『おかえりモネ』ヒロインの清原果耶が持つ“透明感”と演技の中の“淀み”

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テレビの中の女たちvol.56清原果耶

 アイドルや女優を形容する際に“透明感”という言葉が使われることがある。彼女にも、そんな言葉が似合いそうな気がする。しかし、その言葉が似つかわしくなさそうな印象も受ける。これまで、何かしらの影を背負った役を演じることが多かったからだろうか。その確かな演技力が、しばしば若手女優に対する安直な符号として使われる“透明感”という言葉を寄せ付けないのだろうか。

 清原果耶、2002年生まれの19歳。17日から放送が始まった連続テレビ小説『おかえりモネ』(NHK総合)の主人公・永浦百音を演じている。朝ドラではこれまで2015年の『あさが来た』、2019年の『なつぞら』に出演。続く3作目で主演の座を射止めた格好だ。

 なお、実質的な女優デビュー作となった『あさが来た』でも、続く『なつぞら』でも、演じた役はやはり何かしらの影を背負ったものだった。そしてその演技力で画面に強い印象を残し、SNSなどで「あの子は誰?」と話題になった。

 そんな彼女の主演作『おかえりモネ』は、天気予報士を目指す女性の物語。舞台は宮城県。第1週を終えたところで、物語は山の中で林業や山林ガイドの見習いの仕事を始めた彼女の姿を描いている。

 豊かな自然を写し取ったカットを多用する今回の朝ドラは、まるで自然環境を主人公に、そこに生きる人間を背景にしているようにも見える。そんな映像の中に、彼女は違和感なく、しかし確かな存在感をもって立つ。

 オープニングの映像も、清原がミネラルウォーターのCMに出ているかのような、清涼感あふれるものだ。なるほど、そんな彼女にはやはり“透明感”という言葉をあてたくなってしまう。

 他方で、物語の時間軸としては現在2014年。東日本大震災後の宮城県が舞台だ。まだ物語の中ではっきりと明らかにはなっていないが、清原が演じる百音は、震災を理由とした何らかの屈折を抱えているようだ。少しずつ視聴者に感じ取られていく主人公の“淀み”。今後、そんな”淀み”を清原は演技の中で本格的に表現していくことになるのだろう。

 今回の朝ドラで共演する西島秀俊は、役者としての清原について次のように語る。

「(演技で)嘘をつかないですよね。実際演技をして、自分の心とか体が動いて、それがやっぱりこの台本ではこうなっているけども、こっちに心とか体が動いてしまうってことに、すごく集中してるし、それを丁寧にどのシーンでも大切にしてるって印象ですね」(『土曜スタジオパーク』NHK総合、2021年5月22日)

 演じる中で揺れ動く自分の心や体に集中する。そこで感じた違和感を、自分の中から丁寧にすくい上げる。それが台本の流れとはそぐわないものだったとしても、自分の感覚を大切にする。そこに西島は、彼女の「嘘」のなさと「強い信念」を読み取る。清原自身は次のように語る。

「違和感を感じたまま、それをおいて前に進むっていうのは、百音に対しても失礼だし、作品にとってもいいことではないのかなって思うと、やっぱり気になったところはちゃんと監督に聞こうとか、キャストの方に相談しようとかはやってます」(同前)

 清原果耶は演じることを通して、自分の中に生じた“淀み”に目を凝らし、それを周囲との関係の中で“透明”なものにしていく。“淀み”と“透明”の循環。なるほど、水や空気の循環として表現できる天気、それを見つめる主人公にふさわしい。

 なお、彼女の大好物はシメサバ。少し発酵した青魚が好きだというエピソードが、単なる“透明感”という言葉に収まらない彼女の印象を的確に形容しているように思う。

(文・飲用てれび)

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  • 5/26 17:30
  • 日刊大衆

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