 そこでも郵便局で引き出すのと同じように、土日祝日、午後6時以降、いつでも手数料は一切かかりません。

 今やゆうちょのATMは全国で3万1200台。ここで手数料不要で降ろせるのです。東京都内の2900台は当たり前として、県内に300台以下しかない県は11県のみ。200台以下は1県のみ(スタバが一番最後に進出した、鳥取県)です(2019年現在)。

 本当に便利なのです。

◆ゆうちょ口座を持っているならネット決済が得

 広く全国に広がっているだけでなく、ゆうちょの口座数は1億2000万口座。

 そうです。巨大メガバンクの三菱UFJ銀行の3倍。日本人は、ゆうちょの口座を持ってない人のほうが少ないのです。

 そして、ゆうちょの口座を持っている人に、やってほしいことが、ゆうちょダイレクト(ネット決済)です。

 パソコンやスマホで簡単に手続きができて、一度手続きをしてしまうと、毎月5回まで、他人のゆうちょ口座への送金も無料です。もちろん24時間手続きができるので、出かけたり、忙しい時間を使う必要もありません。決済は即時なので、真夜中に送金しても、すぐに相手側にお金が行きます。

 私は、誰かに送金してもらうようなことがある時には、必ず選択肢に、ゆうちょ銀行と三菱UFJ銀行を入れます。本当に多くの人がその口座持っているし、どちらの銀行も簡単に送金手数料を無料にすることができる。できるだけ相手側に送金の手数料を使わせたくないからです。

◆③信金ネット 特に地方で便利

 最後に、特に地方の人にとって便利なのが信金ネットだということも触れておきましょう。

 全国2万台のATMでの入出金の手数料が、平日の8時45分から午後6時まで無料。土曜日も9時から午後2時まで無料。お店に信金ゼロネットサービスのステッカーがあることを確認して利用してください。

 また、地元に密着型の信金は、同じ信金内であれば、ネットやテレホンバンキングなどを利用すれば、送金も無料になることが多い。

 信金は地元に密着しているので、地元の人の送金に便利です。さらに、いつか小さくてもビジネスを起こしたい、そんなことを考えているのなら、経営相談などを含めて一番身近な存在の金融機関なのです。

 今回はここまで。次回はもっと得する手数料の話。少しお金が貯まった人のための高~い利息の銀行の探し方(具体例つき)をお話ししましょう。

<文/佐藤治彦>

【佐藤治彦】

経済評論家、ジャーナリスト。1961年、東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業、東京大学社会情報研究所教育部修了。JPモルガン、チェースマンハッタン銀行ではデリバティブを担当。その後、企業コンサルタント、放送作家などを経て現職。著書に『年収300万~700万円 普通の人がケチらず貯まるお金の話』、『年収300万~700万円 普通の人が老後まで安心して暮らすためのお金の話』、『しあわせとお金の距離について』『急に仕事を失っても、1年間は困らない貯蓄術』など多数 twitter:@SatoHaruhiko

2021/6/12 8:45

この記事のみんなのコメント

1
  • マリン

    6/12 9:09

    何でもお金を取る世の中になりましたね。悲しい限りです。

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