怪物ウイルス「ベトナム型」の誕生で「東京五輪はモンスターたちの見本市になる!」(1)

怪物のような新型コロナウイルスがベトナムで誕生した。インド型の変異ウイルスと、英国型の変異ウイルスが合わさって生まれたハイブリッド型だという。

両方の悪いところをかけあわせたようなタイプで、従来型より感染力がはるかに強く、ベトナムでは2、3か月前の数十倍のペースで感染が猛拡大している。

こんなモンスターが東京五輪を契機に日本に入ってきたらどうなるのか。いや、もう入ってきているかもしれない。

ベトナムはコロナ対策の世界の「優等生」

ベトナムといえば、2021年5月25日、米国務省が日本の新型コロナウイルス感染状況を最も危険な「レベル4」にアップ、「日本への渡航中止」を勧告すると発表した際、米CDC(疾病対策センター)が逆に最も安全な「レベル2」に指定していた世界12か国の1つだった。そんなコロナ対策の「優等生」の国に、いったいどんな恐ろしい新型コロナウイルスの変異株が拡大しているのか。

主要メディアの報道をまとめると、こうだ。

5月29日、ベトナムのグエン・タイン・ロン保健相が、インド型と英国型の新型コロナウイルス変異株が合わさった新たな変異株を発見したと明らかにした。現地のオンラインメディアのVNエクスプレスが伝えた。この新種のハイブリッド変異株は新たな4人の感染者の遺伝子解析から見つかった。

ロン保健相は新種変異株について、

「インド型の変異株に、もともと英国型に含まれていた変異が加わったものだ。また、既存のウイルスよりも空気中での感染力がはるかに強く、非常に危険だ。複製が非常に速いことも実験でわかった。感染してから発症するまで2日ほどしかかからない」

などと説明したのだった。

ロン保健相は、実際にどの程度この変異株が広がっているかなどは明らかにせず、近くこのウイルスの遺伝情報を公表する予定だ。

ベトナムでは、5月に入ってから驚異的な勢いで感染が広がっている。5月29日午後時点での累計感染者数は6713人で、このうち5月以降の感染者は半分以上の約3600人に上る。4月までの1日当たりの平均新規感染者が6、7人以下だったのに、5月以降は1日400人を超える日もあり、一気に20倍以上のペースで急拡大しているのだ。

ロイター通信やAP通信など、多くの海外メディアが新たな脅威の登場を報じた。ニューヨーク・タイムズ(5月29日付)も「Vietnam says it has detected a more contagious hybrid of variants first seen in India and Britain」(ベトナムは、インドと英国で確認されたミュータント・ウイルスより感染力の強大なハイブリッドを検出したと発表した)と不気味な見出しで報じた=写真参照

ベトナムは4月1日に、世界保健機関(WHO)とユニセフ(国連児童基金)から、英国アストラゼネカ製ワクチン第1弾の引き渡しを受けたばかりで、国内のワクチン接種率は日本より低いようだ。それでも、感染を抑えてこられたのは、社会主義体制による官民一体の徹底した管理システムによるものだった。

完全に「感染者ゼロ」まで抑え込むのが秘訣

ニューズ・ウイーク日本語版(2021年5月4日号)「日本も見習うべき?コロナ封じ込み成功国ベトナムの第4波対策!」では、ベトナムが気に入って4年間住み続けている日本語教師のヨシヒロ・ミウラ氏が、ベトナムのコロナ対策の秘密を、こう記している。

「4月27日にベトナム北部のハナムで、日本から帰国したベトナム人からの新型コロナの感染が確認され、ベトナム各地で新型コロナ第4波封じ込み対策が始まっています。ニュースを聞いた時、またか...というがっかりした気持ちと、また頑張るか!という2つの気持ちが湧いてきました。日本と違い、今まで国内感染を4回封じ込めてきたベトナム。今回も封じ込みに成功すると予想しています」

ミウラ氏は、この感染急拡大がハイブリッド変異株によるものと、まだ知らされていないのだった。

ミウラ氏によると、ワクチンもなかったベトナムが、感染を抑えてこられた秘訣は、ひたすら新規感染者がゼロに近づくまで長期間耐えることだった。こう続ける。

「インド由来の変異種は感染力がさらに強く、致死率が高いと言われているので、さすがにベトナムの人々も今まで以上に封じ込みに真剣です。私のところにもハノイの学校がオンライン授業になることや、路上飲食店・カフェなどが営業一時中止になることがメッセンジャーアプリで流れてきました。不幸中の幸いは、5月からベトナムの学校は夏休みに入るので、学校の閉鎖やオンライン授業で悩む必要がないことです」

今回の第4波封じ込み対策も、第1波、2波、3波と同じだった。ハノイの例で取り上げてみると、

(1)遺跡、宗教施設および路上営業の飲食店の一時休止。
(2)屋内の飲食店における顧客間の最低1メートルの間隔確保、または各座席に衝立の設置。
(3)市内の小中高校、幼稚園にオンライン授業を徹底するよう要請。
(4)連休中などに国内旅行をしてハノイに戻った人は、感染していないかどうかの医療申告を確実に実施すること。

などだ。このうち、日本の緊急事態宣言下で行わないケースは、(4)の旅行後の「医療申告」くらいだろう。それなのになぜベトナムは封じ込みに成功して来たのか。ミウラ氏は続ける。

「なぜベトナムができて、日本ができないのか? ベトナムの新型コロナ封じ込みにかかった日数は第1波が105日。105日かけて国内の感染者をゼロ(空港での検疫による感染者を除く)にまで完全に抑え込んだのです。だから、その後、第2波、第3波が来ても短期間で封じ込めたのです。日本では1回目の緊急事態宣言を感染者がゼロではないのに49日間でやめたことが、ベトナムとの圧倒的な差が生まれた原因だと考えています」

そして、こう結ぶのだった。

「日本とベトナムは社会体制が違うから同じやり方は不可能だという方々は多いですが、私は国内感染者ゼロを目指し、政府と国民が協力してやってみる価値はあると考えています。ベトナム保健省はさきほど、今までのベトナム入国者の隔離期間14日を21日間に延長すると決めました。政府の変異株への新たな対応と思われます。日本もまずはいったんゼロを目標にすることが大事ではと、ベトナムでコロナ対策を経験して思います」

(福田和郎)

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