『オードリーのオールナイトニッポン』だから見せる「ふつう」の2人

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若林「こんばんは、オードリーの若林です」

春日「土曜の夜、カスミン」

若林「よろしくお願いいたします」

春日「ひとつよしなに」

番組名のタイトルコールとともに、オールナイトニッポンのテーマ曲「ビター・スウィート・サンバ」に乗せて、冷静な挨拶をする若林と、春日の決まり文句が聴こえてくる。土曜の深夜、AM1:00。彼らの時間がやって来た。

私がオードリーを知ったのは、2008年の正月に放送された『ぐるナイ』の「おもしろ荘」。ピンクベストに七三分けという、独特な格好の春日が意味不明なツッコミをしたところに、若林が的確なツッコミを入れて笑いにする「ズレ漫才」

彼らにとってもテレビで初めて漫才を披露したこの瞬間。当時高校生の私は、春日の出で立ちに多少の狂気を感じつつも、新たな漫才のスタイルに一気に引き込まれたのを、今でも覚えている。

その出会いから程なくして、オードリーはM-1準優勝。『オードリーのオールナイトニッポン』が2009年10月に放送を開始した。私は、その当時からラジオを聴き続けている「リトルトゥース(=『オードリーのオールナイトニッポン』のリスナーのこと)」である。

■ただただ聴いていれば良い、究極のラジオ番組

12年も続いている『オードリーのオールナイトニッポン』は、一般のリスナーはもちろん、芸能界にも数多くのファンがいる。放送開始10周年の2019年には全国4都市でイベントを開催するなど、たくさんのリスナーに愛された番組だ。

ラジオというと、コーナー宛にリスナーが送ってきたメールを読んだり、話題の曲を紹介したりといった番組をイメージする人が多いと思う。

しかし、『オードリーのオールナイトニッポン』はちょっと違う。開始当初こそ複数のコーナーや曲紹介があったものの、段々とフリートークの比率が大きくなり、今では2時間の放送時間のうち、大部分をトークが占める。

その要因として、まずオープニングトークが長いのだ。「あれ、もう1時間経ってんじゃん!」と笑ってCMに行く。各々のフリートークをすると、終了時間を迎える。最近はずっとその繰り返しだ。

リスナーはひたすら彼らの話を聴いていれば良いので、初めてラジオを聴く人にも聴きやすいかもしれない。

■男子が女子の前で決して見せることのない「無邪気さ」

番組MCとしてさまざまなバラエティ番組をそつなく進行し、文筆活動にも精を出す若林。肉体芸人として体を張りつつ、子ども向けの番組に出演するなど幅広い年代から受け入れられている春日。テレビで観る2人は、そんなイメージだろうか。

ブレイク当初から、私の地元である名古屋のローカル番組に出演していたオードリー。2人見たさに公開収録に出かけたあの日々から、早十数年。全国放送のレギュラー番組が増えた2人を見て嬉しく思う一方で、私はあえて言う。彼らは今も「男子中学生」だ、と。

2人のトークは「男子中学生が部室でしてる会話を盗み聞きしているみたい」と言われるほどに、男子の無邪気さが垣間見えるところが魅力だ。

中学・高校の同級生で、高校時代は同じアメフト部で汗を流した2人は共通の話題も多く、学生時代について語ることもしばしば。20年以上前の話を当時のテンションのまま話す2人の声は、テレビで活躍する40代の中堅芸人から、男子校に通う無邪気な10代男子に戻ってしまう。

彼らの無邪気なトークは女性芸能人からも支持が高く、モデルの佐藤栞里や歌手のmiwa、最近ではフワちゃんもその虜となり、リトルトゥースを公言するほどだ。

男性は男子として共感し、女性は男子の会話が聴ける特別な空間として、この番組は独特な魅力を放っているのかもしれない。

■放送開始から12年以上。成長しているけど変わらない2人

2008年のM-1準優勝を皮切りにブレイクし、レギュラー番組が増えていく中で、オードリーがずっと続けてきたのがラジオだ。

ラジオでは、彼らはテレビに出ている時のような背伸びはしない。分からないことは分からないと言い、疑問に思ったことは「なんでかなあ」と考える。たとえ答えが出なくとも。

テレビでうまくいかなかったことなど仕事の話はもちろん、恋愛や結婚、子どもの話など、人生についても語る。若手芸人だった彼らが中堅芸人へと成長するなかで、次第に移り変わる自分の考えを、かっこつけず、かといってふざけすぎずに本音で語っている姿は、とても人間らしくて愛らしい

自分の方が年下なのにおこがましいが、彼らの成長を感じることができるラジオは、他のメディアにはない特別感がある。

そして、彼らの成長はもちろん嬉しいが、ずっと変わらない部分もある。ラジオだからこそ見せる「ふつう」の2人だ。

『オードリーのオールナイトニッポン』のゲストは、彼らがショーパプに出演していた時代の先輩ものまね芸人、長年苦労を共にした芸人仲間、リトルトゥースである作家の朝井リョウやCreepy NutsのDJ松永など、彼らの身の回りの人たちが登場する。

つまり、彼らが「ふつう」のまま話せる相手が出演するため、ゲストが登場する放送回であっても、いつも通りの空気感で進んでいく。その様子を聴いているのが心地良い。

■人間味あふれる彼らのこれからを、見続けたいと思わせる魅力

いつの放送か、もう記憶も定かではないほど以前の話。まだまだ若手芸人として注目されていた人気絶頂期に、若林がリスナーへ向けて「プレゼントや差し入れをやめてほしい、自分のためにお金を使ってほしい」と言ったことがあった。

私はその言葉を聴いた時、驚きよりも「若林さんらしいなあ」と思った。いい意味で芸能人になりきれてない「ふつう」の感覚のままで、身近に感じたのだ。この感覚がいまだに感じられるからこそ、長年2人の話を聴いていられるのだと思う。

若林「(オードリー若林でした、おやす)ミッフィーちゃん」

春日「この後また、夢でお会いしましょう。アディオス」

AM3:00、最後は若林もリトルトゥースにしか分からない挨拶をして、ラジオが終わる。友達と夜更かしして長電話した後のような、満ち足りた気持ちのまま、眠りにつく。今週も良い週末だ。

コロナ禍で人と話すことさえも難しい今、2人のいつまでも変わらない話に私は癒されている。ちゃんと人として成長しているけど、でも根っこの「ふつう」は変わっていなくて、ずっと聴いていられる2人の会話。

漫才ともテレビとも違う「ふつう」の2人を、ぜひラジオで味わってほしい。

(文:まっつん/マイナビウーマン編集部、イラスト:谷口菜津子)

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