「地獄かと…」会社で闇金業者からの取り立て電話が鳴り続けたワケ

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 浮気やDV、借金を繰り返す男性は、多くの女性からは“対象外”となってしまうのは言うまでもありません。しかし、そんな男性が職場にいたら、どうでしょう。

 事務の仕事をしている大野ひかりさん(28・仮名)は、職場でそうした先輩社員と一緒に仕事をしていた時期があったそう。大野さんは「もうあんな人にかかわるのはコリゴリです」と語ります。いったい何があったのでしょう?

◆闇金業者から社員宛に督促の電話が…

 大野さんが新卒で入社した会社は小さな食品メーカー。全部で10人程度の営業部に事務職として配属されました。

「当時、私が一番下っ端だったので、電話が鳴ったら真っ先に受話器を取らなければいけないんですけど、鈴木さんという営業職の男性社員宛てに不審な電話がときどきかかってきていました。『あぁ、もしもし、鈴木さんいますか?』と言って、相手は名前を名乗らないんです」

 鈴木さんは当時20代後半で、同じ部署内の先輩社員でした。事務職の先輩に相談すると「鈴木さんに変な電話がかかってくるんだよね……」と、困った様子で話していたそうです。その後、それが闇金業者からの催促の電話だったことがわかりました。

「でも、肝心の鈴木さんは地方へ一人で出張に行くことが多くて、事務所にはほとんど不在でした。しかも事務所に鈴木さん宛ての連絡があったことを伝えたくて携帯電話にかけても出なかったり、留守電にメッセージを入れても折り返しの連絡がなかったりで、音信不通になることが多かったです。通常の業務連絡をしたくて電話したときも折り返しがなく、しかも翌日何事もなかったようにしれっと出勤するような人だったので、『この人なんなんだろう……』と正直思ってました」

◆闇金業者からの電話が鳴り響く部署内で「地獄かと思いました」

 それでも数日おきに闇金業者から連絡が来ます。大野さんたち事務員が話すことはいつも同じでした。「もしもし、鈴木さんいる?」「出張に出ております」「折り返し連絡くれるように伝えてくれる?」「はい、留守電にメッセージを入れたのですが……」「まだ連絡ないんだけど」「おかしいですね……」といった通話を幾度となく繰り返しました。

 あるときを境に闇金業者の電話の回数が増え、時には電話口で怒鳴られたり、セクハラ発言をされたり怖い思いをしたこともあったと言います。

 大野さんが仕事で電話をするのはたいてい県外の取引先で、県内の人と業務で連絡を取ることはほぼありませんでした。そのため、ナンバーディスプレイに県内の番号が表示されると「あぁ、もしかして…」と思うように。

「借金返済が滞ったのかわかりませんが、催促の電話だけが一斉にかかってきたという事態が起こりました。当時、部署内の外線は5本ありましたが、5本全部鈴木さん宛ての催促の電話ということも。全部闇金からの電話とわかっているから電話に出られないんですよね…。部署内で電話のベルが延々と鳴り響き、一向に鳴りやまなかったときは地獄かと思いました」

◆部署内で緊急会議が開かれ…

 そんな状況でも出張に出ている鈴木さんは、いっこうに連絡が取れません。さすがに業務に支障が出てきたため、業を煮やした上司が「『鈴木さんは退職した』と言っていい!」と言い出しました。

「上司の言うとおり『鈴木さんは退職しました』と伝えたら、相手もびっくりしていましたが、電話の回数は徐々に減り始めました。本当は辞めてないのに『辞めた』と嘘をつくのは正直、後ろめたさがありました。それと同時進行で会社の役員は鈴木さんを事務所に呼び出していたのですが、役員からの連絡にも折り返しせず、やはり音信不通状態だったようです」

 その一件から数日後、部署内で緊急の会議が開かれ、鈴木さんの懲戒解雇が決まりました。

「鈴木さんは音信不通になりがちで、業務に支障が出るから懲戒解雇されるんだと思っていましたが、実は普段から無断欠勤が多かったそうです。役員から呼び出されたその日も、鈴木さんは競馬場に行っていたことがわかりました」

◆やつれた表情で現れた先輩社員。家族の姿も…

 そこまで会社に迷惑をかけているのだから、当然の結果なのかもしれませんね。そして懲戒解雇決定から数日後、無精ひげを生やしてやつれた表情の鈴木さんが私物を引き取りに事務所に来ました。

「その数日間に何が起きたのかわかりませんが、今まで見たこともないような険しい顔をしていたので、相当懲りたのではないかと思います。奥さんとベビーカーに乗った2歳くらいの女の子も一緒に来ていましたが、こんな結果になってしまって奥様とお子さんが不憫でなりませんでした。その後、鈴木さん家族がどうなったのかはわかりません……」

 後日談として、鈴木さんは出張先で空き時間さえあればその地方のパチンコに通っていたそうです。根っからのギャンブル好きだったのですね。その上、仲の良かった上司に50万円以上の借金をしていたことも判明。結局返済されることはなく、借金は踏み倒されたのだとか。

 妻と小さな子どもがいるのにギャンブルと借金を繰り返していたとは、なんとも救いようがない話です。ギャンブル依存症は心の病気。鈴木さんが治療を始めているとよいのですが…。

―シリーズ「クズ男ダメ男エピソード」―

<取材・文/林加奈 イラスト/とあるアラ子>


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