★MY『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』レビュー:時代の空気とリンクした寓話的ホラー再び

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すぴ豊です。 期待のSFホラー 『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』(6月18日日本公開!)の 試写にお邪魔しました。 前作の怖さを引きついだ見事な続編であり、 そして偶然にもいまの時代の空気とシンクロした寓話的ホラーです。 今回は 1Pめ:前作の予習 2Pめ:ネタバレなしのMYレビュー です。

予習:続編ですがこれだけ知っていれば大丈夫

まず最初に『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』は『クワイエット・プレイス』(18)のストレートな続編です。登場人物も前作から引き続いたものになっています。
けれど前作を観ていなくても十分楽しめます。
悪い意味ではなくて、そんなに複雑なストーリーではないので以下5つだけ頭にいれておいてください。(以下、パート1のあらすじです)

1)現代、人類は突然現れた“恐ろしい生物”=怪物によって壊滅的状況に追い込まれている。
2)この怪物たちは視覚はないが音をききつけて襲ってくる。従って人々は音を出せない生活を余儀なくされており、つまり音声コミュニケーションや機械による移動が一切出来ないため、社会の機能は完全麻痺。
3)こうした世界的な危機の中、映画は孤立的避難生活を続けるアボット一家に焦点をあてる。アボット一家は夫婦と女の子、男の子の4人一家。もともと5人一家だったが、末っ子だった男の子は怪物の餌食になってしまった。長女は難聴でそれゆえ家族はもともと手話で話すことができた。また妻エヴリンは妊娠している。
4)アボット一家はある音が怪物たちの弱点であることをつきとめる。
5)しかしエヴリンの出産を機に怪物たちとアボット一家の戦いが始まる、
一家の長、リーは身を犠牲にして家族を守る。
ストーリー自体にそんなに“ひねり”はないのですが、例えば小指をぶつけて「痛!」みたいなことをいっただけで怪物に殺されてしまう、そういうスリル。さらにこうした状況の中、どう考えたって声をあげずにすることは無理な出産をどうしたのか?(どうするのか?)が
物語をぐっと面白くします。
続編『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』は、残された妻エヴリンと2人の子ども、新しく生まれた赤ちゃんのその後を描きます。

こう来るか!の、続編

実は『クワイエット・プレイス』では、すでに人類の文明社会が怪物たちによって崩壊しているところから話が始まります。従って怪物たちの侵略が始まったところは描かれていません。しかし『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』はまず冒頭に回想シーンが置かれ、
平和な日常が怪物たちによって襲われるシーンから始まります。こうすることによって前作で死んでしまった主人公リーの物語を描くことが出来ます。このシーンが終わると、
一転して夫リーを失ったエヴリンたちのその後が描かれるのです。

前作がリー&エヴリン一家だけのお話でしたが、今回は他の生存者と会うことでドラマが展開していきます。
『クワイエット・プレイス』シリーズは、モンスター映画であることは間違いないんですが、
正直そんなにモンスターの魅力でひっぱる映画ではありません。
『エイリアン』や『プレデター』シリーズほどキャラがたっているわけではないです。
このシリーズは“音がたてられない世界”というシチュエーションが面白いのです。
だから音をたてたら襲ってくる脅威がゾンビでもロボットでも鬼でも熊でもいいわけです。
音というのは生きている限り出るものであり、さらに人間にとってはしゃべる・会話するとコミュニケーションの重要部分でもある。自動車や飛行機での移動・物量も音をたてずにすることは不可能です。音を奪うということは、人流・物流がとどめをさされることなんですね。

僕は『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』は人類が怪物たちに反旗をひるがえす逆転の映画を想像していたのですが、そうではなかった。怪物たちの登場で、人類社会は分断されてしまい、この分断が怪物以上の危機を生んだりするのです。
また前作で主人公は妊娠という設定だったので、子どもを産むときに声をあげたらどうするんだ?というサスペンスですが、本作では生まれています。赤ちゃんですからいつ泣いてもおかしくない。赤ちゃんの泣き声をどうするんだ、とさらにサスペンス度はアップです。
そう前作で少しは希望が見えたかなと思ったのですが、状況はさらに悪くなっているといっても過言ではないのです。

とはいえ主人公たちは前作は“怪物たちからどう逃げるか?”でしたが、
本作では“どう退治するか?”アクション度はUPしています。

さて僕は娯楽映画に無理に社会性を見出そうとするのは野暮かなとは思っていますが、
前作の『クワイエット・プレイス』を観た時、ネットとかで発言する=声を上げると、
ワーとたたかれて炎上してしまう社会と似ている気がしました。
そして本作は、本当にこれは偶然ですが、
『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』で描かれている世界=
「身を潜めて息を殺して閉じこもっていなければいけない社会、そうした歪みから社会が分断されてしまった世界」というのが、
いまのウィルス禍下の状況と妙にシンクロして見えました。
だからこそどんな状況の中でも生き抜こうとする、
家族の絆を守ろうとするエヴリンたちを応援してしまうのかもしれません。

エヴリン役のエイミー・ブラントが素敵です。
アクション映画の女ヒーローというより、
家族を守ろうとする女性の強さがかっこよく、
そして美しい。

赤ちゃんを抱いている姿とショットガンを構える姿、
どっちも様(さま)になてっるんですよ。

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