富士石油株が36%超の急伸 「物言う株主」村上ファンド系の保有判明で思惑買い

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石油元売り中堅の富士石油の株価が2021年5月28日の東京株式市場で一時、前日の終値比80円(36.5%)高の299円まで急伸した。終値は前日比53円(24.2%)高の272円。

旧村上ファンド系の投資会社、シティインデックスイレブンス(東京都渋谷区)が富士石油株を5.03%取得したと伝わり、株主還元策の強化などによる株価上昇を期待する思惑から買いが集中した。シティインデックスがさらに取得を進める可能性もあり、今後注目を集める銘柄になりそうだ。

「BtoB」の会社であまりピンとこないかも......

富士石油と言ってもあまりピンとこない向きもあるかもしれない。会社の横顔を確認しておくと、全国のガソリンスタンドで個人ユーザー向けに営業しているわけではなく、千葉県袖ケ浦市の袖ケ浦製油所で精製した石油製品を電力会社や石油元売り、化学・鉄鋼メーカーに販売するBtoBの会社。社名が人口(じんこう)に膾炙(かいしゃ)しているわけではないのはそのためだ。

2021年3月期連結決算は、売上高が3446億円、営業利益が70億円。ちなみに石油元売り最大手のENEOSホールディングスの同じ期は売上高が7兆6580億円、営業利益が2541億円という規模感だ。

設立は高度成長さなかの1964年でアラビア石油、東京電力(現東京電力ホールディングス)、住友化学。日本鉱業(現ENEOSホールディングス)などの出資によるものだった。

2020年9月末の上位株主(信託銀行を除く)は、筆頭がJERA(東京電力HDと中部電力が折半出資して火力発電部門を統合した会社)で8.85%、クウェート石油公社とサウジアラビア王国政府がともに7.52%で続き、出光興産(通称・出光昭和シェル)が6.66%、住友化学が6.54%、日本郵船が3.56%、ENEOSホールディングスが1.74%。このように主要顧客ないし取引先が大株主に並ぶなか、シティインデックスイレブンスは一躍、住友化学と日本郵船の間に躍り出る格好になった。

「物言う株主」の出方は?

シティインデックスイレブンスは5月27日付で関東財務局に提出した大量保有報告書において取得の目的を「投資及び状況に応じて経営陣への助言、重要提案行為等を行う」としている。それだけでは抽象的でよくわからないが、市場では富士石油のPBR(株価純資産倍率)が0.4倍台という水準に低迷していることに着目したのではないか、との見方が出ている。

PBRは株価が1株当たり純資産の何倍かをみて、割安か割高かを判断する指標。通常は1倍を下回れは割安とされ、0.4倍というのは相当に低い。

シティインデックスイレブンスはこの1年ほど、西松建設や大豊建設、東亜建設工業といった低PBRの準大手・中堅ゼネコン株の取得を進め、一部からはすでに増配などの株主還元策を引き出している。経営効率化のためさらに建設業界の再編に突き進むのではないか、との観測もある。

こうした中で、主要顧客が出資する富士石油の大株主となった「物言う株主」。株主還元の強化はもとより、何を要求しようとしているのか。また、設立時に出資した「安定株主」が多い中で、どのように要求を認めさせていくのか、市場関係者にとって目が離せない状況が続きそうだ。(ジャーナリスト 済田経夫)

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