追悼!最後の二枚目スター田村正和「77年の知られざる私生活と愛され素顔」

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 二枚目俳優として、数多くの作品に出演してきた田村正和さん(享年77)が、心不全により亡くなっていたことが5月18日、明らかになった。

「田村さんは今年4月3日、都内の病院で亡くなり、家族だけで見送ったそうです。身内だけの葬儀では、妻の和枝さんが喪主を務めたと聞きます。数年前に心臓の冠動脈の手術をして、体調はあまりよくなかったようです」(ベテラン芸能記者)

 田村さんは剣戟スターとして一世を風靡した名優、阪東妻三郎の三男として生まれた。1961年、松竹大船と専属契約を結ぶと、成城学園高校在学中に、映画『永遠の人』で本格デビューを果たす。

「陰のある雰囲気が災いして、なかなか日の目を見なかった田村さんですが、72年にテレビ時代劇『眠狂四郎』(フジテレビ系)で主演を務め、ブレイク。80年代に入ると、『うちの子にかぎって…』(TBS系)などホームドラマに多数出演。二枚目も、コミカルな役も演じられる役者として人気を博しました」(前同)

 芸能レポーターの城下尊之氏は、この時期の田村さんについて、こう語る。

「田村さんが三枚目役に初挑戦する頃でしたね。主演する『離婚ともだち』(TBS系)の“記者懇親会”という名目で、田村さん、大原麗子さん、藤竜也さんら出演陣と、ホテルでしゃぶしゃぶを囲むという、番宣イベントがあったんです」

 その懇親会に、田村さんは少し遅れて現れたという。

「田村さんは当時の二枚目そのままに、“あ、どうも〜”と大原さんの隣に座られた。でも、大原さんが皿に取ってくれたしゃぶしゃぶにまったく手をつけないんです。ビールなめた程度で“ちょっと失礼”と席を立ったので、トイレかと思って追いかけました」(前同)

 だが、どこにも見当たらず、城下氏がふと厨房のカウンターを見ると、しゃぶしゃぶを急いでかき込む田村さんの姿があったという。

「きっと、おなかが空いていたんでしょうね。その後、また二枚目の顔で“いや、失礼いたしました”と席に戻った。私はそれを全部見ることになって、彼は“田村正和を演じているんだ”と思いましたね」(同)

■ラブシーンで納豆を…

 そんな田村さんとラブシーンを演じたことのある、女優の故・生田悦子さんは、こんな秘話をエッセイで記している。

〈そのときの監督がキスシーンで唾液が糸を引く様子を撮りたいと言いだしたの。(中略)でも、なかなか糸を引かないんですよ。そのため、撮影所の食堂にあった納豆を食べて試したんだけどダメ。(中略)結局、そのシーンは撮れなくて、そのうえ気持ちが入らないラブシーンになっちゃいました(笑)〉(『週刊女性』2017年4月18日号)

 あの田村正和が納豆の糸を交えてキス……とは、思わず笑いそうになる話だが、演技に関しては実にストイックな俳優だったという。

「撮影現場に自前のデッキチェアを持ち込んで、座って考え込む姿をよく見ました。セリフは常に完璧で、相手役者の分まで覚えていたほど。当たり役となった『古畑任三郎』(フジテレビ系)でも毎回、長ゼリフを楽々とこなした。どれだけ準備しているんだろうと、誰もが驚きましたよ」(民放テレビ局プロデューサー)

 また、私生活では浮いた噂のない愛妻家だったが、70歳を過ぎた頃には、こんな“ロマンス”も浮上した。

「女優の名取裕子と銀座の高級レストランに現れたんです。2人はドラマで何度も共演した仲。田村さんも楽しそうで、男女の仲というより、兄と妹のような雰囲気でした」(女性誌記者)

 だが、田村さんは18年2月放送の『眠狂四郎 TheFinal』(フジテレビ系)を最後に表舞台から姿を消した。

「演技もセリフ回しも、やっぱり、おじいさんっぽくなっていたんですね。いくら円月殺法といわれても、それではファンを納得させるのは難しいし、ご本人もそれが一番許せなかった。だから、事実上の引退をなさったんです」(城下氏)

 田村さん自身、『FRIDAY』の直撃に「完成前の試写を見て“これじゃダメだな”と痛感」し、同作での引退を決めたと答えている。

 引き際にも漂うダンディズム。永遠の二枚目俳優のご冥福を祈りたい。

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  • 5/31 12:00
  • 日刊大衆

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